定年後の旅!龍安寺(京都府)の石庭ミステリーで自分探しも

最終更新日:2017年9月25日

世界遺産の龍安寺。

有名な石庭を見るためにわざわざ外国からくる観光客もいます。

しかし龍安寺の石庭がなぜ素晴らしいのか説明できる人は少ないのではないでしょうか。

そこで龍安寺の石庭を中心にその魅力を説明します。

1.龍安寺とは

京都府京都市右京区にある臨済宗のお寺で金閣寺から仁和寺に続く「きぬかけの道」の中間あたりに位置しています。
枯山水の石庭で世界的に有名です。

実はこの龍安寺、1450年に応仁の乱の東軍大将であった細川勝元が創建したとされていますが、東寺の伽藍は火災で焼失しており詳しいことはわかっていません。

現在の伽藍は塔頭寺院の建物を移設したものです。
山門から広大な鏡容池が広がり、脇を通り庫裡から石庭のある方丈に入ります。

そこまでの道には多くの草花や木々が植えられており、年間を通じて景観を楽しむことができます。

特に夏の青紅葉と秋の紅葉は言葉をのむほどに美しいです。

2.龍安寺の石庭の魅力

世界的に知られている龍安寺の石庭ですが、実は有名になったのは最近のことです。
日本の禅ブームが世界におき始めていた1975年に、イギリスのエリザベス2世が龍安寺を訪れて石庭を絶賛しました。

このことが世界中に報道され、石庭が知られる直接的な起爆剤となりました。
その石庭ですが、実は謎だらけです。

方丈に面して作られていますが、誰が作ったのか、いつ作ったものかわかっていません。
龍安寺に残る記録では、室町時代に当時著名な禅僧が作庭したとあるそうですが、現在の石庭をさしているのかは不明です。

現在の方丈が江戸時代に別の場所から移築されてきたことを考えると、その時に作庭されたのかもしれません。
石庭の広さは横が25m、奥行きが10mほどの小さなものです。

期待に胸を膨らませて訪れた人は、実物がこんなに小さいのかと驚かれると思います。
ところが周囲をめぐらす土塀がわずかに幅を狭めるように工夫されていたりして、しばらく眺めていると無限の広がりを感じるような不思議な空間となっています。

水も緑も使わずに石と砂とわずかな苔だけで作り上げられた枯山水の石庭の魅力は、今でも多くの人を引き付けているのです。

3.龍安寺の石庭の意味

庭には向かって左手から5個・2個・3個・2個・3個の合計15個の石が配置されていますが、この配置が何を意味しているのは不明です。

有名な石庭だけに様々な解釈がなされています。

・大洋に浮かぶ島々を表現したもの
・雲間を突き抜けた高山の峰々を表現したもの
・中国の説話「虎の子渡し」を石で表現したもの
・七五三のおめでたい数字を表現したもの(左手から5個+2個・3個+2個・3個で7個・5個・3個)

最も有力な説は「戒め」を表現したものです。
古来中国では15個の数字は完全・完成・完璧といった意味合いを持っています。

ところが石庭にある15個の石は、どこから見ても15個全部を1度に見渡すことができません。
そこに人間は完全には至ることはできない不完全なものだという戒めを込めているということです。

ただ禅では、庭を眺めながら様々に思いをめぐらし思索を深める修行をします。
そういう意味から、訪れた人それぞれが石庭に込められた意味について、自分自身に問うべきものなのかもしれません。

書かずもがなのことですが、15個の石は方丈の廊下の右手側の端に立ち、右端の石を視界に入れつつ全体を見ると15個見ることができます。

4.龍安寺の魅力 蹲踞

龍安寺の方丈で、石庭を拝観した後は廊下を右手周りに一周して戻る順路となっています。
石庭の反対側の位置に石で作られた円形の手水鉢が置いてあります。

正式名称は「知足の蹲踞(つくばい)」です。
この蹲踞の表面は、水を溜める口が漢字の偏や旁に見立ててデザインされています。

何と水戸黄門で有名な水戸藩主徳川光圀が寄進したと伝えられています。
吾・唯・足・知の4字の漢字を口を中心に配置されていて「吾れ唯だ足ることを知る」と読みます。

これは禅の教えの「知足のものは貧しといえども富めり、不知足のものは富めりといえども貧し」を表現しています。

なお、現在龍安寺におかれているのは精巧なレプリカになります。

5.龍安寺の魅力 鏡容池

龍安寺に最初に訪れると、山門からすぐに目の前に広がる大きな池に驚かれると思います。
この池は鏡容池という名称で、実は明治時代以前は龍安寺は鏡容池で有名だったのです。

江戸時代には庶民の間で観光旅行のようなことが流行し出していて、「都名所図会」という当時の観光ガイドブックにも、龍安寺はオシドリの名所として紹介されています。

石庭が水と緑のない枯山水でしたが、この鏡容池はあるれるばかりの木々の緑と色とりどりの草花に囲まれた池泉回遊式庭園です。
枯山水の石庭での、自分を見つめなおすというような緊張状態から、一気に心が解き放たれる解放感を味わうことができる景観です。

龍安寺は見事に対称的な2つの庭を持っているのです。

6.龍安寺の魅力 トイレ

蛇足になりますが、龍安寺の公衆トイレはキレイで清潔な公衆トイレとして有名です。
山門から駐車場に向かう道筋にあります。

京都は国際観光都市なので、市内いたるところに公衆トイレがあります。
その中でも龍安寺の公衆トイレはキレイだと、タクシー運転手さんや観光ガイドさんもお墨付きです。

是非1度お立ち寄りくださいというのも変ですが、オススメです。
なお、参拝者用のトイレは龍安寺の方丈の中にもあります。

ちなみにお寺ではトイレのことを東司(とうす)、雪隠(せっちん)という漢字を使ってよんでいます。

そうだ、龍安寺に行ってみよう

龍安寺は何度訪れても新たな発見があり、感慨を覚える素晴らしいお寺です。
修学旅行以来ということであれば、子供の頃と現在の自分との違いを感じることができるかもしれません。

龍安寺の石庭の15個の石は、今のあなたに何を物語ってくれるのでしょうか?
自分探しに龍安寺に行ってみませんか。