ガムを食べるときは含まれている人工甘味料をチェック!

最終更新日:2017年10月30日

ガムは食べるのではなく噛んで味わう菓子として、子供ばかりでなく大人にも親しまれてきました。

長時間噛み続けることで脳や歯への健康効果が得られると言われていますが、ガムに含まれる成分は必ずしも健康的と限りません。

1.甘味料をめぐる紆余曲折

大半のガムは噛むと甘い味がしますが、使われている成分は甘味料だけではありません。

いろいろな香りが味わえる商品の他に、眠気覚ましの効果を持つ商品や口臭予防成分が含まれた商品など、多種多様なガムが売られています。

ガムを噛む目的も人によってさまざまですが、ガムがこれだけ人気を集めたのも甘味料が含まれていることが大きいものです。

ガムには欠かせない甘味料も、当初は大半の商品で砂糖が使われていました。

しかしながら砂糖は虫歯の原因となることが問題視されるようになり、近年ではガムの製造メーカーでも対策を講じています。

他の菓子と違って長時間噛み続けるため砂糖の悪影響が特に大きいガムには、虫歯の原因とならないアスパルテームやアセスルファムKといった人工甘味料が多く使われるようになったのです。

しかしながらこれらの人工甘味料も、安全性の点で問題がないわけではありません。

2.大半のガムに含まれるアスパルテーム

現在市販されているガムの多くは、人工甘味料のアスパルテームが使用されています。

砂糖の100倍から200倍という甘さを持つアスパルテームは、カロリーオフを売りにする清涼飲料水にもよく使われている甘味料です。

アスパルテームはアミノ酸のフェニルアラニンと、同じくアミノ酸の一種アスパラギン酸がアルコールを介して結合した物質です。

アスパルテームを摂取しても体内でそれら3種類の物質に分解された後に排出され、砂糖と違ってエネルギーには変換されません。

砂糖よりも強い甘さを感じる物質でありながらカロリーがほとんどないことから、ダイエット飲料やダイエット食品に多く使われているのです。

そんなアスパルテームは砂糖と違って虫歯菌のエサにならないため、砂糖の代用甘味料としてガムにも使用されるようになりました。

アスパルテームは虫歯の原因にこそなりませんが、脳腫瘍や白血病・リンパ腫の原因になる可能性も指摘されている点が不安材料です。

3.アセスルファムKを含む商品も

アスパルテームの健康リスクをめぐってはいろいろな意見があり、中にはアスパルテームの発がん性を示す明確な根拠はないと結論づけた報告も見られます。

そのためアスパルテームの有害性に関してはグレーゾーンにとどまっているというのが現状です。

甘味料にアスパルテームが使われているガムを毎日のように噛んでいる人でも、必ず脳腫瘍や白血病・リンパ腫を発症するとは限りません。

そうは言っても現時点で安全性にまったく問題がないと太鼓判が押されたわけでもありませんので、健康への悪影響が心配な人は控えた方がいいでしょう。

ガムの中には砂糖の200倍の甘さを持つ人工甘味料のアセスルファムKが使われている商品もあります。

アセスルファムK単独では後味がすっきりしないと感じる人も少なくないため、アスパルテームと併用されるケースが大半です。

このアセスルファムKも肝機能障害などの原因となる塩化メチレンを含んでおり、必ずしも安全とは言い難い物質です。

4.キシリトールの効果と注意点

このような人工甘味料への不安を背景として、近年ではカバノキから発見された天然甘味料のキシリトールがガムに多く使われるようになりました。

キシリトールは砂糖と同等の甘さを持ちながらカロリーは4割ほど少なく、砂糖と違って虫歯の原因となりません。

そうした理由から虫歯予防に役立つガムの甘味料としてキシリトールが使われるようになったのです。

ガムを噛むことで唾液の分泌が促され虫歯の原因となる菌は洗い流される上に、唾液がもたらす歯の再石灰化効果によって軽度の虫歯であれば修復されることも判明しています。

ただしキシリトールが含まれた市販ガムの多くは含有率がそれほど高くなく、甘さを補うためにアスパルテームが同時に含まれている例も少なくありません。

虫歯予防効果を得るには、キシリトールが90%以上含まれているガムを選ぶ必要があります。

キシリトールは下剤としての作用も持っており、摂取しすぎると下痢の原因となる点も要注意です。

5.ガムの賢い選び方

ガムを噛む行為そのものは集中力を高めて脳を活性化させ、唾液の分泌を促して虫歯を予防する働きもしてくれます。

味がなくなった後も長時間ガムを噛み続けることでそういった効果も高まりことから、健康のためにガムを噛んでいる人もいるほどです。

カフェイン入りのガムは仕事や学習・車の運転などの際に便利な目覚まし効果が得られるため、シニア世代の中にも愛用している人は少なくありません。

口臭予防効果を持つガムはエチケットにも役立っており、歯周病を予防するガムは歯磨きの代用効果を発揮します。

ガムは単に嗜好品として楽しむだけでなく、人々の日常生活に浸透して多様な目的に利用されているのです。

健康への影響を考えた場合、血糖値が高めの人は砂糖が使われている商品を避け、甘味料の中でも安全性が比較的高いキシリトールが使用されたガムを選ぶのが無難と言えます。

砂糖から合成されるパラチノースも虫歯の原因にならず、安全性が高い甘味料の1つです。

どんな甘味料を使っているかをチェックしてガムを食べよう

以上に見てきたように、ガムに使われている甘味料も砂糖ばかりでなくいろいろな種類があります。

これまでは香りや眠気覚ましなどの効果を基準にガムを選んでいた人も、甘味料の種類に着目することで健康への悪影響を低くできます。

安全性のガムを選んだ上で噛む健康効果を上手に利用すれば、認知症の予防にもつながるものです。