ひじきはカルシウム・鉄分、ヨウ素やタンニンが豊富!ローカロリーで、半分近くが食物繊維

最終更新日:2017年10月25日

ひじきは褐藻類・ホンダワラの仲間で、伝統的な和食材として定着しています。

海藻なのでヘルシーかつ栄養豊富なイメージはありますが、ひじきについてよく知らないまま口にしていることが多いのではないでしょうか。

そこで、ひじきに含まれる栄養素と、調理上の注意点をご紹介します。

1.カルシウム・鉄分が豊富

ひじきは一度に大量に食べるものではありませんが、毎日少量ずつ食事に加えることで、取りにくい栄養素を補ってくれる優秀な食材です。

特にカルシウムが豊富で、海藻の中でも最もカルシウム含有量が高いといわれています。

100gあたりに含まれるカルシウム量は、牛乳の12倍。

年齢が上がるにつれ脆くなる骨を補うため、積極的に食卓に登場させたいものです。

また、鉄分は、鶏レバーの6倍ともいわれています。

鉄分不足といえば貧血を思い浮かべがちですが、冷え性の解消などにも重要な栄養素です。

しかし、サプリメントや鉄剤などによる鉄分の単独摂取は胃腸を荒らし、また、鉄過剰症を引き起こす心配も出てきます。

ひじきには小鉢1杯分で1食に必要とされる鉄分量(3.49mg)の1.5倍相当の鉄分(5.5mg)が含まれていますから、日常的に摂取していれば、自然と鉄分不足を解消できます。

鉄もカルシウムも単独では吸収されにくい栄養素なので、タンパク質やお酢・ビタミンCなどを一緒に摂取することが重要です。

ひじきは油揚げや煮大豆などと一緒に調理することが多いため、タンパク質は自然と補うことができるでしょう。

料理の仕上げに酢や柑橘類の絞り汁をふりかければ、栄養素を効率よく吸収することが可能になります。

2.ヨウ素やタンニンが豊富

ヨウ素(ヨード)は、甲状腺ホルモンの構成成分として重要な栄養素です。

代謝を高めるため美しい肌・髪・爪には必須の栄養素で、高血圧や動脈硬化といった血管系のトラブルも予防してくれます。

日本食では伝統的に海産物を多く使用するため、海藻類や魚介類に含まれるヨウ素が不足する心配はまずありませんが、世界的には不足が心配されています。

食の欧米化により海産物をほとんど摂取できていない人は、週に一度程度でもひじきを含む料理を選ぶようにすると良いでしょう。

小鉢1杯のひじきで1食に必要なヨウ素の100倍以上を摂取できるため、ヨウ素のために毎日ひじきを食べる必要はありません。

また、ひじきにはタンニンも含まれています。

ひじきの黒い色はフロロタンニン(海藻タンニン)と呼ばれるポリフェノールの一種で、中性脂肪を分解し、食事内の脂肪分を吸着して排出する働きを持っています。

また、このポリフェノールはビタミンCなどと同様の強い還元作用を持つため、活性酸素を除去して老化を緩やかにし、紫外線から肌を守る効果なども期待できます。

3.ローカロリーで、半分近くが食物繊維

海藻であるひじきには、ほとんどカロリーがありません。

小鉢1杯の量なら、7~14kcal程度といわれています。

また、ひじきは弾力があり、意識して食べるときはしっかり噛む必要があるので、ダイエットにも向いています。

更に、ひじきの全成分中半分近くが食物繊維なため、少量でも満腹感があり、整腸作用にも優れています。

ひじきに含まれる食物繊維は水溶性で、胃腸にとって負担になりにくく、便秘の解消にも有効です。

4.ひじきの下ごしらえには注意が必要

少量でも栄養をたっぷり補えるひじきですが、近年の研究で、無機ヒ素を含んでいることが分かってきました。

ヒ素には有機ヒ素と無機ヒ素があり、人体にとってより有害なのは無機ヒ素とされます(ただし、海洋性食品に含まれる無機ヒ素の有毒性は低い。)

それではひじきは危険な食材なのでしょうか?

そんなことはありません。

摂取量と調理法さえ守れば、安全にひじきの恩恵を受けることができます。

まず、日本人の平均的なひじきの摂取量は1日あたり0.6g程度(乾燥状態)といわれています。

健康被害の可能性があるのは1日あたり4.7gを越える量を毎日食べ続けた場合ですから、一般的な摂取量ならばヒ素中毒の心配はないでしょう。

事実、ひじきをたくさん摂取する傾向にある名産地でも、これまでにひじきの大量摂取によるヒ素中毒が発生した例はありません。

また、ひじきに含まれるヒ素は、調理の過程でほとんどを取り除くことができます。

ひじきをたっぷりの水(ぬるま湯がベスト)で戻し、数回水を入れ替えて洗い、熱湯に入れて軽く煮て、煮汁を茹でこぼします。

このとき、ザルなどにあけると、ヒ素を含むお湯が流れるため、ひじきに含まれる無機ヒ素の9割以上を取り除くことができます。

最近は水戻し不要のひじきもありますが、その場合は無機ヒ素がひじきに残留してしまうため、不安を感じる人もいるでしょう。

もちろん、下ごしらえを省いても、過剰摂取しなければ問題はません。

しかし、頻繁にひじきを食べたい場合は、きちんと処理をした方が安心感があります。

やはり伝統的な調理法には理由があるのですね。

ひじきを利用したい場合は、面倒でも、一手間かけてしっかり戻しましょう。

ひじきの特性を理解して、積極的に利用しよう

ひじきは健康に良い食材ですが、単独では使いづらく、また、安心・安全を重視して使用するためには少しだけ手間がかかります。

しかし、せっかくの豊富な栄養素と独特の食感、味わいを活かさないのはもったいないことです。

毎日ひじきの煮物を作るのは大変です。

しかし一週間分程度のひじきをまとめて下ごしらえし、日々の料理に少量ずつ加えるようにすれば、食卓が豊かになります。

それだけでなく、サプリメントなどで栄養を補うよりもずっと健康的な食事を楽しむことができます。

ひじきは和食にだけ合う食材ではありません。

汁物に入れたり、サラダのアクセントにしたり、食パンの上にチーズと一緒に乗せてトースターで焼いたりと、幅広く使える食材です。

栄養豊富なひじきを、ぜひ、毎日の食事に取り入れてみてください。