定年後の旅!谷瀬の吊り橋(奈良県十津川村)高さ54メートルから下を見る

最終更新日:2017年9月25日

重なり合う雄大な山々と、古代から変わることのない荘厳な眺め。

秘境の言葉がピッタリですが、心洗われる風景が十津川にはたくさんあり、山あいならではの景色を堪能 できる素敵な場所でもあります。

その中でも一番人気と知名度を誇るのが「谷瀬の吊り橋」。

谷瀬の吊り橋は他の吊り橋と一味違った吊り橋として人気で、十津川の 観光スポットとなっています。

1.十津川の大自然

深い山の合間に集落が点在する十津川村は、日本で一番大きく広い村で、この深い深い山奥には、60以上の吊り橋が存在すると言われています。

その数多い吊り橋の中でも 最強といわれるのが「谷瀬の吊り橋」です。
谷瀬の吊り橋へは車でのアクセスももちろん可能ですが、途中、道幅が狭くなったりカーブが続いたり、トンネルが多かったりします。

ゆっくり途中の景色を堪能するなら、路線バスがお薦めです。
奈良県は近鉄八木駅から、和歌山県からはJR新宮駅からくねくねと曲がりくねった林道を、日本一長い距離を八木〜新宮間約6時間かけて路線バスが走ります。

窓から見える景色は大自然を満喫させてくれます。

2.谷瀬の吊り橋は 生活吊り橋

「谷瀬の吊り橋」は日本有数の長さを誇る鉄線の吊り橋です。
もともとは生活用のための吊り橋としてかけられました。

昭和29年(1954年)戦後の復興期のころ、谷瀬の人々は川に丸木橋をかけて行き来していましたが、洪水のたびに橋は流されました。

そこで人々は、当時の教員の初任給が約7800円、米10キロが765円の時代、1戸当たり20~30万円という大金を出し合い、当時としては思い切った800万円もの大吊り橋を、村の協力を得て完成させました。

私財を投じた先人は、お互いを助け合うことを大事にしていたのです。

上野地と谷瀬を結ぶこの吊り橋は、長さ297メートル、高さ54メートルで、そびえ立つ深い山々に囲まれ、眼下には清澄な十津川(熊野川)が流れ、まさに絶景で十津川を代表する観光名所になりました。

地元の人や郵便配達員などは、この橋をビジネスバイク等で渡って行きます。

また、地元の学校への通学路となっているため、揺れる橋を子供たちは普通に渡って行くという、普段の生活の中になくてはならないものです。

3. 揺れと高さと絶景と

橋の高さ54メートルというのはビル18階に相当し、長さが297メートルとなるとなかなか向こう岸にはたどり着きません。
橋の中部まで歩くと結構な揺れがあり、足が竦みます。

「危険につき20名以上は同時に橋に乗らないように」の注意書きがあり、歩くたびに少したわみ音もなるので、恐怖感が増します。
橋の中央部は木で幅約80cmの板が敷いてあり、その上を歩くのですが、板の隙間から下の川が透けて見えます。

眼下には、河川敷で川遊びやバーベキュー、キャンプなどを楽しむ人が小さく見え、周りに目を向けると、背の高い杉の木のてっぺんが遥か下にあります。
吊り橋の下を流れる川は、青く澄んだ水が穏やかに流れ、カヌーなどを楽しむこともできます。

この川全体を一望出来る景色は、谷瀬の吊り橋の上ならではです。

また、周りを緑豊かな山々で囲まれているので、紅葉の季節には木々が色づき、目にも鮮やかな景色が一面に広がるところも見ごたえ十分です。

3.谷瀬の吊り橋はスリル満点

橋の真ん中で感じるこの空けた空間の気持ち良さは、他では滅多に味わうことはできません。
最後まで渡り切るにはちょっと勇気がいりますが、味わったスリル分だけ、渡り終わったときの達成感は最高です。

心地よい空気と風に周りに広がる高い山々が、究極の癒しを提供してくれます。
渡り始めの恐怖感は、橋を進むにつれ徐々に薄れて行きますし、 高さや揺れに慣れてくると周りの景色を見る余裕も出て、まるで空中散歩をしているかのようです。

緊張の中にも笑みがこぼれ、ウキウキしながら渡れますよ。
終盤に差し掛かって橋の下を覗くと、河川敷に立ち並ぶ杉林の木のてっぺんが遥か下にあることが、その高さをより実感させてくれます。

日本一の田舎吊り橋のすばらしさを感じること間違いありません。

4.吊り橋周辺でのお楽しみ

吊り橋の近くには、「吊り橋茶屋」があり、うどんやぜんざいなどの食事や野菜・果物、お土産の販売も行っています。
ちょっと一息ついて休憩を。

周辺にはカフェ・レストランもあります。
毎年8月4日は、「谷瀬の吊り橋」で 揺れ太鼓の演奏が行われます。

地元十津川村の十津川太鼓倶楽部による吊り橋の上での迫真の演奏は、天空に響きわたり大迫力です。

5.吊り橋を渡り終えて

帰りには日本三大秘境のひとつで知られる湯処、十津川温泉郷があり、ゆっくりとお湯につかるのもいいですね。
十津川温泉郷は、十津川温泉、湯泉地温泉、上湯温泉の3つの温泉から成り、”源泉かけ流し宣言“を行ったことでも有名です。

温泉の質に関しては関西屈指の温泉郷です。
十津川の美しい四季の風景に心癒されながら、歴史ある温泉でゆっくりとした時間を過ごすのも観光客に人気です。

その他にも、「野猿(やえん)」があります。
谷川にロープを張って取り付けた人力ロープウェイのことで、綱をたぐり寄せながら対岸へ進む何とも楽しい乗り物です。

猿が蔓を伝う姿によく似ていることから、野猿と名付けられました。
スルスルと渓谷を渡るスリルと、山々と川が見渡せる景色は最高で、大自然の遊び場として人気です。

吉野熊野国立公園内にある「瀞峡(どろきょう)」は、深い峡谷をエメラルドグリーンの水が悠々と流れる壮大な景色が見もので、玉置山の山頂近くには「玉置神社(たまきじんじゃ)」があります。

十津川村のパワースポットで、2000年以上続く由緒正しい神社です。
空海が修行を行った場所と言われています。

谷瀬の吊り橋の周辺は、見どころ満載の観光地でもあります。

まとめ

日々の忙しさを忘れ、のんびりと十津川の大自然の中にたたずんでみませんか。
他の観光スポットの吊り橋とはちょっと趣が違い、人々の生活と密着した谷瀬の吊り橋。

ここでは村の人々の息遣いと、十津川の上空を吹く風の心地よさを十分に感じさせてくれ、いつもと違った時間の流れを味わうことができるでしょう。

谷瀬の吊り橋を渡り、スリルと心地よい風を存分に味わった後は、温泉でゆっくり過ごす何とも贅沢な時間。
心に染みわたる大自然のリフレッシュスポットです。

ぜひ一度は訪れてみたいところですね。