天体観測はポイントを押さえればシニアでも手軽に始められる!【趣味・出会い】

最終更新日:2017年8月18日

澄み切った夜空に横たわる天の川や満ち欠けを繰り返す月を見たとき、その美しさにハッとして、さらによく観察したいと思った方も多いのではないでしょうか。
身近な月や太陽から、惑星、星や宇宙のガスの集まりである星雲、星団といった天体の観測というと難しいと感じる方も多いかもしれません。

しかしポイントを押さえておけば、手軽に始めることができます。

1.まずは双眼鏡から天体観測

天体観測を始めるというと大きな望遠鏡を思い浮かべるかもしれませんが、必ずしもその必要はありません。
確かに、惑星を観察するときなどには必要ですが、天の川を構成する星々や明るい星雲や星団を見るときには、視野が広い双眼鏡が有利です。

ここで大事なのは、双眼鏡の倍率ではなく、口径(レンズの直径)の大きさです。
口径が大きいほど星の光を多く集めることができるため、暗い星まで見ることができるようになります。

一方、倍率が高すぎると視野が狭くなり見にくくなります。
そして手持ちでの観察は疲れるので、双眼鏡をアダプダーで三脚に取り付けることをオススメします。

さらに惑星や暗い星雲、星団も観察したいというときには望遠鏡が必要になります。
望遠鏡は大きく分けて、レンズで光を集める屈折望遠鏡と、鏡で光を集める反射望遠鏡があります。

ここでも大切なのは口径と言われるレンズや鏡の直径です。
屈折望遠鏡なら口径6cmから10cmくらい、反射望遠鏡なら10cm以上のものが市販されています。

反射望遠鏡の方が口径を大きくできますが、光軸を合わせたりといったメンテナンスが少し難しいかもしれません。
倍率は、接眼レンズを変えることで変更できますので(倍率=レンズや反射鏡の焦点距離÷接眼レンズの焦点距離)、購入するときにこだわる必要はありません。

まずは月や惑星を見て見たいという方は6cmの屈折望遠鏡が手軽に使うことができます。
少し慣れてきて、さらに暗い星雲、星団を見たくなってきたら、口径の大きな反射望遠鏡をオススメします。

これらの望遠鏡の本体(鏡筒)をのせるものに経緯台と赤道儀があります。
月や星といった天体は地球の自転により動いて見えるため、望遠鏡もそれに合わせて動かしていく必要があります。

経緯台は、縦、横二つのハンドルを操作して天体を追尾します。
赤道儀は、一つのハンドルを回せば天体の動きに合わせて望遠鏡が動きます。

手でハンドルを回しても良いですが、モーターを取り付けて自動追尾することもできます。
赤道儀は便利ですが、軸を天の北極(地軸と天球が交わる点)に合わせる必要があるので、準備が必要になってきます。

2.天体観測で月や太陽を楽しむ

もし小さくても望遠鏡をお持ちでしたら、月の観察はとても楽しいものになります。
月の表面には隕石の衝突跡といわれるクレータが無数にあり、そして海と呼ばれる周りよりも暗く平らな領域を見ることができます。

クレータには名前が付いており、月面図を参照してそれを確認するのも面白いでしょう。
月は満月のときが観測に適しているとお思いかもしれませんが、満月のときは地形に影がつかず起伏がわかりませんので面白みに欠けるところがあります。

満月以外のときの方が、影によって地形が見やすくなりオススメです。
月と同じく身近な太陽には黒点を見ることができるのですが、ここで注意することは、太陽の強力な光です。

双眼鏡や望遠鏡で絶対に太陽を直接見てはいけません。
失明する恐れがあります。

安全に見る方法として、屈折望遠鏡に取り付ける投影板というものがあります。
文字通り、太陽の像を白い板に移して観察するものです。

これを使用すると、明るい太陽の像の中に、黒い点として黒点を見つけることができます。
黒点は太陽活動の活発、不活発さに応じて増減していますので、日々観察を続けると、太陽活動の変化を知る貴重なデータになります。

3.惑星を見てみましょう

金星、火星、木星、土星といった惑星も、望遠鏡があれば興味深く観察することができます。
特に木星には茶色い帯が見え、周囲を回る四つのガリレオ衛生も簡単に見ることができます。

ガリレオ衛生は、双眼鏡でも確認することができます。
土星はその特徴的な輪を伴った姿を楽しむことができます。

宵の明星、明けの明星として知られている金星は、表面の模様までは見えませんが、満ち欠けしている様子を見ることができます。
火星には、氷と個体の二酸化炭素から構成されていると考えられている極冠を見ることができるかもしれません。

そのほかの惑星である、水星、天王星、海王星は、その位置や暗さなどから観察するのは難しくなっています。

4.星雲、星団は双眼鏡でも十分です

星がたくさん集まった星団、宇宙のガスからなる星雲も美しく観察することができます。
明るいものは、双眼鏡でも十分観察することができます。

冬のオリオン座のオリオン大星雲は最も有名でしょう。
肉眼で見ることができる明るいものであり、誕生したばかりの星とそれを取り巻くガスからできている姿を見ることができます。

また、日本名ですばると呼ばれるプレアデス星団は、若い星々の集まりで、双眼鏡でも数十個の星の集団であることがわかります。
秋にはアンドロメダ大星雲を見ることができます。

これは、星雲と呼ばれていますが、銀河系の外にある渦巻銀河であり、銀河系と同じような星の集合体です。
肉眼でも確認でき、双眼鏡があればよりはっきりと見ることができます。

夏には、さそり座にあるM6と呼ばれ、星々が集まっている散開星団を双眼鏡でも美しく見ることができます。
ここでM6というのは、18世紀のフランスの天文学者シャルル・メシエによる星雲、星団カタログの6番という意味で、M1からM110まであります。

比較的明るいものが多いので、双眼鏡や小型の望遠鏡で楽しめるものが数多く含まれています。
例えばアンドロメダ大星雲はM31、オリオン大星雲はM42、プレアデス星団はM45といった感じです。

メシエ天体の明るいものを巡ってみるのも楽しいと思います。

5.流星は肉眼で、彗星はいろいろな方法で楽しみましょう

流星は宇宙から地球の大気に飛び込んできたチリが燃えているものであることはご存知の方も多いと思います。
宇宙空間にあるチリが偶然地球に飛び込んできて見える流星は、散在流星と呼ばれます。

チリの濃い領域に地球が入ったときには、ある一点から放射状にたくさんの流星が見えることがあり、それを群流星と呼びます。
有名なものでは、夏のペルセウス座流星群があります。

流星は、望遠鏡の狭い視野では見つけることができませんので、肉眼でゆっくりと寝転がりながら観察するのがいいでしょう。
運が良ければ流星雨と呼ばれる流星のシャワーに出会えるかもしれません。

彗星はほうき星として知られる天体で、その不思議な形から昔は不吉なものとして捉えられていたようです。
その実態は、チリや氷の塊が太陽に近づくに従って溶けてほうきを持つように見えるものです。

太陽の周りを回っている彗星は周期彗星と言われていて、ハレー彗星が有名です。
前回は1986年に地球に接近し、話題になりましたので覚えている方もいらっしゃるでしょう。

そのほか、1996年の百武彗星、1997年のヘール・ボップ彗星、2011年のラブジョイ彗星が明るく肉眼で楽しめる彗星になりました。
すでに見つかっている周期彗星は予測がつきますが、新しく発見される周期彗星や、一度太陽に近づくと2度と戻ってこない彗星は、今後いつ現れるのかわかりません。

この先、運良く大彗星に出会うことができたら、その姿を肉眼、双眼鏡、望遠鏡それぞれで楽しみましょう。

6.天体を写真に撮ってみましょう

天体写真というと難しく感じるかもしれませんが、高感度のデジタルカメラの登場によって、手軽に撮ることができるようになりました。
長時間露出ができ、ピントを無限大に合わすことができるカメラであれば、星を風景写真のように撮る星の写真を、簡単に撮ることができます。

まずはカメラを三脚にセットし、ピントを無限大に合わせます。
もし絞りを設定できるなら、解放か、わずかに絞った程度にします。

そして数十秒から数時間まで、好みの時間シャッターを解放して露出を行います。
カメラの焦点距離によりますが、10秒ほどの露出で星が点に写り、それ以上露出すると、星の動きによって線状に移ります。

絵になる地上の風景をいれて星を写せば大変趣のある写真が出来上がります。
わざと長時間露出を行い、星の動きを出しても面白い写真となります。

デジタルカメラなら、写りを確認しながら何回でも試せますので、満足いくものを撮ることができるまでトライしてみましょう。

まずは肉眼・双眼鏡から天体観測を始めてみよう

天体観測のポイントを簡単にご紹介してきました。
肉眼でも十分楽しめますが、双眼鏡、そして現在見えている星座を知ることができる星座早見盤があれば、より快適に美しい星々を楽しむことができます。

そして最後に、天の川を楽しんだり、星雲、星団を双眼鏡や望遠鏡で観察しようというときには、できる限り空の暗い場所で見ることをオススメします。
市街地の明るい空では暗い星は見ることができません。

安全を確認した上で、空が開けて周囲に市街地の灯りなどが見えないところがベストでしょう。
もし、望遠鏡で月や惑星を観察する場合は、空の明るさは気にすることなく、どこでも楽しむことができます。

まずは気楽に、天体観測を楽しんでみてはいかがでしょうか。