白身魚は低コレステロールで消化が良く、胃腸にやさしい

最終更新日:2017年11月1日

淡白で食べやすい「白身魚」ですが、こうした魚は「赤身魚」とは何が異なるのでしょうか。

「味が違う」ということは言えても、深く考えてみる機会は、あまりないかもしれません。

また食べ物として健康・体への効果はどうなのでしょう。

1.回遊しない魚に多い

赤身魚の代表といえばマグロやカツオ、ブリなどです。

このような魚は常に泳ぎ回っており、行動半径は種によりますが、主に群れをなし、昼夜泳ぎを止めず回遊しています。

一方の白身魚はといえば、例えば海底で生活するヒラメやカレイもそうですし、普段じっとしているか、泳いでもゆっくりな傾向を持ちます。

それでいて、獲物を捉えるときや、外敵から逃げるときには俊敏に泳ぎます。

比較的よく食卓に並ぶものとしては、タラ、イサキ、タイ、ホッケ、カマス、イシモチなども白身魚です。

サケやマスが白身であることはあまり知られておらず、フグやウナギも白身魚です。

2. 魚の習性と、色素の関係

「身の色」の関係は、ヘモグロビン・ミオグロビンなど「色素タンパク質」の量と関連しています。

常に多量の酸素を効率良く使って泳ぎ続ける習性を持つ赤身魚は、これらが多いために身が赤いのです。

常に泳ぎ回るのでない白身の魚は、色素タンパク質が少ないために身が白っぽいのです。

ただし、ヘモグロビンやミオグロビンを多く含むから・含まないから、すなわち食べて健康に良いとか悪いとかは、特に言えません。

3. 低コレステロールである

赤身であるアジやイワシには、100gあたり100mgほどのコレステロールが含まれます。

一方で、白身であるタラやヒラメ、サケでは、50-60g程度。

たしかに、色が赤く見えるサケも、案外とあっさりしていますよね。

ちなみに肉類では200-300mg以上の食品も多いのがコレステロールです。

高コレステロールな食べ物を摂りすぎますと、心筋梗塞、動脈硬化などの危険性が高まります。

質の良いタンパク質を補給しながら、過剰にコレステロールを摂らないで済むのが白身魚といえます。

気にかけたいところとして「魚卵(いくら・たらこ)」などでは、それが白身魚由来であっても400mg以上など高コレステロール食品なことです。

これらをそう大量に食べるというのも考えにくいものですが、頭の隅に入れておきたいものですね。

コレステロールは、調理法によっても大分異なります。

魚を干した加工食品は一般にコレステロールが高くなりがちで、白身魚の煮付けやムニエルなどはとてもやさしい食べ物といえます。

4. 消化が良く、胃腸にやさしい

白身魚は、とても消化の良い動物性食品です。

このため胃弱な方、消化器系の問題でお悩みの方、あまり量が食べられなくなったとする人など、シニア層にもまさにもってこいな食品と判断できます。

ちなみに、健康に良いとされる青魚、イワシやサバ、サンマなどは、こと消化に関して言えば、マグロなど大型の赤身魚同様、さほど良いとは言えないものなんですね。

青魚の適度な摂取も健康には大事ですが「さほど多量でない魚料理を食べても、最近ちょっともたれやすい」などとお感じの場合、「白身魚」を少々意識してみると良さそうです。

5. 野菜と合わせて、マイルドな料理に

白身魚とダイコンやカブを合わせて煮付けにしたり、白菜とともに鍋で味わったり…。

こうした調理法は、胃腸にも刺激がなく、とてもマイルドなものです。

胃腸への刺激が少ないと言えば「蒸し料理」もその代表格です。

野菜とタラやサケを合わせたホイル焼きなども、野趣のあるものでありながら、その実、体にはマイルドです。

ちょっと贅沢なブイヤベースなども、(消化の悪いイカなどを使いすぎず)白身魚を中心として作るならば・食するならば、体にやさしいものです。

5. DHA・EPAを多く含む「青魚」との関係は?

サンマやサバ、イワシなどはさほど体も大きくありませんで、「青魚」とよく呼ばれます。

しかしこのタイプの魚は「赤身」です。

自然界での行動パターンとしても、マグロやカツオなどと似ていますよね。

基本的に群れで回遊して泳ぎ続けているため、血中ヘモグロビン色素の関係で「赤身」となります。

こうした青魚に含まれることで話題なのがDHA・EPAです。

白身魚にはあまり含まれません。

DHA・EPAは、コレステロールを下げる、動脈硬化を防ぐ、記憶力にはたらきかける、血液をサラサラにする、などの効果が指摘され、シニアにも好まれている成分です。

しかし、赤身の魚はそもそもコレステロールがやや高めです。

DHA・EPAなどコレステロールを下げる成分を持ちながらも、身そのものはコレステロールが高い、というちょっとした矛盾状態ですね。

魚に含まれるコレステロールは肉類のそれよりは体に負担をかけませんが、それとしても・・・です。

となりますと、例えば食卓に並べる魚は白身魚を多くして、DHA・EPAは少量の青魚から摂る、あるいはサプリメントから摂る、というスタイルもシニアにはオススメです。

6. 水銀の害の心配が少ない

環境汚染の関係で、大型の魚や鯨類には「水銀」が蓄積されやすい傾向にあります。

食物連鎖の仕組みから、有害な物質がもしあれば、それは小さな魚を食べる中型の魚に移行し、最終的に大型の魚の身にたまりやすくなります。

白身魚のほとんどは、それほど大型ではなく、運動量も少ないため(彼らのエサとしての)魚を食べる量も、それほど多くありません。

このため「水銀の害」の観点からも、比較的安全なのが白身魚といえます。

健康を保つには、プラスな物質を摂り込むことも大事ですが、同時に有害なものを多く摂り込んだのでは困ってしまいます。

日本古来の考え方のひとつとしては、「自分で持てないような大きな動物・魚」を普段から食べるよりは、「手で掴んだりできる程度の魚を食べるのが良い」といったものもあります。

こうした考えに科学的根拠はありませんが、先人の知恵を感じる部分もあります。

…もちろん、胃腸などに問題がないのならば、ときどきお刺身やお寿司(大型の赤身魚が多い)を楽しむのも、メンタル面からすると健康に良いと判断できます。

7. 釣りが楽しめる魚に多い

メバル、カサゴ、イサキ、イシモチ、キス、タカサゴ、メジナなど、比較的ラクな海釣り・沿岸での釣りで捕れる魚には、「さほど大型でない白身魚」が多いものです。

大型の赤身魚を狙う、「沖まで繰り出す」ような釣りとは、異なるものです。

手間も比較的かからず、危険性も低いものです。

趣味の話については何しろ各人各様ですし、お住いの地域を選びます。

しかし釣りで白身魚を捕らえ、自身で料理する、といった一連の行動を趣味とするのも、シニアにとって健康的といえるでしょう。

※毒性があって食べられない魚、食べられる魚と酷似している有毒魚などもいますので、そういった知識は得た上で「釣りと食」は楽しみましょう。

中高年の体にやさしい白身魚

簡単にまとめれば、「低コレステロールで消化に良い」のが白身魚です。

動物性タンパクの補給源としては、体への負担が少ない部類に入ります。

「魚と健康」というとどうしてもDHA・EPAが注目されるところがありますが、それらを含む青味魚(赤身)は、消化があまり良くないなど食べにくい面もあります。

DHA・EPAは「身」ではなく魚の「油」から摂れますので、サプリメントで補い、食は白身中心とするのも良い判断でしょう。

主にあっさりとしたやさしい風味を持ち、純粋に風味面から白身魚を好む人、年齢を重ねるに従って赤身より白身を好む傾向となってくる人もいます。

実際に、体にやさしく、質の良いタンパク質を無理なく摂れるのが白身魚です。