豆腐の抗酸化作用はシニアの健康維持、老化防止に最適

最終更新日:2017年10月18日

健康の観点から世界で注目されている日本食の中でも、特に大豆を材料とした食品は高い栄養価を持ちます。

味噌や納豆と並ぶ代表的な大豆食品の豆腐は、大豆の持つ豊富な栄養素を効率よく吸収できる点でも優れた食材です。

1.吸収効率を高めた畑の肉

大豆は食料となる植物の中でも例外的にたんぱく質を多く含むだけでなく、そのたんぱく質は肉や魚にも匹敵するほど良質なことから「畑の肉」とも言われてきました。

たんぱく質を摂取すると消化器官の働きでアミノ酸に分解され、それらのアミノ酸が筋肉や皮膚・血液・ホルモンなどの材料として使われます。

たんぱく質を構成するアミノ酸には20種類があり、そのうち9種類は体内で合成できないため食品から摂取しなければならない必須アミノ酸です。

植物性たんぱく質と動物性たんぱく質の違いは構成するアミノ酸の種類にあり、一般に動物性たんぱく質の方が含まれるアミノ酸の種類も多く良質だと言われています。

大豆のたんぱく質は動物性たんぱく質に近い組成で必須アミノ酸も多く含まれているため、「畑の肉」と言われるほど良質です。

その大豆の組織を製造過程でいったん壊して作られる豆腐には、良質なたんぱく質が吸収しやすい形で豊富に含まれています。

2.豆腐に含まれる脂質の効果

最も良質なたんぱく質は肉や魚などの動物性たんぱく質ですが、それらはたんぱく質ばかりでなく脂肪も多く含まれています。

肉に含まれる脂肪は常温で個体となる飽和脂肪酸で、摂取すると中性脂肪やコレステロールを増加させる作用があります。

これに比べて豆腐に含まれる脂肪は常温で液体となる不飽和脂肪酸が多くを占め、必須脂肪酸のリノール酸とリノレン酸の占める割合が高い点も大きな特徴です。

それらの不飽和脂肪酸はコレステロールが少ない上に、体内に取り込まれると善玉コレステロールを増やす方向に作用してくれます。

豆腐に含まれるたんぱく質にも血液中のコレステロールを低下させる働きがあるため、血圧を下げて動脈硬化を予防する相乗効果が期待できます。

肉と比べてカロリーが低くダイエットに効果的と言われている豆腐は、健康面から見ても注目すべき機能性を持つ優れた食品です。

3.レシチンの持つ優れた効能

豆腐に含まれる有用成分の中でも、不飽和脂肪酸を材料として作られるレシチンという物質は脂肪代謝機能を持つ物質です。

豆腐がダイエットに効果があると言われているのは、カロリーが低いだけでなくこのレシチンの働きも大きいからだと言えます。

レシチンは油を水に分散させる乳化力を持つ物質で、体内では脂肪をたんぱく質と結合させて血液中を移動する手助けをしてくれます。

豆腐を通じてレシチンを摂取することによって脂肪の代謝が促進され、血管への悪玉コレステロール沈着と動脈硬化が予防されるのです。

その結果脳血管疾患や心疾患・糖尿病といった生活習慣病も予防され、疲労回復や免疫力向上の効果も得られます。

レシチンは腸で分解されるとコリンという物質に変わり、神経伝達物質のアセチルコリンに合成されて脳を活性化させてくれます。

豆腐に含まれるレシチンは脳の老化を防いで記憶力を高め、認知症予防にも効果を発揮しています。

4.豆腐の種類による栄養価の違い

豆腐には製法の違いによって木綿豆腐・絹ごし豆腐・充填豆腐といった種類があります。

木綿豆腐や絹ごし豆腐は大豆をすり潰して作った豆乳に凝固剤のにがりを加えて凝固させる点では共通しますが、その後に圧搾成型するのが木綿豆腐です。

絹ごし豆腐は圧搾成型せず、水分を絞り出さずに固める製法のため舌ざわりが柔らかくなります。

食感の違いによって木綿豆腐を好む人と絹ごし豆腐を好む人に分かれますが、両者の間には含まれる栄養分にも違いが見られます。

木綿豆腐は圧搾成型の工程でビタミンBやカリウムなど水溶性の栄養分が流れ出してしまうのに比べ、絹ごし豆腐には水分とともにそれらの栄養素も残されているのです。

木綿豆腐や絹ごし豆腐よりも保存期間が長い充填豆腐は豆乳を容器に充填した上で加熱と凝固・殺菌が行われ、空気に触れることなく製造されます。

木綿豆腐や絹ごし豆腐と比べて容器内に菌が少ないため保存期間が長い充填豆腐は、栄養素も豊富に残されている点が大きな特徴です。

5.シニアの健康維持に最適

良質なたんぱく質や脂質を豊富に含む豆腐には、レシチン以外にも健康に役立つ成分が多く含まれています。

原料の大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンと似た分子構造を持つことから、中高年以降の女性に多い骨粗鬆症を予防する効果を効果を持つ物質です。

女性ホルモンのエストロゲンは骨からカルシウムが溶け出すのを抑制する働きをしていますが、閉経後の女性はエストロゲンの急激な減少によって骨密度も低下しやすくなっています。

イソフラボンを摂取すると体内で女性ホルモンと同様の働きをしてくれるため、骨密度の低下も防いでくれると考えられるのです。

豆腐は抗酸化作用を持つ大豆サポニンも含まれており、この物質が細胞の酸化を抑制してくれるため老化防止にも役立ちます。

高齢になると硬い食べ物は食べにくくなるものですが、柔らかい豆腐なら毎日の食生活に取り入れやすいものです。

大豆の持つ豊富な栄養を凝縮した豆腐は、シニア世代の健康を維持するのに最適な食品と言えます。

日本人が生んだ優れた健康食品「豆腐」

栄養豊富でありながら消化の良くない大豆の吸収効率を最大98%にまで高めた豆腐は、日本が生んだ健康食の傑作です。

若い頃は肉中心の食生活を送っていた人も、中高年になったら健康を意識したメニューに切り替えることが長寿につながります。

日本が世界有数の長寿国となった背景には、豆腐を生んだ独自の食文化があります。