「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」や「リンゴが赤くなると医者が青くなる」といった諺があるくらい、リンゴは栄養価に優れた食材です。
歯ごたえがよく、適度な酸味を持つリンゴは果物の中でも定番のひとつといえます。
1.リンゴの品種
わたしたちが普段口にするリンゴはセイヨウリンゴといわれるもので、熱帯以外では世界中で栽培されています。
日本では青森県や長野県がその代表的な産地です。
リンゴは世界的には数千から1万以上といわれるほど品種が多く、日本だけでも80種類以上が存在します。
日本で多く流通しているものは果皮が赤い「ふじ」や「つがる」の系統で最近では果皮が黄色い「シナノゴールド」や「ぐんま名月」なども流通しています。
2.リンゴの主な栄養素
リンゴは、ビタミンやミネラルをはじめ、リンゴ酸などの有機酸類や水溶性食物繊維のひとつであるペクチンなどさまざまな栄養素を幅広く含み、栄養豊富で健康や美容に効果があるイメージが定着しています。
中でも近年注目されているのはリンゴポリフェノールと呼ばれる多くのポリフェノールを豊富に含んでいていることです。
代表的なものはプロシアニジン類、カテキン類で、クロロゲン酸、ケルセチンなどで、このほかにも100種類以上のポリフェノールが含まれています。
3.生活習慣病に効果
リンゴポリフェノールは抗酸化作用が高く、活性酸素が体を酸化させるのを抑制する働きがあります。
これは、見た目のアンチエイジング効果だけではなく、血中コレステロールが酸化することによって過酸化脂質になることを防ぎ、動脈硬化や血栓ができるのを防ぐ効果も期待できます。
また、リンゴポリフェノールは抗酸化作用は血液循環をスムーズにし、高血圧対策にも効果があるとされています。
4.肥満の予防
抗酸化作用があるリンゴポリフェノール多く摂取すると、内臓機能が活発化するとされていて、血行不良や代謝の低下が原因となるむくみを改善する効果も期待できます。
このほか、リンゴポリフェノールはリポタンパク・リパーゼという酵素の働きを抑制します。
リポタンパク・リパーゼは脂肪の分解や蓄積を行っている酵素で、リンゴポリフェノールはこの酵素の働きを抑制することで小腸における脂肪の吸収を抑制し、体外への排出を促進する働きがあるとも言われています。
また、同じようにリンゴに含まれるペクチンも血糖値の上昇を抑制したり腸内環境を改善し、老廃物の排出を促進して肥満予防の効果が認められています。
そのためリンゴポリフェノールとの相乗効果でダイエットサポートに役立つとも考えられています。
5.アンチエイジング
リンゴポリフェノールの高い抗酸化作用は肌細胞が酸化することによって起こるしわやたるみといった老化現象を抑制するためにも有効と考えられます。
リンゴポリフェノールは紫外線を浴びることによって増加するメラニン色素の生成を抑制する光老化予防効果も認められています。
リンゴポリフェノールは果皮に多く含まれているため、皮ごとリンゴを食べることで、老化予防や美肌効果が期待できます。
6.アレルギー症状の改善
リンゴポリフェノールにはヒスタミン遊離抑制作用という、アレルギーを軽減する働きがあるとの報告もあります。
リンゴポリフェノールに以外にペクチンにもアレルギー軽減の効果が期待できるので、リンゴを食べることでアトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー反応を抑制できるのではないかという研究もあります。
7.整腸作用
リンゴは一般的にもおなかに優しい食べ物とされています。
これは水溶性食物繊維のペクチンを含有しているためです。
ペクチンは腸内の善玉菌である乳酸菌のエサとなって増殖させ腸内フローラのバランスを整える効果が期待できます。
このため、整腸作用や便通の改善にも役立つとされます。
ちなみにペクチンはゼリー状に固まる性質をもつ物質ですので、便の固さを調節したり、腸の老廃物をからめとり、体外へ排出する効果もあります。
8.リンゴの選び方・食べ方
リンゴを選ぶ際には手に持った時に重みのあるもので、ムラなくしっかりと色づいているものを選びましょう。
比較的大きすぎないものの方が味は良いとされます。
また、リンゴは切ったままにしておくと茶色く変色してしまいます。
これはリンゴポリフェノールの成分のひとつで、エピカテキンが外気に触れて起こるものです。
変色してしまうとポリフェノールが減少してしまうため、切ったらすぐに食べましょう。
ただし、切った後しばらく置いておかなければならないのであれば、塩水に浸しておくか、レモン果汁をかけておくとすぐに変色してしまうのを防ぐことができます。
手軽にさまざまな健康効果が期待できるリンゴ
リンゴは比較的安価で、洗うだけで手軽に食べられる食材です。
病気の予防や改善に役立つ、さまざまな栄養素も含んでいますので、積極的に食べていきたい食材のひとつです。