青魚の特徴とシニアの健康・体への効果【心身の健康】

最終更新日:2017年8月11日

加齢とともに生活習慣病や認知症のリスクも高まりますが、食生活の改善で予防できる病気も少なくありません。
中でも不飽和脂肪酸が多く含まれる青魚は、血管や脳などさまざまな面で健康効果が期待できる優れた食品です。

1.青魚の種類と含まれる栄養素

魚類の中でも青魚と呼ばれているのは背の青い魚の一群で、イワシやサンマ・サバ・アジなどが代表的な種類です。
四方を海に囲まれた日本では古くからこうした青魚を多く食べる食習慣が定着し、これらの種類は大衆魚として長く親しまれてきました。

イワシやサンマなど代表的な青魚は、海中では群れで回遊し大量に漁獲しやすいことから、安い価格で購入できる食材として庶民の台所を支えてきたのです。
日本で肉食の習慣がなかった時代の貴重なタンパク源だった青魚は、EPAやDHAを多く含んでいる点で現在も脚光を浴びています。

EPA・DHAともに常温で固体となる不飽和脂肪酸の一種で、血管や脳などに対するさまざまな健康効果を持つ成分です。
いずれも食品からの摂取が必須とされている栄養素ですが、日本人は昔ほど魚を食べなくなったためにEPAとDHAの摂取量も減少傾向にあるのは否定できません。

2.青魚に多く含まれるEPAの見逃せない効能

青魚に多く含まれるEPAは血管を柔らかくしてくれる性質を持っており、心筋梗塞や脳梗塞などの原因となる動脈硬化を予防してくれます。
心筋梗塞も脳梗塞も血栓が血液の流れを塞ぐことで発症しますが、この血栓ができにくくする作用をEPAが果たしています。

血管の壁が傷つくとそこに血液中の血小板が集まり、血液が固まって傷を修復しようとします。
EPAは血小板が集まるのを抑える性質を持っているため、血液が固まりにくい体質を獲得するには青魚を多く食べるのが効果的です。

一方でEPAは血液中のコレステロールと中性脂肪を減らす効果を持つため、血液をさらさらにして動脈硬化も予防してくれます。
それらの相乗効果によって冠動脈や脳血管が健康に保たれ、心筋梗塞や脳血管障害といった怖い病気を防ぐ効果が得られるのです。

EPAには過剰な免疫反応を抑制する作用も知られており、炎症が起こりにくくなるという実験結果が報告されています。

3.脳の健康に必須の青魚のDHA

一方のDHAは体内でも細胞膜を作る原料となり、脳の神経細胞や網膜に多く存在している物質です。
DHAは赤血球にも含まれていますが、DHAの含有率が高い赤血球ほど柔らかく変形しやすい特徴があります。

そのような赤血球は毛細血管も容易に通り抜けられるため、青魚を多く食べてDHAを十分に摂取している人は血流がスムーズになります。
このDHAは脳の神経細胞を作るための材料としても使われており、DHAが豊富な神経細胞ほど反応性がよくなります。

青魚を通じてDHAを多く摂取すると脳にも好影響を与え、記憶力や学習能力が向上すると言われているのです。
アルツハイマー型認知症の初期症状は記憶力の低下から始まるケースが多く、DHAの摂取にその予防効果が期待されます。

脳の健康に必須と言えるDHAは網膜細胞の材料にも含まれるため、網膜内の情報伝達を速くして視力低下を抑える働きをしています。

4.青魚を食べる量の目安

以上のように多くの健康効果を持つEPAとDHAは、青魚の種類によって含まれる量が異なります。
100g当たりのEPA含有量ではマイワシがサバより多く、サンマやアジはこれより少なめとなっています。

100gに含まれるDHA含有量では、サバ・サンマ・イワシの順に多いものです。
一般的には青魚と呼ばれていないマグロの場合では、本マグロのトロにEPAとDHAとも豊富に含まれています。

マグロの赤身部分は青魚と比べてEPA・DHAとも大幅に少なくなりますので、価格が安い青魚は栄養面でも優れた食材と言えます。
サンマは特にDHAの含有率が高く、サバやイワシは両方がバランスよく含まれている点が特徴です。

どちらも1日当たり1gを摂取することが目安とされており、サバであれば1切で必要量がカバーできる計算です。
イワシの場合は2尾が、サンマは1尾の半分ほどが1日の必要量を摂取するための目安となります。

5.青魚の調理方法の注意点

EPA・DHAともに不飽和脂肪酸の中でも二重結合が複数持っており、酸化されやすいという性質を持っている点は注意が必要です。
青魚を食べる際には、抗酸化作用を持つビタミンの豊富な野菜と一緒に摂取するといいでしょう。

EPAやDHAは熱を加えることによっても何%かは失われてしまうため、刺身にして生のまま食べるのが最も理想的な食べ方と言えます。
青魚の多くはよほど新鮮でない限り刺身で食べるのは難しいですが、焼き魚や煮魚にして食べる場合でもEPA・DHAの損失率は20%程度です。

油で揚げた場合におよそ半分が失われるのと比べて損失量を大幅に少なくできることから、青魚の調理方法としては煮たり焼いたりするのが無難と言えます。
調理が苦手な人にはサバやサンマ・イワシなどの缶詰を有効活用するのもいいでしょう。

青魚の缶詰にもEPAやDHAは豊富に含まれているため、同様の健康効果が期待できます。
いずれにしても毎日の献立にそれらの青魚を加えることによって、健康に大きなプラスとなるのは間違いありません。

シニア以降は青魚を積極的に食べよう

血管や脳の機能は加齢による老化が避けられず、誰でも年を取るとさまざまな病気にかかりやすくなります。
そうした中でも日常的に青魚をよく食べる人は、そうでない人よりも血管年齢が若く生活習慣病の発症リスクが低いものです。

薬に頼ることなく健康を維持するためには、毎日の食事の中で青魚を積極的に取り入れるが効果的です。