定年後の旅!鞍馬寺(鞍馬山)天狗・牛若丸伝説の修練の場で参拝

最終更新日:2017年9月26日

平安京の北に連なる山々に囲まれ、天狗の霊山に抱かれた鞍馬寺。

京都市街から車で約1時間(約12km)、京の奥座敷 鞍馬は、自然のエネルギーに満ちた神秘の森が広がる、京都の聖地です。

天狗伝説、牛若丸伝説が残る霊山を散策し、京都最強といわれるパワーをいただきましょう。

今回は、鞍馬寺山門から奥の院魔王殿まで、「自然信仰の地」鞍馬をご紹介します。

1.国宝 毘沙門天立像を祀る、鞍馬寺の歴史

鞍馬寺は宝亀元年(770)、鑑真和上の高弟鑑禎(がんてい)により創建。

桓武天皇による平安遷都の2年後(796)、造東寺長官だった藤原伊勢人が、平安京の鎮護寺として千手観音菩薩を毘沙門天と併せて祀り、堂宇伽藍を造営しました。

毘沙門天は武神でもあるので、戦国時代には、信玄・秀吉・家康などの名だたる武将が、戦勝祈願に訪れたそうです。
その後、度重なる火災で堂宇を消失、明治時代の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)により荒廃しました。

昭和22年初代管長信樂香雲が、古神道や陰陽道、山岳宗教を統一して鞍馬弘教を開山開宗、昭和24年に鞍馬寺は鞍馬弘教の総本山となり復興、今日に至ります。

2.仁王門から本殿金堂までは、ケーブルで

駅前に大きな天狗の顔がある鞍馬駅から、山門まで歩いて3分です。
鞍馬街道に面した石段を昇ると、湛慶(たんけい)作の仁王尊像を祀る、大きな朱塗りの仁王門が見えます。

門をくぐり、手水場で観音さまに願いをこめてから、霊域に足を踏み入れましょう。
参道の脇には、片道200円で多宝塔駅(山上駅)まで行ける、ケーブルの山門駅があります。(運行間隔は、15分~20分毎)

約2分で到着する多宝塔駅から、本殿下まで続く300mの新参道を、自然を満喫しながら歩きましょう。
やがて見えてくる155段の石段を上がった先が、本殿金堂です。(徒歩10分)

3.ケーブルを使わない、徒歩25分の九十九折コースもオススメです

仁王門から砂利道の参道を上がって5分ほどのところに、鞍馬の火祭で有名な由岐神社(ゆきじんじゃ)があります。

清少納言が枕草子のなかで、「近うて遠きもの」と記した、九十九折(つづらおり)の険しい参道を一歩一歩登りましょう。

山本青瓢歌碑、川上地蔵堂、義経公供養塔、愛と光と力の像「いのち」、双福苑、信樂香雲歌碑、中門を経て、貞明皇后行啓 御休息跡、巽の弁財天社、転法輪堂・洗心亭、寝殿、そして本殿金堂に至ります。

4.霊宝殿から魔王殿まで、奥の院参道は険しい山道です

本殿奥の霊宝殿を出て、息つぎの水、屏風坂の地蔵堂、背比べ石、牛若丸が修行したと伝わる木の根道を経て、大杉権現社、不動堂、義経堂、魔王殿に至る徒歩30分の山道です。

険しい山道なので、歩きやすい靴と服装で訪れてください。
参道は昼間でも薄暗く、人気が少ないので、女性の独り歩きは避けた方が良いでしょう。

木の根道では、転ばないように足元に気を付け、自然保護のため、木の根を踏まないようにしてください。
奥の院魔王殿から、灯ろうが並ぶ参道で有名な「貴船神社」までは、徒歩で10分ほどですので、ぜひ訪れてみてください。

5.由岐神社や本殿など、見どころはめじろ押しです

・由岐神社(鞍馬の街の氏神)重要文化財

天慶3年(940)京の鬼門封じのために創建された神社です。
慶長12年(1607)豊臣秀頼が建立した、舞台造り拝殿は、中央に石段の通路がある割拝殿(わりはいでん)形式。

樹齢800年の杉の巨木は、願掛けの杉と呼ばれ、厄除けや商売繁盛のご利益があります。
本殿の左右には、子供を抱いた珍しい狛犬がおり、由岐神社は子孫繁栄と安産の神様として、信仰を集めていたそうです。

天狗のキーホルダーのなかに、おみくじが入った天狗みくじ(400円)の授与は、ここだけなのでオススメです。

・本殿金堂

千手観音菩薩、毘沙門天王、護法魔王尊を安置する、中心道場です。
本殿前の左右には、狛犬ならぬ「阿吽(あうん)」の虎が。

毘沙門天の使いの神獣だそうです。
秘仏である御本尊の御開帳は、60年に1度で、次回は2046年です。

地下の清浄髪奉納祈願所は、おびただしい数のろうそくと壺があり、必見ですよ。

6.歴史ある行事|竹伐り会式と鞍馬の火祭

竹伐り会式(たけきりえしき)は、毎年6月20日に僧兵姿の鞍馬法師が、大蛇にみたてた4mの青竹切りを競い、その年の豊作を占う行事です。

毎年10月22日、由岐神社で京都三大奇祭の一つ、鞍馬の火祭が催されます。
松明が山を赤く染めるさまは圧巻、一度見たら忘れられない勇壮な火祭ですよ。

夏の鞍馬寺も素敵ですよ

伝説に彩られた鞍馬寺の魅力を紹介してきました。
義経ファンやパワースポット巡りを楽しむ方にとっては、なによりの思い出になるでしょう。

観光寺院とは一線を画する、修練の場としての参拝を体験してみてください。
春の桜や秋の紅葉はもちろん、酷暑の京都で涼をもとめ、市街地より数度気温が低い、この地域での観光もオススメです。

時間があれば近くの貴船神社を詣で、川床料理も楽しんでみてください。