定年後の旅!上高地(長野県)は平坦で歩きやすくアクセスも良いシニア向き観光地

最終更新日:2017年9月25日

上高地は1500mの高地にありながら普段着でも行ける気軽な観光地です。
それでいてヨーロッパアルプスを思わせる洗練された雰囲気も漂っています。

そんな不思議な魅力にあふれた上高地を紹介します。

1.上高地ってどこにあるの?

上高地は長野県松本市にありますが、松本市街地からは自動車の乗車時間で約1時間の距離があります。
中部山岳国立公園に属していて、特別名勝・特別天然記念物に指定されています。

明神池などの神秘的な景観もあり、「神降地」(神の降り立つ地)といわれることもあります。
その美しさから4月中旬から11月初旬までの期間に150万人もの人が訪れています。

松本市街地は標高600mですが上高地は1500mの山岳地です。
通常は大正池から横尾までを上高地と言いますが、河童橋周辺だけを指している場合もあります。

北アルプスへの登山口にもあたっていますので、最近のシニアの登山ブームもあって中高年の姿が多くみられるようになりました。
上高地は古代では巨大な湖でした。

湖だった時代に湖底に堆積した土砂により現在の平坦な地ができているのです。

2.上高地に行くには

上高地は環境保護のためマイカー乗り入れが規制されています。
許可されているバスかタクシーを利用しないと上高地には行けません。

一番多いアクセス方法は、自家用車で沢渡駐車場まで行き、そこからシャトルバスを利用する方法です。
もし4人以上のグループであればタクシーを使用しても料金はあまり違いません。

電車の場合は松本駅から新島々駅まで行き、そこからバスかタクシーとなります。
本数は少ないですが松本バスターミナルから上高地直通バスもあります。

3.こんなにある年間行事

上高地のシーズンは短いですが、その間に盛りだくさんのイベントがあります。

4月中旬から上高地へのバスやタクシーの乗り入れが始まり、観光施設・宿泊施設の関係者が上高地入りをします。

4月下旬に上高地開山祭が開かれて、観光シーズン入りとなります。

6月3日に上高地を世界に広めた英国牧師のウェストンをたたえるウェストン祭が開かれます。

8月11日は新しい国民の祝日「山の日」にちなんだイベントが開催されます。

10月8日は穂高神社奥宮例大祭で明神池お船祭りがあります。

11月中旬に上高地閉山祭が開かれて、観光シーズンを終えます。

ちなみに2016年の第1回の山の日は、皇太子を迎えて上高地で記念大会が開かれました。

4.芥川龍之介も訪れた?河童橋

上高地と言えば、お約束の絵として穂高連峰を背景に梓川にかかる河童橋となります。
上高地を訪れたら、まずはさておき河童橋で記念写真を1枚ということになります。

知名度の高い河童橋ですが、河童の名前の由来については諸説あります。
最有力なのが芥川龍之介の最後の作品「河童」で登場することです。

しかも芥川龍之介自身が上高地を訪れていますので説得力も高いです。
対抗馬として、河童橋がかかる付近に梓川の流れが急に深くなる危険な淵があり、注意喚起の意味で河童淵といって「河童が出るので気をつけろ」からきているというものです。

大穴は、河童橋ができる前に荷物を頭に載せて梓川を渡っていて、その姿が河童のように見えたことからきている、というものです。
ただしこの説は地元の人から否定されています。

5.大正池

大正池は上高地のまさに入り口に位置しています。
大正4年の6月6日に起きた焼岳の噴火で発生した土石流が梓川が堰き止めてできた池です。

年号にちなんで大正池という名前になっています。
大正池といっても梓川の一部でもあり、河原に降り立ち池の水に手を入れることもできます。

左手に噴煙をたなびかせる焼岳、右手前方に穂高連峰、右手後方に六百山と、まさに奇跡の絶景です。
この大正池、できた当初はカラマツの立ち枯れの木が林立して、神秘的で美しい池でした。

ところが年月を経過するとともに立ち枯れの木も朽ち果てて徐々に無くなり、現在では数えるほどです。
あの大正池が徐々にただの池に変貌しつつあります。

毎年オフシーズンには懸命の浚渫(しゅんせつ)が行われてはいますが、自然の摂理の前にはどうにもなりそうもありません。

是非今のうちに大正池に訪れておきましょう。

6.山なのに舟?お舟祭り

大正池が徐々に上高地らさしさを失いつつある現在、明神周辺が一般にイメージされる上高地に最も近い景観を残しています。
とりわけ明神池と穂高神社奥宮一帯は、まさに上高地(神降地)ともいえる神秘的は美しさをたたえています。

明神池はもともと梓川の支流が明神岳からの崩落で堰き止められてできたとされています。
水源は伏流水なので気象状況によらず常に透明に澄んでいて、厳冬でも凍ることがない神秘の池です。

この明神池は穂高神社の私有地になっていますので、一般人は穂高神社に参拝する形を取らないと入ることができません。
通常は有料ですが、お船祭りの時だけは神事に参列するという意味で無料で入ることができます。

1500mも高いところにある池でお舟祭りというのも不思議な感じがしますが、安曇野にある穂高神社でも例大祭は舟を形どったお舟祭りがとり行われています。

いわれは諸説あるのですが、穂高神社を最初に祀った安曇氏が白村江の戦いで戦死したことを弔う行事が起源となっています。

7.日本一短い?清水川の不思議

上高地の河童橋周辺には多くの宿泊施設、飲食店、土産物屋が軒を連ねています。
ここでの飲料水や生活水は河童橋すぐ近くに流れてくる清水川の水を使用しています。

実はこの川、長さがたった300mしかありません。
にもかかわらず流量が数トンもあります。

当初「日本1短い川」と紹介されていましたが、立証ができないということで現在では「上高地で1番短い川」という苦しい説明となっています。

なお、松本市の公式サイトでは清水川の水は周囲の山々に降った雨水だとされていますが、雨水だけでは清水川の豊富な水量と計算が合いません。

清水川の水は、近くを流れる梓川の水が地下を通り、硬い岩盤に突き当たり地上に湧き出したものが水源となったと推定されています。

それでいきなり大流量の湧水が地上に湧き出し、川となって梓川に流れ込んでいます。

上高地は中高年にピッタリの観光地

上高地の魅力は、雄大なアルプスの景観、清らかな水、保護されている貴重な自然の組合せにありました。

それでいてアクセスがしやすく、平坦で歩きやすい土地なので、まさに中高年のための観光地です。
上高地もどんどんその姿を変えています。

いくら真剣に環境保護に取り組んでも、自然は立ち止まってくれません。
さぁ、今のうちに上高地に行って、現在の姿を瞼に焼き付けておきましょう。