定年後の旅!宝珠山立石寺、通称山寺は芭蕉ゆかりの地!俳句や歴史好きには堪えられません

最終更新日:2017年9月25日

山寺の通称で知られる宝珠山立石寺は、芭蕉ゆかりの地として俳句や歴史の好きな人の間に人気があります。

文学や歴史とは無縁の人生を送ってきた人であっても、山寺は日本人なら死ぬまでに一度は訪れたい場所です。

1.山寺の歴史と交通アクセス

山形県山形市にある宝珠山立石寺は、平安時代初期から続く古い歴史を持っています。

創建の時期に関しては諸説がありますが、貞観2年(西暦860年)に慈覚大師円仁が開山したという説が一般的です。

開山に当たっては本寺の延暦寺から不滅の法灯を分け与えられ、境内には円仁の入定窟と伝えられる岩窟も存在します。

東北地方随一と言われる霊山の名に相応しく、立石寺の境内は山の自然と寺院とが一体となった独特の空間です。

1015の石段から成る登山道の周辺に30余りの堂塔や石仏・岩塔婆などが点在し、日本人の感性に強く訴えかけるような神聖さが感じられる点でも立石寺は人気を集めています。

立石寺は山形市内でも郊外に位置しているため、JR山形駅からの所要時間は仙石線で約20分、駅前から車で30分ほどです。

仙台市からは仙石線で約50分、自動車だと90分ほどで立石寺に到着できます。

2.芭蕉ゆかりの地としても人気

山寺の名で親しまれてきた立石寺を一躍有名にしたのは、松尾芭蕉が紀行文「おくのほそ道」で詠んだ「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」の句です。

芭蕉の残した句の中でも最も知られているこの句は、元禄2年(1689年)に芭蕉が弟子の曾良とともに立石寺を訪れた折に生まれました。

芭蕉は尾花沢滞在中に現地の俳人から勧められ、予定になかった立石寺に立ち寄った中で、「佳景寂莫として心澄みゆく」心境に至ったのです。

現在の立石寺境内も芭蕉が訪れた当時の面影を色濃く残しており、蝉の声さえ岩にしみ入るような静けさを追体験することができます。

ちなみに芭蕉が声を聞いた蝉の種類については、山形県出身の歌人・斎藤茂吉と文芸評論家・小宮豊隆の間で繰り広げられた論争が有名です。

アブラゼミだと断定した茂吉に対して小宮はニイニイゼミだと主張しましたが、その後の調査結果を受けて茂吉が誤りを認めました。

立石寺の境内には杉の巨木が多いせいか、7月下旬から8月頃にかけての夕暮れ近くにはヒグラシの涼しげな声も聞くことができます。

3.境内に点在する文化財の数々

古い歴史を持つ立石寺には、1015段を登る境内の至るところで由緒ある堂塔や文化財が見られます。
登山道を登り始めてすぐに見えてくるのは、本堂に当たる根本中堂です。

室町時代初期の1356年に再建された現在の御堂は、ブナ材を使った最古の建造物としても歴史的価値の高い文化財です。

石段を登り詰めた先の一番高い位置にある如法堂(奥の院)には、結婚前に亡くなった若者の霊を弔うためのムサカリ絵馬が多く奉納されています。

百丈岩の上に建てられた開山堂の近くには、立石寺境内で最も古い建造物と言われる納経堂が見られます。

そこからさらに狭い石段を登っていった先の五大堂は舞台作りの展望台で、山々や麓の町が一望の下に見渡せる絶景スポットです。

この他にも性相院や金乗院・中性院・華厳院といった寺院が境内に点在します。

特に登山道の半ばほどの位置にある仁王門には、運慶の弟子たちの作と伝えられる仁王尊像が、左右の門内に安置されています。

4.境内の民間信仰を色濃く反映した幻想的な風景

山寺の名に相応しく、立石寺は数多くの仏教寺院が山の自然に溶け込む形で配置されている点が大きな魅力です。

一方で立石寺境内には民間信仰を色濃く反映した風景も至るところで見られ、それらが山寺特有の幻想的な雰囲気を醸し出しています。

1015段という石段を登っていくのも特に中高年の人にとっては大変ですが、そうした路傍の風景を1つ1つ味わいながら歩くことで体力への負担も軽減されるものです。

地蔵や観音像などの石仏は数知れず、後生車のついた卒塔婆や石塔・石灯籠も道端に点在しています。

立石寺境内を構成する山を特徴づけている要素の1つに、岩や石が随所で剥き出しになった光景が挙げられます。

垂直に切り立った岩壁には死者を供養する目的で掘られた岩塔婆も多く見られ、中には文字も判別できないほど古いものも少なくありません。

中でもせみ塚と仁王門の間にある弥陀洞は一番の見所で、巨大な岩が風化作用によって阿弥陀如来の姿を形作っており、その下部にも多数の岩塔婆が刻まれています。

5.死者の魂が環る場所

路傍の石仏・石塔や岩塔婆の群が岩の多い山の風景と同化し、点在する寺院と渾然一体となった山寺独特の風景に魅了された人は少なくありません。

死者の魂は山寺に環ると古くからこの地方の人々に信仰されてきた証が、立石寺を訪れることで実感できます。

これらの風景を目の当たりにして受ける感慨はその人によって異なり、芭蕉の達した境地に思いを馳せる人もいれば、亡くなった人への思いを新たにする人もいます。

四季折々に表情を変える点も立石寺の魅力で、蝉時雨が降り注ぐ夏ばかりでなく、色鮮やかな紅葉に彩られる秋や幻想的な雪景色が楽しめる冬の山寺も人気です。

石段を登るのがきついという中高年の人は、杖を用意して登ると歩くのが楽になります。

靴なども踏ん張りの効くしっかりとしたものを選び、動きやすい服装で臨むことで山寺の風景をじっくり味わう余裕も出てくるものです。

順調に登れば下山までの所要時間は1時間半ほどですが、途中で疲れたら休憩所で腰を下ろすこともできます。

異空間を訪れたかのような風景が楽しめる宝珠山立石寺

以上に見てきたように、立石寺山寺は日常から離れた異空間のような独特の風景が味わえる場所です。

山の自然と溶け合った寺院は日本各地に多く見られますが、その中でも山寺は必見の景観を持つ観光スポットと言えます。

運動不足の解消も兼ねて1015の石段を登っていけば、その労力に見合った景色と閑寂な境地が得られるのです。