岡城阯(大分県竹田市)は「荒城の月」ゆかりの城!広大な城址をウォーキングしよう

最終更新日:2017年11月24日

大分県竹田市にある岡城址は石垣のみを残す城跡ですが、歴史ロマンあふれる城郭遺構として人気のスポットです。

広大な城址を巡る登城道が整備されており、シニア世代の人たちにも歩きやすいよう配慮されています。

1.「荒城の月」ゆかりの城

臥牛城や豊後竹田城の異称でも知られた岡城は、竹田市にある標高325mの天神山に築かれていた城です。

岡城は江戸時代の度重なる災害や大火の都度修復されてきましたが、明治維新後の廃城令によってすべての建造物が取り壊されました。

現在の岡城址に残る石垣を見れば、壮大な規模を誇ったかつての城の様子が窺えます。

岡城の城跡は昭和11年になって「岡城址」として国の史跡を受け、現在に至るまで市民の憩いの場として親しまれてきました。

岡城址は瀧廉太郎の作曲した「荒城の月」ゆかりの地としても知られており、二の丸跡には瀧廉太郎像が建てられています。

春は桜、秋は紅葉の名所としても岡城址は人気が高く、廃城巡りが好きなシニアなら一度は訪れたい場所です。

2.城内に残る歴史遺構の数々

城を構成する要素としては天守閣や渡櫓・門などの建造物が重要視されてきましたが、それらの建造物を支える石垣は城の基礎を形作る最も重要な構造物です。

その上に建つ天守閣をどれだけ立派に造っても、土台となる石垣が脆くてはすぐに崩壊してしまいます。

その点で岡城址に残る石垣は、天守閣を含む地上部分の建物がすべて取り壊されて以降も堅固な城郭構造を現在まで伝えてきました。

標高325mの高さに石垣を築き上げるのは、当時の技術としても大変な作業だったと容易に想像できます。

400年の年月を経て古びた石垣が山の自然に溶け込み、「九州のマチュピチュ」と表現する人もいるほど独特の景観を形作っています。

まさに天空の城と呼ぶに相応しいその光景は、古城・廃城マニアの間でも憧れの対象とされてきました。

特に地獄谷を見下ろすようにそびえ立つ三の丸の高石垣は、難攻不落と言われた山城の堅固さを象徴する光景として必見です。

3.桜の名所としても有名

その昔は強力な島津軍さえ撃退したほどの堅城として機能していた岡城も、現在は国の史跡に指定された城址の大半が岡城公園として整備されています。

この岡城公園は日本桜名所100選にも選ばれているだけに、3月下旬から4月上旬にかけてソメイヨシノなど1500本の桜が咲き誇る光景は見ものです。

400年の歴史を伝える石垣に満開の桜が映え、カメラ好きのシニアにとっては絶好の被写体を提供してくれます。

桜の開花期間中には岡城桜まつりが開催されますが、その中でも観光客に人気を集めているのが岡城址から城下町を練り歩く大名行列です。

11月上旬から下旬にかけての岡城址はモミジやカエデなどの色鮮やかな紅葉に彩られ、春の桜シーズンにも負けないくらいの観光客で賑わいます。

幾星霜を経て佇む石垣を抱きながら四季折々に表情を変える岡城址の自然は、廃城ファンだけでなく自然を愛するシニアの目も楽しませてくれるのです。

4.少年時代の瀧廉太郎も親しんだ城跡

岡城の起源は平安時代末期にまでさかのぼり、戦国時代には大友氏一族の志賀氏が戦力拠点としていました。

安土桃山時代の豊臣政権時代になって中川清秀の次男・秀成が入城し、大々的な修築工事を実施したことで岡城は近世城郭へと大きく生まれ変わることになります。

現在に残る石垣の基礎はこの時代に築かれ、江戸時代を通じてたびたび修復されてきたものです。

幼少時を竹田市で過ごした作曲家の瀧廉太郎もたびたびこの城跡に登り、石垣の残る廃城の光景に親しんでいました。

後年の彼が「荒城の月」を作曲した際にも幼い頃に見た城跡の風景からインスピレーションを得たと伝えられており、日本人の心に響くあの哀切なメロディが誕生するきっかけとなったのです。

岡城址の下を走る国道には車が走行すると「荒城の月」のメロディが流れるように舗装された区間が存在するため、そのメロディに耳を傾けながら荒城の風景を味わうのも岡城址を訪れる楽しみの1つです。

5.広大な城址を歩く旅

廃城と言えば荒れ果てた光景を思い浮かべがちですが、岡城址は安土桃山時代から江戸時代にかけて築かれた石垣も随時補修されて良好な保存状態にあります。

シニア世代の人でも安心して城址公園の散策を楽しむことができますが、東京ドーム22個分にも相当すると言われるほど広大な城跡です。

大手門跡や近戸門跡から続く登城道は急な上り坂となっていますので、訪れる際には歩きやすい靴と装備が欠かせません。

桜の馬場から西の丸御殿跡を経て本丸・二の丸・三の丸それぞれの跡地を巡るには、最短でも往復30分はかかると言われています。

他では見られない岡城址特有の風景をじっくり味わいながら余裕を持って一巡りするには、2時間ほどを見ておくのが無難です。

岡城址はJR豊後竹田駅から徒歩25分ほどの距離にあり、駅前からバスに乗れば岡城入口で下車して徒歩15分に短縮できます。

長湯温泉など近くの温泉に数日滞在し、天候の良い日を選んで岡城址に登るのもいいでしょう。

岡城址からの景色とロマンを楽しもう

岡城址は標高も高いだけに登るのは大変ですが、本丸や二の丸から眺める景色は訪れる人を魅了してやみません。

天守閣などの建造物は残されていなくても、難攻不落の山城を偲ばせる石垣の遺構は歴史ロマンをかき立ててくれます。

異空間とも言える岡城址独特の風景は、古城を愛する歴史ファンに言葉を超えた感動を与えてきたのです。