富士山(静岡・山梨)の大自然を満喫できる周辺トレッキングはシニアに最適

最終更新日:2017年11月27日

日本一の標高を誇る富士山。

世界遺産にもなったその山の魅力は高さだけではありません。

独立峰としてそびえ立つその堂々たる容姿の美しさは古くから心の拠り所として信仰の対象となり、一度は登ってみたいとその姿を仰ぎ見た者の心をつかんできました。

その多様さにこそ富士山の魅力はあります。

1.信仰の山富士山頂を目指して

富士山山頂への登山ルートは四か所。

吉田、須走、御殿場、富士宮から登山を開始します。

それぞれの登山道には山小屋・トイレが数か所ずつあります。

登山者の体力や富士山までのアクセス方法によって日帰り登山か山小屋に一泊するのか、どのルートが自分に適切か考えます。

また、きちんとした登山装備が必要です。

森林限界を超えた富士山は一面が火山灰。

砂利が靴に入らないようくるぶしを覆う登山靴、防寒着、落石が多いためヘルメットもあると安心です。

富士山は山そのものが御神体です。

山頂にたどり着くとそこには富士山頂上浅間大社奥宮があり、御朱印がいただけます。

さらに「お鉢巡り」といって山頂火口縁をぐるりと一周すると、最高地点の剣ヶ峰、現在は無人の富士山測候所があります。

また噴火口はかつて火山灰が噴き出た自然の荒々しい一面を見せてくれます。

山頂を目指すにあたって最大の注意は体調です。

人によっては高山病を発症し、頭痛や吐き気を感じます。

また、標高が高い場所での変わりやすい天気で体温調節がうまくいかないと体調を崩します。

無理をせず体と相談しながら途中で引き返す勇気も必要です。

2.身軽に富士山の大自然を満喫できる周辺トレッキング

山頂を目指すだけが富士山の楽しさではありません。

山頂までは登らなくても、富士山の自然やエネルギーに触れることができます。

吉田口には奥庭・御中道ルートがあり、気軽に自然散策をすることができます。

部分的に崩落の進む大澤崩れの間近まで行くことができ、今も活動を続ける富士山の姿に触れることができます。

須走口からは往復1時間ほどで小富士へつながる道があります。

小富士からは山中湖や富士山山頂を眺めることができます。

静岡県側から望む富士山には宝永火口が大きく口を開けています。

その宝永火口と宝永山には富士宮口からハイキングコースが出ています。

噴火口は3つあります。

第1火口を火口底まで降り、反対側へ登り返すと宝永山山頂に着きます。

火口底まで降りずに第1、第2、第3と火口縁に沿って歩くこともできます。

また、森林限界の境目にある樹林帯を抜けて宝永火口までたどり着く散策路もあります。

上記のトレッキングルートは、いずれも1時間から3時間ほどで往復でき、スニーカーで十分楽しめる道になっています。

ただし、宝永山に登るには、登山靴が必要です。

火口底からの登り返しは火山灰でザラザラとした坂。

ここを登るのは一苦労です。

富士山は五合目と六合目の間の森林限界を超えると、植物のない火山灰に覆われた山肌をひたすら歩き、その環境の厳しさを思い知らされます。

一方、五合目付近を散策する道は、苔むした樹林帯があったり、噴火口を望んだり、今なお崩壊を続ける山の呼吸を感じたり、富士山のさまざまな顔を体験できるトレッキングとなるでしょう。

3.世界遺産富士山の構成資産をめぐる

富士山が世界文化遺産に認定された際に、構成資産として25か所が登録されました。

富士山が信仰の対象であったという証、富士山が芸術家たちに与えたインスピレーション、これらを実際に見ることができるのが構成資産です。

富士五湖はその水面に逆さ富士を映したり、富士山と湖が並ぶ景色の美しさから、写真や絵画の題材はもちろん、小説の舞台になったりしたことで構成資産になっています。

忍野八海は富士山に降った雪が溶け、何年もかけて地下から湧き出し八つの池となっています。

その池の水の透明度と高さと冷たさ、こんこんと湧き出す水量に驚かされます。

かつて富士登山をする人たちは、この池で身を清めてから山に向かったと言われたことから、ここも構成資産となっています。

また、富士山の周辺に点在する浅間神社の数々は、かつての信仰登山の入り口となった名残を今に伝えています。

さらに、静岡県静岡市(旧清水市)の三保の松原も構成資産となっています。

富士山からはかなりの距離がありますが、三保の松原と富士山の景色は、天女の羽衣といった古くからの伝説も残っており、そこから多くの芸術作品を生んだ絶景といえます。

構成資産は広範囲に散在しています。

何度かにわけて訪れるとじっくりと景色を楽しむことができるでしょう。

富士山の四季を楽しもう

富士山とその周辺は、季節によりその姿を変えます。

春は神社に咲き乱れる桜の背景に、まだらに雪を残した富士山の姿が映えます。

夏にすっかり雪が溶けた山は登山シーズンとなり人々でにぎわいます。

秋、紅葉に彩られた富士山はあっという間に冬支度をはじめ、10月下旬には雪が積もり始めます。

構成資産とともに、さまざまな季節の富士山を訪れその美しさを実感してみてください。

静岡県や山梨県の高速道路パーキングエリアや道の駅には富士山をテーマにした土産物も多く、それらを物色するのも楽しみの一つとなるでしょう。