彫刻の森美術館(神奈川県)はピカソ館と彫刻鑑賞と自然散策が同時に楽しめる!

最終更新日:2017年11月23日

自然豊かな環境に温泉地やハイキングコースが点在する箱根には、1年を通じて多くの観光客が訪れます。

箱根は美術館が多いことでも知られていますが、彫刻の森美術館はその中でも最もユニークな観光施設として人気です。

1.彫刻鑑賞と自然散策が同時に楽しめる

神奈川県箱根町にある彫刻の森美術館は、日本初の野外美術館として1969年に開館しました。

7万平方メートルにも及ぶ広大な庭園に120点の彫刻作品が常設展示されており、5つの屋内展示場ではさまざまな企画の展覧会も季節ごとに開催されています。

彫刻の森美術館では箱根町二ノ平の雄大な大自然を野外美術館の展示場として取り込み、芝生上に彫刻作品を展示した彫刻庭園方式が採用されています。

広大な庭園内を散策しながら随所に展示されている彫刻作品を鑑賞できるというユニークな美術館のあり方は、自然に恵まれた箱根だからこそ実現したとも言えます。

箱根には他にも多くの美術館が点在していますが、彫刻の森美術館は美術と自然を愛するシニアの間で特に人気の高い美術館です。

2.箱根の自然に溶け込んだ野外彫刻

類似の彫刻庭園は全国に見られますが、彫刻の森美術館は庭園の圧倒的な広さと屋外展示された彫刻作品の多さで他の追従を許しません。

彫刻作品と一体化した庭園そのものが1つの芸術作品と言えるほど、彫刻庭園全体は綿密に設計されています。

箱根登山鉄道彫刻の森駅からほど近い場所にある入口から入場すると、本館ギャラリーの向こうに円形広場が見えてきます。

その先に広がる庭園内にはしゃぼん玉のお城やネットの森・星の庭といっ遊戯彫刻が点在している他、めだまやきのオブジェも子供たちに人気のスポットです。

マルタ・パン《浮かぶ彫刻》や佐藤忠良《若い女》などのさまざまな野外彫刻作品が、庭園の自然に溶け込む形で展示されています。

一方ではピカソ館や森のアトリエ・緑陰ギャラリーといった庭園内に点在する屋内展示場も見逃せません。

3.ピカソ館での見どころ

彫刻の森美術館を訪れたら広大な庭園に展開されている屋外彫刻作品ばかりに目を奪われがちですが、5つの屋外展示場で開催される企画展も見どころが満載です。

中でもピカソ館では現代美術の巨匠パブロ・ピカソの絵画作品や陶芸・オブジェ作品が数多く展示されています。

生涯を通じて絶えず作風を変化させ続けたピカソの芸術活動における軌跡は、絵画作品だけでは把握することができません。

絵画と彫刻の要素を兼ね備えた陶彫・花瓶・丸皿といった陶芸作品に加え、エッチングやドライポイント・煉瓦に至るまでの多彩な素材や技法を駆使した表現の軌跡をピカソ館で見ることができます。

初期から晩年に至るまでの作品をテーマごとに網羅したピカソ館は、現代美術の巨人を知るのに絶好の機会を与えてくれる施設です。

4.屋内外で見逃せない作品群

屋外彫刻で来場客の目を一際引いているのは、緑陰広場に展示されたヘンリー・ムーアの作品群です。

20世紀のイギリス芸術界を代表するアーティストとして知られるムーアは、野外展示のためのパブリックアート作品を多く制作してきました。

四季ごとに変化する箱根の自然を背景に、《母と子》や《横たわる像》連作など11点のムーア作品が屋外展示されています。

彫刻の森美術館の庭園には他にも岡本太郎《樹人》やロダン《バルザック》高村光太郎《みちのく》など、著名な作家の彫刻作品が点在しています。

室内展示作品の中にもジャコメッティ《腕のない細い女》モディリアーニ《頭部》など、注目すべき常設展示作品は少なくありません。

本館ギャラリーや緑陰ギャラリー・マルチホールで随時開催される展覧会も含め、彫刻の森美術館は屋内外ともに見逃せない作品が満載です。

5.アクセスの良さでも人気

箱根に数ある美術館の中でも、彫刻の森美術館はアクセスの良さという点で恵まれた場所にあります。

JR小田原駅から箱根登山鉄道に乗り換え、箱根湯本駅を経て彫刻の森駅で下車すれば徒歩2分で彫刻の森美術館に到着できます。

箱根湯本駅から箱根登山バスまたは伊豆箱根バスを利用すれば、二の平入口から彫刻の森美術館まで徒歩5分で到着できます。

周辺には二ノ平温泉など温泉施設やホテルも多く、芸術鑑賞と箱根観光が同時に楽しめる点でも観光客の人気を集めています。

箱根の大自然は季節ごとに表情を変えるため、彫刻の森美術館の庭園に展示されてある屋外彫刻も季節によって印象が違ってくるものです。

一度彫刻の森美術館を訪れた後に季節を改めて再訪してみれば、また新たな発見が得られます。

彫刻の森美術館で屋外の作品も見てみよう

樹木や雲に太陽や風でさえも芸術表現の一要素として取り込んだ屋外彫刻の世界は、展示されたその場所に足を運ばなければ感じられない感動と出会える機会を来場客に提供してくれます。

人工的な照明の下で作品を鑑賞する一般的な美術館と違って、彫刻の森美術館の屋外展示作品は時刻ごとにさえ表情を刻々と変えていくのです。