太宰府天満宮(福岡県)は年間800万人以上が参拝するパワースポットで天神信仰の総本宮

最終更新日:2018年1月5日

学問の神様として親しまれてきた菅原道真は、平安時代の大臣でありながら死後に天満大自在天神として神格化された存在です。

近年のパワースポットブームに乗り、この菅原道真を祭神とする太宰府天満宮が人気を集めています。

1.年間800万人以上が参拝する天神信仰の総本宮

神格化された菅原道真は「天神様」とも呼ばれて広く親しまれており、北は北海道から南は九州まで天神様を祀った神社は約12000もあると言われています。

福岡県太宰府市にある太宰府天満宮は、京都市の北野天満宮と並ぶ天神信仰の総本社として信仰を集めてきました。

平安時代前期の朝廷で右大臣の地位まで昇り詰めた菅原道真は、無実の罪を着せられて大宰府の地に左遷され、当地で非業の死を迎えたと伝えられています。

道真の死後に朝廷では清涼殿落雷事件などの怪異が相次ぎ、道真の怨霊の仕業だと信じられて恐れられました。

無実が証明された道真は天満大自在天神として祀られるようになり、全国に天神信仰が広がっていったのです。

左大臣藤原仲平が道真の墓所に社殿を造営し、これが太宰府天満宮の基となりました。

天神信仰発祥の地とされる太宰府天満宮には現在も年間800万人を超える参拝客が訪れ、初詣や受験シーズンは境内が特に賑わいます。

2.小早川隆景が造営した重要文化財の本殿

西鉄太宰府線の太宰府駅を降りて土産物店などが並ぶ参道を5分ほど歩いていくと、太宰府天満宮の案内所が見えてきます。

鎌村末期の作と伝わる中世の大鳥居を潜り、「心」の字の形をした心字池にかかる3つの橋を渡った先の手水舎で両手と口をすすいで身を清めてから参拝するのが正式な作法です。

樹齢1500年を越えると言われる大樟や本殿裏の夫婦樟など、境内には100本以上を数えるクスノキが見られます。

太宰府天満宮の本殿は度重なる兵火で何度も焼失しましたが、楼門を潜った先にある現在の本殿は安土桃山時代に小早川隆景が造営した建造物です。

檜皮葺の屋根を持つ五間社流造の本殿は桃山時代の壮麗な神社建築様式を今に伝える貴重な文化遺産として、国の重要文化財にも指定されています。

古寺社巡りを趣味としているシニアなら、唐破風造の向拝や左右の車寄を設けた独特の建築様式が見逃せません。

3.見どころが盛りだくさんの境内

太宰府天満宮には重要文化財の本殿以外にも多くの見どころがありますので、境内に満ちるパワーをじっくりと体感するには大勢の参拝客で混雑する初詣などを避けるのが無難です。

中でも銅や石で彫られた「御神牛」は太宰府天満宮の名物として参拝客の人気を集めています。

菅原道真が亡くなった際には葬送牛車の牛が安楽寺の門前で動かなくなったため、これを道真の遺志と見なして境内に御廟を築いたのが太宰府天満宮の起源となりました。

頭を撫でると知恵が授かると言われるこの御神牛は、案内所の近くや手水舎の隣など境内の10カ所ほどに設置されています。

梅の花が好きだったと伝わる道真にちなんで境内には6000本もの梅の木が植えられており、1月下旬から3月中旬にかけての開花シーズンには大勢の参拝客が訪れます。

中でも道真を慕って都から飛んできたと伝わるご神木の飛梅は、2月上旬から中旬頃に見頃を迎える早咲きの品種です。

4.怨霊として恐れられた菅原道真

太宰府天満宮の祭神・菅原道真は、平安時代前期の宇多天皇から醍醐天皇の時代に活躍した政治家です。

幼い頃から神童ぶりを発揮した道真は宇多天皇に重用されて異例の出世を遂げ、醍醐天皇の治世では右大臣にまで昇り詰めました。

左大臣として肩を並べていた藤原時平は道真を失脚させようと画策したため、道真は無実の罪を着せられて大宰府に左遷されてしまいます。

大宰員外帥というほとんど実権のない役職を与えられて都から追われた道真は、失意の中で2年後に世を去りました。

道真の死後に朝廷では凶事が相次ぎ、藤原時平が39歳の若さで病死したのに続いて関係者や醍醐天皇の皇子が次々と亡くなっています。

道真の死より27年後には内裏清涼殿での会議中に起きた落雷で公卿らに大勢の死傷者が出る惨事となり、ショックを受けた醍醐天皇も3ヶ月後に崩御しました。

こうした怪異の数々が道真の祟りと信じられたことから、道真を「天神様」とする天神信仰が生まれたのです。

5.大宰府の史跡を訪ねる旅を

平安時代には怨霊として恐れられた菅原道真も、後世には学問の神様として貴族から庶民まで広く信仰される存在となりました。

一方で前述の御神牛は自分の体の悪い個所を撫でれば良くなると信じられているように、天神様は厄除けの神様としても信仰されています。

境内には本殿以外にも摂社や末社が多くあって、中でも本殿から5分ほどの場所にある天開稲荷社は運気が上がるパワースポットとして人気が高まっています。

天開稲荷社の本殿裏には赤い鳥居の並ぶ石段を登った先に奥の院の石室がありますので、太宰府天満宮を訪れた忘れずに立ち寄ってみるといいでしょう。

太宰府市内には大宰府政庁跡などの史跡も多く、歴史好きのシニアにとっては見どころが盛りだくさんです。

国宝の翰苑など貴重な文化財が展示されている宝物殿や近くの九州国立博物館も含め、太宰府天満宮境内や周辺では充実した歴史散歩が楽しめます。

子どもや孫を連れて太宰府天満宮を訪れてみよう

太宰府天満宮は合格祈願に訪れる受験生に限らず、病気平癒や厄除け祈願を目的とするシニアにも御利益があります。

だざいふ遊園地は孫を連れて訪れるシニアに人気を集めており、梅の開花シーズンの境内は散策コースとしても人気です。

天神様のパワーと千年の歴史を感じながら太宰府天満宮の境内を歩いてみるといいでしょう。