龍泉洞(岩手県)「長命の泉」は一口飲むと定年後シニアの寿命が3年延びる

最終更新日:2018年1月10日

岩手県岩泉市にある龍泉洞は日本三大鍾乳洞の1つで、透明度の高い3つの地底湖が見られる観光スポットです。

龍泉洞はデートスポットとしても有名ですが、「長命の泉」などもあってシニアの間でも人気を集めています。

1.未知の領域が広がる巨大な鍾乳洞

北上山地の一角に位置する標高604mの宇霊羅山はアイヌ語で「霧のかかる峰」を意味する山で、地表に露出した石灰岩が侵食されて生じたカルスト山地の典型です。

龍泉洞はこの宇霊羅山の東側にあって、洞窟の全長は5kmに達するとも推定されていますが、現在も調査中のためその全貌はまだ明らかにされていません。

神秘のベールに包まれた龍泉洞は洞窟全体のうちの700mまでが一般公開されており、7つの存在が確認されている地底湖は3つを見ることができます。

洞窟内の随所がライトアップされてロマンチックなムードが味わえることから、龍泉洞は「恋人の聖地」として若いカップルの人気を集めてきました。

山口県の秋芳洞や高知県の龍河洞と並び称されるほど有名になった龍泉洞を訪れる観光客には、家族連れやシニアの団体客も少なくありません。

2.洞内で見逃せない観光スポット

大人1人1000円のチケットを購入して入口から龍泉洞の内部に入る際には、外気と洞窟内の温度差を区切るためのエアカーテンと呼ばれる送風装置を通過する必要があります。

しばらくは摩天楼の高い天井の左右から壁が迫る「百間廊下」の細長い道が続きますが、ここはその昔に龍が通ったために生じたと伝えられている通路です。

その先で道は二手に分かれ、右側の道の途中には一口飲むと寿命が3年延びると言い伝えられている「長命の泉」があります。

道が再び1つに合流する付近には、10mの深さを持つ「龍の淵」や亀の甲羅に似た「亀石」が見られます。

その先で洞窟は広い空間に出ますが、月宮殿と名付けられたこの場所は龍泉洞の中でも特に人気の高いスポットの1つです。

月宮殿は5色に変化するLEDでライトアップされるよう演出が施されており、月世界に迷い込んだような幻想的気分が味わえます。

月宮殿では赤い頭巾と前掛けまで付けられた地蔵そっくりの「地蔵岩」も見逃せません。

3.透明度の高い水が見られる地底湖

月宮殿からさらに奥へと進んでいくと、龍泉洞でも一番の見どころとなっている3つの地底湖に到着します。

第一地底湖は水深35mで第二地底湖が38m、深さ98mにも達する第三地底湖が観光コースの最終地点です。

全国に数ある鍾乳洞の中でも龍泉洞は大量の水が湧き出る点が特徴で、その水は日本名水百選にも選ばれるほど高い透明度を誇ります。

宇霊羅山の土壌を通して濾過された地下水が龍泉洞の地底湖に湧出しているため、地表の泉から湧き出る水よりも不純物が少なく透明度が高いのです。

ドラゴンブルーと呼ばれる神秘的な青色の3つの地底湖はどれも魅力的ですが、地表面が凍結するため天井から水滴が落ちなくなる冬は特に透明度が高いと言われています。

龍泉洞から湧き出る水は洞窟の出入り口前にある水飲み場で飲むことができますので、日本名水百選に選ばれた水を味わってみるといいでしょう。

4.鍾乳石の生み出した造形と洞内の生物

龍泉洞のような鍾乳洞は石灰岩が長い年月をかけて侵食されて形成された大自然の驚異的な造形物です。

龍泉洞を訪れたら洞窟内の細かい部分を観察してみることで、日常生活では見られない貴重な造形美を味わうことができます。

鍾乳洞ではおなじみの天井からぶら下がる「つらら石」ばかりでなく、天井から落ちた水滴中の石灰成分が固まってタケノコ状に成長した「石筍」も随所に見られます。

このつらら石と石筍が長い年月を経て合体した「石柱」も龍泉洞では珍しくありません。

天井から落ちてきた水が床の傾斜を流れ落ちる際には、水に含まれる炭酸カルシウム少しずつ沈着してリムストーンと呼ばれる棚田に似た形状を作り上げます。

洞窟の壁に多く見られる「洞窟サンゴ」やフローストーンなども鍾乳洞特有の造形です。

龍泉洞には5種類のコウモリが生息しており、特に冬期間は天井からぶら下がる冬眠中のコウモリの姿を至るところで観察することができます。

5.対岸に作られた龍泉新洞科学館も必見

昭和42年には清水川を挟んだ龍泉洞入口の対岸で新たな洞窟が発見され、龍泉新洞と名付けられました。

現在ではこの新たな洞窟が龍泉新洞科学館として公開されており、龍泉洞との共通券で入場することができます。

龍泉新洞科学館では成長速度を測定中の石柱や「カーテン」と呼ばれる鍾乳石などが間近で観察できるようになっており、洞窟そのものを博物館として利用した世界でも珍しい場所です。

縄文時代の土器や石器が発見された龍泉新洞は有史以前に生活の場として使われていたと推定されるだけに、人形を使って洞窟内での生活を再現した「龍泉新洞人」の展示も来場者の目を引いています。

龍泉洞や龍泉新洞は洞窟内の気温が夏でも10℃に保たれていますので、入定の際には上着を着用の上で滑りにくい靴を履いて訪れるといいでしょう。

現在の最寄り駅は三陸鉄道北リアス線岩泉小本駅ですが、東北新幹線が発着するJR盛岡駅からも龍泉洞行きのバスが運行されています。

龍泉洞では「長命の泉」にも立ち寄ってみよう

日本には自然が作り上げた鍾乳洞から人間が掘った坑道まで多くの洞窟が存在しますが、その中でも龍泉洞は地底湖の美しさを一目見ようと全国から多くの人が訪れる屈指の観光名所です。

洞内に生息するコウモリとともに国の天然記念物にも指定されている龍泉洞は通路もよく整備されているため、シニアでも安心して見学できます。