ポーラ美術館はモネ・ピカソ・セザンヌ・ゴーガン・ドガ・マティスの作品と遊歩道「森の散歩道」の散策が楽しめる

最終更新日:2017年11月7日

温泉地や保養地として知られる神奈川県箱根町は美術館が多く、芸術の町としても親しまれてきました。

数ある美術館の中でもポーラ美術館では、西洋の近代絵画ばかりでなく東西の貴重な工芸品が見られる貴重な場所です。

1.近代絵画や陶磁器を多数展示

2002年に開館したポーラ美術館のある箱根町仙石原は、富士箱根伊豆国立公園の一角に位置します。

周辺には温泉の他に別荘地やゴルフ場も多く、ホテルやペンションが点在している一大保養地です。

自然豊かな仙石原は美術館も集中しており、1年を通して美術ファンの訪問が絶えません。

自然が多く残る国立公園内に建設された大型施設だったため、ポーラ美術館は景観を保護するため5つの展示室がいずれも地下に建設されました。

豊かな自然と美術館が一体となった景観がポーラ美術館の特徴で、近くには森の自然を楽しめる遊歩道も整備されています。

ポーラ美術館はポーラ・オルビスグループのオーナーの元オーナーが収集した膨大な美術品コレクションを収蔵しており、近代絵画の巨匠が描いた作品が多く見られます。

それらの絵画に加え、東洋陶磁器やガラス工芸・化粧道具のコレクションが多く展示されている点がポーラ美術館の大きな特徴です。

2.陶磁器や化粧道具も展示

ポーラ美術館は地上2階の部分がエントランスとなっており、ロビーやレストランのある1階を経て、地下1階と2階に5つの展示室が展開されています。

地下1階には1つの展示室とカフェ・ミュージアムショップ・講堂があり、地下2階には残る4つの展示室があります。

5つある展示室のうち3つまでが近代の西洋絵画と日本絵画の展示に当てられており、残る2つの展示室のうち1つが陶磁器や工芸品、もう1つが化粧道具コレクションの展示用です。

それらの展示室では常設展の他に半年ほどの期間で企画展も開催され、過去には陶芸・工芸やシルクロード装身具のコレクション企画も実施されました。

こうした貴重な陶芸品や工芸品・古今東西の化粧道具は、特にシニア世代の人から熱い視線を集めています。

エミール・ガレに代表されるアール・ヌーヴォーや、ルネ・ラリックらのアール・デコ時代に作られた貴重なガラス工芸の数々は必見の展示物です。

3.モネ・ピカソらの作品が豊富

ポーラ美術館で最大の魅力と言えば、モネやルノワール・ピカソら西洋絵画の巨匠たちの描いた名画が豊富に展示されている点にあります。

印象派最大の巨匠として知られるモネの作品では、晩年に描かれた睡蓮連作の1つ《睡蓮の池》に加え、《セーヌ河の日没、冬》《サン=ラザール駅の線路》など一瞬の光と影を鮮やかに描いた絵がじっくり鑑賞できます。

《レースの帽子の少女》《水浴の女》といった女性像が魅力的なルノワールの作品も見逃せません。

20世紀絵画最大の巨匠ピカソの作品では、青の時代に描かれた《海辺の母子像》を始め、《草上の昼食》《花売り》《帽子の女》など多彩な作品が見られます。

ゴッホの力強いタッチが印象的な《アザミの花》も、来館客に人気の1作です。

この他にもセザンヌやゴーガン・ドガ・マティスといった巨匠の作品や、藤田嗣治・黒田清輝・岸田劉生など日本人の有名画家による作品が展示室1から3までに常設展示されています。

4.森の散歩道は第6の展示室

ポーラ美術館の展示室でそれらの芸術作品を心ゆくまで鑑賞した後には、「第6の展示室」と位置づけられている遊歩道「森の散歩道」を散策するのも楽しみの1つです。

美術館の周辺には富士箱根伊豆国立公園内ならではの豊かな自然が広がっており、20分ほどで一巡りできる遊歩道が整備されています。

森の中にはブナやヒメシャラの大木が枝を広げ、季節によってはヤマボウシやヤマシャクヤクの花も見られます。

春から初夏にかけてはウグイスやメジロ・キビタキらの声が聞かれ、夏に鳴くオオルリや晩秋から冬にかけて鳴くルリビタキも声の美しい鳥です。

遊歩道の至るところに彫刻が置かれているのもポーラ美術館ならではの粋な図らいで、自然の中で見る芸術作品にはまた格別な味わいがあります。

5.直通バスや高速バスが便利

自然と芸術が同時に楽しめるポーラ美術館は美術ファンのシニアなら一度は訪れたい場所ですが、国立公園内に立地しているため交通アクセスが問題となります。

車で訪れる場合は東名高速道路の御殿場ICから30分弱で到着できます。

最寄り駅を出発する直通バスを利用すれば小田急線箱根湯本駅から約40分で着き、JR・小田急線の小田原駅からは1時間ほどです。

この他にも新宿から箱根桃源台行きの高速バスや箱根登山鉄道を利用して施設めぐりバスに乗り換える便利なアクセス方法がありますので、箱根観光と合わせて利用を検討してみるといいでしょう。

原則として年中無休のポーラ美術館は開館時間が午前9時から午後5時までで、入館は4時半までとなっています。

大人1800円の入館料は65歳以上だとシニア割引で1600円となり、15名以上の団体料金は1500円です。

孫と一緒に訪れようと考えいるシニアの人は、中学生・小学生が無料で入館できる土曜日が狙い目です。

温泉や観光とともにポーラ美術館を訪れてみよう

近代絵画の名作や工芸品をじっくり鑑賞できるポーラ美術館は、美術への見識を深めるのに絶好の施設です。

箱根には他にも美術館が多くありますので、近くの温泉施設や保養施設に数日滞在して美術館めぐりをするのもいいでしょう。

美術館までの送迎バスを運行しているホテルを利用すれば、箱根観光と芸術鑑賞の両立も楽になります。