十和田市現代美術館でオノ・ヨーコや草間彌生らの現代アートに触れる

最終更新日:2017年11月7日

現代アートが鑑賞できる美術館も全国には数多くありますが、十和田市現代美術館は独自のコンセプトに基いて作品を展示しています。

現代アートに興味があるシニアにとって、青森県十和田市はぜひ一度訪れたい街です。

1.空間そのものを展示する美術館

現代アートの表現方法は多様化しており、委託制作の形で作られるコミッションワークや屋外に設置されるパブリックアートなどの立体作品が現在の主流となりつつあります。

従来の絵画や彫刻・写真といった芸術表現とは異なり、何らかのオブジェを設置した空間そのものをアート作品として鑑賞するのがインスタレーションと呼ばれる表現手法です。

それらの作品には巨大なオブジェを使用するため屋外空間に収まりきらない例も多く、パブリックアートの形でしばしば屋外に展示されています。

屋内に展示する場合でも、1つの部屋全体がアート作品として鑑賞の対象となるケースが少なくありません。

多彩な表現様式を持つそれらの現代アート作品を来館者に体験してもらうための新しい展示方法として、青森県十和田市にある十和田市現代美術館は画期的な建物の配置方法を生み出しました。

室内アート作品には1つ1つ独立した「家」を与えてガラスの廊下で結び、室外アート作品を建物の周辺に配置したのです。

2.アートのための家を独立配置

十和田市現代美術館には38の常設展示作品があって、それらが美術館の内外に意表を突くような形で設置されています。

室内展示作品のために建てられた大小の建物にはそれぞれ1つずつの常設展示作品が割り当てられており、来館者はガラスの廊下を通って作品巡りを楽しむことができます。

それらの展示スペースは広いガラス窓を通して外部の景観を空間に取り込んでいるため、街の中にアート作品が展示されているように感じられるのです。

道路を挟んだ向かい側にも巨大なパブリックアート作品が展示されたアート広場が広がっているのに加え、美術館周辺の道路沿いにはストリートファニチャー作品も設置されています。

十和田市現代美術館の作品展示方法は、街並みの開放的な空間まで利用して街そのものをアート空間に変えた画期的な試みです。

3.オノ・ヨーコや草間彌生の作品も展示

現代アートにそれほど関心を持っていなくても、オノ・ヨーコや草間彌生といった前衛芸術家の名前なら聞いたことがあるという人は多いものです。

ニューヨークを拠点に芸術活動を続ける日本出身の前衛芸術家オノ・ヨーコは、1980年に亡くなったジョン・レノンの妻としても知られています。

80歳を過ぎた現在も精力的な芸術活動を続ける草間彌生は、水玉模様などをモチーフとした多彩なアート作品が有名です。

十和田市現代美術館の常設展にはオノ・ヨーコや草間彌生の作品も展示されていますので、訪れたらじっくりと鑑賞してみるといいでしょう。

《念願の木》《三途の川》《平和の鐘》といったオノ・ヨーコの作品群には、平和への祈りが込められています。

《念願の木》は来観客が実際に願い事を書いた短冊を吊るすことができる作品です。

アート広場に設置された草間彌生の《愛はとこしえ十和田でうたう》では、特徴的な水玉模様に彩られた公園のような開放的空間が鑑賞できます。

4.イベントやカフェ・ショップも人気

この他にも十和田市現代美術館の常設展には、高さ4メートルにも及ぶリアルな女性像のロン・ミュエク作《スタンディング・ウーマン》など、ユニークな作品が数多く見られます。

それらの大半は広大な室内全体を使って表現されていたり、室内に収まりきれず屋外の空間を利用して展示されたりしている大型のインスタレーション作品です。

十和田市現代美術館ではそうした常設展に加えていろいろな趣向の企画展も開催しており、定期的に足を運ぶことで現代アートの最前線に接することができます。

アート作家によるワークショップやトークイベントなどの多彩なイベントも人気で、過去には自由参加の「まちなかアートさんぽ」なども実施されました。

館内巡りに疲れたら、スペシャルドリンクやスイーツが味わえるカフェで一休みすることもできます。

常設展示作家によるオリジナルグッズや工芸品などが購入できるショップも来館者に人気のスポットです。

十和田市現代美術館の常設展示作品に関しては、一部を除いて2017年10月より写真撮影が可能になったのは写真好きのシニアにとって朗報です。

フラッシュや三脚を使用しない撮影に限定されますが、来館者にとっては楽しみが1つ増えました。

空間そのものを体験することで鑑賞するインスタレーション作品には、展示されたその場所でしか得られない感動があります。

写真では伝えきれない芸術体験が得られる点が十和田市現代美術館に常設展示された作品群の大きな特徴ですが、それらを撮影した写真そのものが一種のアート表現となるのも事実です。

十和田市現代美術館はJR八戸駅からバスで約40分、七戸十和田駅からはバスで35分ほどで到着できる他、車で訪れる場合は近くの駐車場も利用できます。

近くには十和田市役所や十和田中央公園などもある市の中心部で、そうした街並みに現代アート作品が一体化しているのが十和田市という街です。

十和田市現代美術館で現代アートに触れる

普段はなかなか接する機会のない現代アートにも、十和田市現代美術館を訪ればいろいろなアプローチの仕方で親しめます。

大型の展示作品はその場所に行って空間そのものを体験することが欠かせません。

街そのものさえも作品を展示する空間として取り込んだ十和田市現代美術館は、現代アート初心者でも楽しめる美術スポットです。