史跡白山平泉寺旧境内(福井県)は、神秘的なパワーが体感できるパワースポット

最終更新日:2018年1月5日

富士山や立山とともに日本三名山の1つに数えられる白山は、山岳信仰の霊山としても古くから崇められてきました。

白山の越前側拠点として栄えた平泉寺跡地の史跡白山平泉寺旧境内は、神秘的なパワーが体感できる場所です。

1.室町時代の宗教都市を偲ぶ史跡の数々

国の史跡に指定されている白山平泉寺旧境内は福井県勝山市平泉寺町にあって、現在は平泉寺白山神社の境内となっています。

江戸時代までは「平泉寺」という名の寺院でしたが、明治政府による神仏分離令を受けて平泉寺の名を廃し、白山神社となったのです。

平泉寺は奈良時代初期に伝説的な修験者・泰澄によって開かれ、その後比叡山延暦寺の末寺となりました。

最盛期の室町時代後期には現在よりも広大だった境内に数十を数えるお堂や数千の坊院が並び、一大宗教都市の様相を呈していたと伝えられています。

今に残される白山平泉寺旧境内にはそうした往時の姿を偲ばせる史跡の数々が点在しており、樹齢千年の巨木や苔と石畳に覆われた境内の神秘的な雰囲気はパワースポット好きのシニアを魅了してきました。

平成元年以降は境内の一角で本格的な発掘調査も行われており、中世宗教都市の遺構が徐々に姿を現しつつあります。

2.菩提林と苔に覆われた境内や旧参道の魅力

白山平泉寺旧境内の最寄り駅はえちぜん鉄道勝山駅で、JR福井駅から50分余りで到着します。

勝山駅から白山平泉寺旧境内まではバスかタクシーで10分から15分ほどの距離です。

下馬大橋を渡った先に杉やブナなど樹齢数百年級の老木が並ぶ菩提林が広がり、「日本の道100選」にも選ばれた石畳の旧参道が1kmほど続いています。

平泉寺を開いた泰澄大師の御廟を過ぎて精進坂を登った先に一の鳥居が見えてきますが、二の鳥居に至る途中の旧玄成院庭園や御手洗池も見逃せません。

社務所のある旧玄成院は庭園が国の名勝にも指定されており、室町時代後期の管領・細川高国が作ったと伝えられる見事な枯山水の庭を入園料50円で見ることができます。

かつて平清水と呼ばれた御手洗池は神秘的なムードの漂う池です。

泰澄大師が中央にある影向岩に向かってお参りをしている最中に白山の女神が顕現したと伝えられており、この故事が「平泉寺」の名の由来となりました。

3.発掘された中世の石畳や石垣・坊院跡

神仏習合の名残りを伝える二の鳥居は江戸時代中期に再建されたもので、中央に屋根のついた珍しい権現造の鳥居です。

二の鳥居を通った先にある拝殿には勝山市の文化財に指定された絵馬が奉納されており、一向一揆で焼失する以前の巨大な三十三間拝殿跡を示す礎石がその左右に残されています。

白山平泉寺旧境内は「苔寺」と呼ばれるほど全体が苔で覆われていますが、拝殿の周辺もまた例外ではありません。

拝殿の後方にある石垣は戦国時代頃に築かれたもので、古びた石垣と周囲の苔が美しい調和を保っています。

拝殿の先には伊奘冊尊を祀る本殿の左右に大己貴尊を祀った大汝社と天忍穂耳尊を祀った別山社が並び、この3つの社が三峰が連なる白山を象徴します。

白山神社の南側にあったと伝えられる南谷三千六百坊では発掘調査が行われており、一向一揆との戦いで焼失した後に埋もれていた中世の坊院跡や石垣・石畳道などの遺構が発掘されました。

4.一向一揆の焼き討ちで全山焼失

8千人もの僧兵を擁した平泉寺は延暦寺の僧兵とも結びついて強大な勢力を誇りましたが、戦国時代には多くの寺院と同じく戦乱に巻き込まれるのが避けられませんでした。

それまで平泉寺を庇護していた朝倉氏が一乗谷城の戦いで織田信長の軍に敗れて滅亡した後、朝倉景鏡をかくまった平泉寺もまた一向一揆の焼き討ちに遭って全山焼失という惨事に見舞われたのです。

48社36堂6千坊を数えた壮麗な宗教都市も灰燼に帰してしまいましたが、往時の繁栄を偲ばせる遺構の数々が発掘調査の進展につれて少しずつ明らかにされています。

石畳の道路や石組みの側溝を備えた平泉寺旧境内は、室町時代後期の当時としては日本最先端の大都市だったのです。

天正2年の全山焼失にも焼けずに残された樹齢450年の「若宮八幡宮の大杉」は、往時の平泉寺を伝える「中宮白山平泉寺境内絵図」にも描かれています。

南谷発掘現場を見学する際には、近くにある若宮八幡宮にも立ち寄ってみるといいでしょう。

5.三宮を起点とする越前禅定道

平泉寺白山神社境内の一番奥にある三宮には、安産の神様として信仰されてきた栲幡千々姫尊が祀られています。

この三宮から先は白山禅定道と呼ばれる登山道が通じており、この越前禅定道入口手前にある楠木正成の供養塔も歴史ファンのシニアなら見逃せません。

越前禅定道は三宮を出発して標高777mの三頭山や1337mの法恩寺山頂を通過し、小原峠を経て三ツ谷・市ノ瀬から標高2702mの白山頂上を目指す登頂コースです。

日本三霊山の1つに数えられる白山登山も兼ねて越前禅定道を踏破するほど健脚のシニアであれば、「剃刀窟」「仙人窟」「飢餓ヶ咽」など数々の奇岩や「蛇塚」「高天原」といった名所を見ることができます。

もちろん白山平泉寺旧境内を訪れるだけでも独特の神秘的な雰囲気は十分に味わえます。

菩提林の大木と苔に覆われた白山平泉寺旧境内は、古寺社巡りを趣味とするシニアからパワースポット好きのマニアまで満足が得られるスポットです。

神秘的な魅力が残る史跡白山平泉寺旧境内

最盛期の白山平泉寺境内は現在の10倍もの広さを持っていたとも言われ、発掘では全体のわずか1%を調査したに過ぎません。

今後も新たな発見が相次ぐと予想される白山平泉寺の苔むした旧境内は、ファンタジックな時空を追体験できる場所です。

歴史情緒にあふれた史跡白山平泉寺旧境内は、古城巡りが好きなシニアも魅了してくれます。