姫路城(兵庫県姫路市)は豊臣秀吉も城主だった世界文化遺産登録の名城!

最終更新日:2017年11月24日

白鷺城の呼び名でも知られる姫路城は、1993年に法隆寺と並んで日本初の世界文化遺産に登録されました。

世界に文化的価値を認められた姫路城は国宝5城の1つにも数えられ、歴史ファンなら一度は訪れたい名城です。

1.世界文化遺産に登録された名城

兵庫県姫路市にある姫路城は前身の城も含めると室町時代以来の長い歴史を持ち、大天守など江戸時代初期に池田輝政が築城した当時の建造物が400年以上経った今も保存されている城として貴重な文化遺産です。

2017年現在で日本国内には17件の世界文化遺産が指定されていますが、その中でも姫路城は最初に登録されたほどの高い文化的を持ちます。

白鷺城の異称でも知られるように、姫路城最大の特徴は翼を広げた鷺を思わせる天守閣の優雅な外観です。

江戸時代に造られた天守が現在も保存されている例は全国でもわずか12例しかなく、大半の城は相次ぐ戦乱や火災・太平洋戦争中の空襲によって天守が失われました。

姫路城は数少ない現存天守を持つだけでなく、連立式天守を含む江戸時代初期の建造物群が極めて良好な状態で保存されている点でも別格の存在です。

2.江戸初期に建てられた大天守

姫路城を訪れたら、まずは白鷺城と称えられる連立式天守の美しい外観をじっくりと鑑賞したいものです。

折り重なるように連ねられた屋根の入母屋破風や千鳥破風・唐破風の意匠を優美な白漆喰の壁が引き立て、窓格子も絶妙のバランスを保ちながら随所に配置されています。

石垣や屋根瓦に至るまでが美しく洗練されている姫路城の天守は、近世城郭建築の最高傑作として国際的にもその文化的価値が高く評価されてきました。

かつて国内に数多く存在した城のうち、戊辰戦争の混乱で天守が焼失した例は少なくありません。

数少ない現存天守のうちいくつかは太平洋戦争の空襲で失われた中、姫路城は5重6階の大天守と3つの小天守すべてが奇跡的に残されたのです。

天守内部にも入ることができますので、400年以上も保存されてきた歴史的建造物を内側から見学するまたとない機会となります。

3.姫路城の一般的な見学ルート

平山城として築かれた姫路城では姫山に建てられた天守閣を取り囲む形で3重構造の螺旋状に堀が巡らされ、万全の防御態勢が敷かれています。

外堀に囲まれた外曲輪と中堀に囲まれた中曲輪を経て、内堀に囲まれた内曲輪も本丸と二の丸・三の丸・西の丸・出丸から成る複雑な構造です。

姫路城は象徴となっている天守閣に目を奪われがちですが、こうした縄張りの構造や城壁に設けられた1000カ所近い狭間、石垣・門・塀・櫓といった建造物の数々も見逃せません。

実際に戦乱の舞台となることはなかったとは言え、城内を自分の足で歩きながら防御の仕組みを追体験できるのも姫路城ならではの醍醐味です。

姫路城を訪れた際の一般的な見学コースは、大手門から入城して三の丸を経た先の入場口から天守閣に向かうルートです。

天守閣までたどり着くには、階段を上りながら途中で数々の門をくぐり抜けなければなりません。

天守閣のある本丸まで簡単に行き着けないのは、姫路城の防御力が優れていた証拠です。

4.姫路城ゆかりの武将たち

姫路城の天守閣がある姫山の地に初めて城を築いたのは、室町時代の14世紀に播磨国守護だった赤松氏だと伝えられています。

城代を代々務めてきた一族の小寺氏は戦国時代に入ってから御着城に本拠地を移し、小寺氏重臣だった黒田氏が城代としてこの城を拡張しました。

軍師官兵衛として知られる黒田孝高が城代を務めていた当時の城は現在の姫路城と比べて遥かに小規模な城塞に過ぎませんでしたが、石垣や瓦などに黒田孝高や豊臣秀吉が城主だった時代の名残をとどめています。

三層の天守閣を築くのに石垣がなかなか集められないでいた秀吉に対して、貧しい老婆が献上したと伝えられる「姥ヶ石」が現在も乾小天守の石垣に見られます。

関ヶ原の戦いの武功によって姫路藩の初代藩主となった池田輝政の手で姫路城の大改修が行われ、今に見られる壮麗な天守閣や数々の建造物が誕生したのです。

5.さまざまな伝承も魅力

全国に数ある城の中でも江戸時代に造られた歴史的建造物が最も多く保存されている姫路城では、大天守と3つの小天守に4棟の渡櫓を加えた5件8棟が国宝に指定されています。

城内にはこの他にも櫓や門・塀など74棟もの重要文化財も点在しており、内堀と内曲輪を含む中堀より内側の姫路城跡全体が国の特別史跡にも指定されました。

まさに貴重な文化財の宝庫となっている姫路城には、日本3大怪談の1つとして有名な播州皿屋敷の伝説も残されています。

城内の上山里丸にある「お菊井戸」がこの伝説に登場する井戸と伝えられていますので、姫路城を訪れた際には立ち寄ってみるといいでしょう。

木下家定が姫路城の城主だった時代には宮本武蔵が奉公していた時期があるため、妖怪退治の逸話や彼が3年間幽閉されていたという「開かずの間」など、武蔵に関する伝説も残されています。

虚実の定かでないそうした伝承を予備知識として知った上で城内を巡るのもまた一興です。

姫路城に訪れる際は歩きやすい装備で

姫路城内は広い上に随所で階段を上り降りしなければならず、シニアにとってはなかなか歩きごたえのある城です。

足に自信がある人でも城内を一巡するには1時間から2時間かかりますので、歩きやすい格好で訪れるといいでしょう。

近世城郭建築の最高傑作として美術的価値も高い姫路城は、歴史好きのシニアなら見逃せない名城です。