金刀比羅宮(香川県のパワースポット)参道入口から御本宮まで785段の石段を制覇する爽快感

最終更新日:2017年10月18日

金刀比羅宮は、江戸時代にはすでに「この山の鎮座已に三千年に向(ちか)づく」と言われた由緒正しい神社で、古くから海洋の神様として全国から信仰されています。

周りは門前町として発展し、今にいたるまで観光と親交の街として、多くの参拝客でにぎわっています。

1.表参道から大門まで

金刀比羅宮参拝で一番忘れてはならないのが、785段にも及ぶ石段です。

一つずつ歩いて上って行ってこその達成感があるものですが、一番上まで上り切るまで健脚で約30分かかります。

特に急峻な大門までの365段は、有料で駕籠に乗って行けますので、体力に自信のない方は無理をせずそちらを利用した方がよいでしょう。

表参道から大門までの区間は、いわば金毘羅さんの門前町です。

たくさんのお土産物屋さんが立ち並ぶにぎやかな通りになりますので、ゆっくりと見て回るのもよいでしょう。

風情のある古い街並みが、そこかしこに残る場所でもあります。

2.大門から御本宮まで

大門をくぐると、いよいよ金刀比羅宮の神域に入ります。

ここから先での商売は原則禁止されているのですが、大門をくぐってすぐのところに白い傘の小さな出店が出ています。

「五人百姓」と呼ばれる人たちで、金刀比羅宮の神事に協力しているために特別に境内での商売を許されている人たちで、鎌倉時代から脈々と続いていると言われています。

大門から御本宮までは、比較的緩やかな石段が続きます。

道の両側には、寄進された大きな石碑や石灯籠が壁のように並び、その信仰の深さを窺い知ることができます。

大門から続く石畳は桜の名所で、春にもなれば沿道が桜に包まれます。

3.御本宮参拝

785段の石段を上り切ると、巨大な御本宮が現れます。

祀神は大物主神(おおものぬしのかみ)と崇徳天皇。

大物主神は天照大御神(あまてらすおおみかみ)を兄に持ち、農業殖産、漁業航海、医薬、技芸などの神として、深い信仰を集めています。

参拝の手順は二礼二拍手一礼。

心静かに礼拝しましょう。

御本宮の前には展望台があり、晴れた日には讃岐平野から瀬戸内海を見渡せる絶景が広がります。

展望台に設けられた大きな電灯は、海から金刀比羅宮を遥拝する時の目印となります。

こんなところからも、今でも深い崇敬を受けている金刀比羅宮の信仰を垣間見ることができます。

4.代参の名残

江戸時代より、金刀比羅詣では伊勢詣でと並んでたくさんの人が参詣していました。

しかし、自分の足で歩いて参詣するのが難しい人は、金刀比羅詣でをする人に初穂料を渡して、自分の分までお祈りしてきてもらうことを頼みました。

これが「代参」です。

金刀比羅宮では、海の中に初穂料を入れた樽を流し、それを拾った船が代参をするということも行なわれていました。

その樽が今でも残されています。

また飼い犬に初穂料と道中の食事代を括り付け、「こんぴら参り」の札をぶら下げて街道に放ったそうです。

旅人がその犬を見つけると連れて歩き、道中の人たちに世話をされながら次から次へとリレーをして金刀比羅宮まで連れて行き、帰りはまた同じように飼い主のところまで帰していました。

こうして主人の代わりに代参を果たした犬のことを「こんぴら狗」と呼んで珍重されました。

今では「こんぴら狗」を模した置物が、お守りとして売られています。

5.奥社(厳魂神社)参拝

御本宮の奥からさらに583段の石段を上ると、奥社へ行くことができます。

ほとんどの観光客は、ここまで来ることはありません。

ですので今までの参道とは趣が異なり、静寂の中に包まれた静かな道になります。

大きな杉木立の中を水の音と鳥の声だけが聞こえる、とても神秘的な道です。

常磐神社、白峯神社を経て1キロほどの参道を抜けると、小さいけれども朱色の鮮やかな奥社へたどり着きます。

奥社には、金刀比羅本教の教祖である厳魂彦命が祀られています。

標高421メートルの奥社からの眺望は素晴らしく、讃岐富士を正面に讃岐平野と瀬戸内海までキレイに見渡せます。

6.門前町

讃岐平野の景色を眼下に石段を下りると、そこは金刀比羅宮の門前町です。

ここにはおいしいものがたくさん集まっています。

甘いものでは創業230年を誇る老舗の「灸まん」金刀比羅宮にお神酒を納めている酒蔵「金陵」試飲もできますし、酒蔵限定酒など種類も豊富ですので、気に入ったものを探しましょう。

そして香川と言えば讃岐うどん。

うどんの手打ち体験ができるお店も多くありますので、自作のうどんを楽しんでみるのも楽しいでしょう。

また日本最古の芝居小屋と言われる「金丸座」毎年行なわれる「こんぴら歌舞伎」の時期には、昔ながらの舞台装置で歌舞伎の演目が演じられるとあって、全国から歌舞伎ファンが詰めかけます。

平成9年には温泉も発見され、旅の疲れを癒してくれるスポットとなっています。

癒しの空間・金刀比羅

高松から琴平まで、琴平電鉄で約1時間。

その道中も、のどかな讃岐の景色を眺めながらのローカル線の旅になります。

そして、神域の凛とした空気に包まれた緊張感と、門前町の穏やかでにぎやかな空気。

その二つの空気が、疲れた心を優しく癒してくれることは間違いありません。

ぜひ金刀比羅に流れるゆっくりした時間を味わいに行ってください。