定年後の旅!仙台七夕まつり(宮城県)で豪華絢爛の吹き流しを見ながらウォーキング

最終更新日:2017年9月25日

古くから年中行事として親しまれてきた七夕も、現在では主に幼稚園など子供向けの行事として名残をとどめています。

宮城県仙台市では8月に仙台七夕まつりが盛大に開かれ、毎年200万人を超える観光客を集めています。

1.豪華絢爛な七夕飾りの歴史

全国各地を見れば、7月7日に短冊を吊るした笹竹を門口などに飾るような家も少なくなりました。

そうした近年の風潮にも関わらず、宮城県仙台市では月遅れの8月7日を中心とした3日間に七夕まつりが一大イベントとして開催されます。

仙台七夕まつりに見られる最大の特徴は、高さ10メートルを超える吹き流しを始めとする豪華絢爛な飾り付けです。

市内の商店街を彩る色とりどりの七夕飾りの数々を味わいながら、杜の都仙台の街をそぞろ歩きする楽しみが仙台七夕まつりの魅力です。

仙台七夕まつりの起源は仙台藩の藩祖・伊達政宗公の時代にまで遡ると言われていますが、長い歴史の中では何度も存続の危機にさらされてきました。

明治維新以降は仙台でも七夕の風習が年々下火となっていましたが、昭和初期に市内の商店街が奮起して大々的な七夕飾りを始めたことで現在に見られる形の基礎が形作られたのです。

太平洋戦争による休止を経て戦後まもなく仙台七夕まつりが復活し、高度経済成長の波にも乗って東北を代表する夏祭りへと発展してきました。

2.七つ飾りの味わい

昔から全国で行われてきた七夕の風習と比べた場合に、仙台七夕まつりを特徴づけているのは七つ飾りと呼ばれる独特の七夕飾りです。

この7種類の飾りにはそれぞれ固有の意味があります。

例えば短冊は一般的には願い事を自由に書くのが習わしですが、仙台では学問や書・手習いの上達を願うため短冊に詩歌を書いて飾る風習がありました。

富貴の願いをこめると同時に節約・貯蓄の心を養う飾りは巾着と呼ばれ、裁縫の上達を願う紙衣の飾りは病や災いの形代という意味もこめられています。

この他にも延命長寿を願う千羽鶴や豊漁を祈願する投網、機織りや技芸の上達を願う吹き流しも仙台七夕まつりには欠かせません。

こうした飾り付けを作った後に出る裁ち屑・紙屑も屑籠と呼ばれる飾りの一種に入れ、清潔と倹約を願うのが仙台七夕まつりならではの特色です。

七つ道具とも呼ばれるこれら7種類の七夕飾りはどれも和紙や色紙を使って手作りされており、1つ1つに作り手の願いがこめられています。

3.企業ごとに趣向を凝らした吹き流し

仙台七夕まつりを彩る7種類の七夕飾りの中でも、とりわけ観光客の目を惹きつけるのは豪華な吹き流しです。

くす玉の下に細長い短冊を何本も吊るした吹き流しは、長さ10メートルにも達する巨大な飾り付けとして仙台七夕まつりの象徴となっています。

1本の竹に5本の吹き流しを飾るのが正式なスタイルで、1つとして同じ吹き流しはないほど個性豊かなデザインも大きな特徴です。

吹き流しも他の七夕飾りと同様に紙で作られており、さらさらとした肌触りや風になびくときの涼しげな音も味わい深いものです。

吹き流しに代表される七夕飾りは仙台市内の各商店街に並ぶ店や企業が競い合うように飾り付けており、まつり初日の6日朝には七夕飾りのコンクールの審査が行われます。

コンクールの団体賞と個人賞を受賞した七夕飾りにはそれぞれ金賞や銀賞・銅賞といった札も下げられます。

そうした札を探しながら、飾り付けを鑑賞して歩くのも仙台七夕まつりの楽しみの1つです。

4.付随イベントも盛りだくさん

東北の夏祭りは青森ねぶた祭や秋田の竿灯まつりを始め、山形花笠まつり・盛岡さんさ踊りなど動きのある熱気に満ちた祭りが多いものです。

そうした「動」の祭りに対して仙台七夕まつりは豪華な七夕飾りを見物しながら歩く「静」の祭りとも言えますが、期間中には市内の至るところで付随イベントが開催されます。

勾当台公園ではおまつり広場が開催され、ステージイベントや七夕おどり・盆踊りなどが行われて大勢の市民や観光客で賑わいます。

仙台名物の牛タンなどの多彩なグルメが味わえる七夕食堂の屋台も、おまつり広場で人気を集めているエリアです。

おまつり広場には七夕伝承館エリアやミニ七つ飾り体験コーナーも用意されています。

伊達政宗公を祀る霊廟で開催される瑞鳳殿七夕ナイトや、迫力満点の伊達武将隊演武が見られる仙台城跡夕涼みイベントは歴史好きの人に人気のイベントです。

8月5日には前夜祭として仙台七夕花火祭が開催され、市の中心部でも大規模な花火を楽しめます。

5.仙台七夕が見られる商店街

豪華絢爛の吹き流しに代表される仙台七夕まつりの七夕飾りは、市内の主要な商店街を巡り歩くことで見物することができます。

交通機関を利用して仙台入りする場合は、JR仙台駅を出た直後から仙台駅前商店街の七夕飾りを目にすることになります。

駅前から続く中央通りと一番町通りのアーケード街が七夕飾りの中心で、各商店街の店舗や企業がそれぞれ趣向を凝らした個性豊かな吹き流しが見ものです。

この他にも駅前に近い仙台朝市商店街や、一番町通りのサンモール一番町商店街に面した壱弐参横丁も見逃せない七夕飾り付け地区です。

交通機関を利用して仙台入りする場合は仙台駅から歩いてそれらの七夕飾りを楽しめますが、車を利用する場合は交通規制の影響で市内の道路が混雑するため注意が必要です。

おまつり広場が開催される勾当台公園は一番町通りを抜けた先に位置しており、地下鉄を使って仙台地下鉄南北線の仙台駅から勾当台公園駅まで移動することもできます。

商店街を歩きながら仙台七夕まつりを楽しもう

仙台は風情のある街として多くの文人たちにも愛されてきましたが、現代的な都市の風景も色鮮やかな七夕飾りで一変します。

21世紀的な街並みと伝統的な七夕飾りのミスマッチを味わうのも仙台ならではの楽しみです。

七夕飾りを見物しながら歩くのに疲れたら、商店街の飲食店などに立ち寄って一休みするのもいいでしょう。