遺族年金は誰がいつから受け取れる?いつまでもらえるのか?【年金】

最終更新日:2017年7月31日

公的年金に加入されている方が死亡した時、遺族の方は遺族年金を受け取ることができます。

いつからいつまで支給され受給できる遺族の範囲はどこまでなのか、
遺族年金とはどのようなものなのでしょうか。

1.遺族年金を貰える遺族とは

年金制度は、全員に共通して支給される国民年金と、上乗せ部分として会社にお勤めの方で厚生年金に加入している方に支給される厚生年金があり、2階建ての制度となっています。
同じ支給事由に対する給付は、国民年金と厚生年金を併せて受け取る事ができます。

国民年金から支給される給付は遺族基礎年金と言い、受給できる人は被保険者の死亡当時に生計を維持されていた以下の方となります。

1、配偶者で、2の子と生計を同じくする者

2、18歳到達年度末(18歳以後最初の3月31日)までにあるか、20歳未満で障害等級1・2級に該当する障害があり(障害要件)、かつ婚姻していない子
遺族基礎年金を受給できるのは配偶者と子のみで、子供がいない場合は支給されません。

婚姻していないという要件もあり、国民年金は子供を育てる為の年金と考える事もできます。
遺族厚生年金を受給できる人は被保険者の死亡当時生計を維持していた以下の方です。

1、配偶者と子
2、父母
3、孫
4、祖父母

子と孫は18歳年度末までにあるか20歳未満で障害要件にあり、かつ婚姻してない者、夫、父母、祖父母は55歳以上である者となります(60歳まで支給停止)。
兄弟姉妹は受け取ることができません。

以上の要件は被保険者の死亡当時に満たしている必要があるので、その後に要件を満たしても受給権者となることはできないので注意が必要です。
また、遺族厚生年金の遺族には順位があり、上記の順となっています。

遺族厚生年金は先順位者が失権した場合に後順位者に支給される転給はありませんので、後順位者は遺族厚生年金を受給することはできません。

2.いつからいつまで貰えるのか

年金給付は月単位で行われ、受給権取得の翌月分から消滅した月分まで支給されます。
給付を受けるには裁定請求を行う必要がありますが、給付は申請日や裁定の行われた日からでなく受給権取得日の翌月分から支給されます。

遺族年金の受給権は次の要件に該当したら消滅します。

1、死亡したとき
2、婚姻、直系血族・直系姻族以外の養子となったとき
3、離縁により死亡した被保険者と親族関係でなくなったとき
4、子、孫については18歳到達年度末が終了または障害要件に該当しなくなったとき
5-1、遺族厚生年金の受給権者が妻の場合、受給権取得時30歳未満で遺族基礎年金の受給権がない時は、遺族厚生年金の受給権取得日。
5-2、30歳未満で遺族基礎年金の受給権が消滅した時は、その消滅した日から5年を経過したとき。

例えば、遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給している妻が再婚した場合には被保険者の死亡した翌月分から再婚した月分までの給付を受ける事ができます。
この場合、再び離婚しても受給権が復活することはありません。

なお、配偶者に支給される遺族基礎年金は、受給資格のある子がいないと貰えない年金となっています。
子の全てが失権事由に該当した場合は、子のいる配偶者とはなりませんので配偶者の受給権も消滅してしまいます。

余り知られていませんが、このように遺族年金にはいくつかの失権事由がありますのでいつまで貰えるのか確認をしておく必要があります。

3.遺族年金を貰うために必要な要件は

遺族年金を貰うには死亡日の被保険者の要件と保険料納付要件を満たしている必要があります。
遺族基礎年金の場合は死亡日において以下の者になります。

1、被保険者である者
2、被保険者であった者で国内居住の60歳から65歳の者
3、老齢基礎年金の受給権者か受給資格期間(25年)を満たしている者

1、2の者については、保険料納付要件も必要となります。

死亡日の前日の時点で、死亡月の前々月までの被保険者期間のうち3分の2以上の保険料納付期間があること、
もしくは65歳未満で死亡日の前々月までの1年間に保険料滞納がないことが必要です。

遺族厚生年金の場合は死亡日において以下の者となります。

1、被保険者である者
2、被保険者期間に初診日のある傷病により、初診日から5年以内に死亡した者
3、障害等級1・2級の障害厚生年金の受給権者である者
4、老齢厚生年金の受給権者、受給資格期間を満たしている者

同じく1、2の者については、保険料納付要件を満たしている必要があります。

障害厚生年金の受給権者はその受給権を取得する時点で同様の保険料納付要件を満たしており、
老齢年金の受給権者は受給に必要な、40年のうちの25年以上の保険料を納めている方なので保険料納付要件は不要となっています。

遺族年金を貰うには保険料の納付状況も問われる事になっています。
厚生年金は会社の給料からの徴収となっているので納め忘れはありませんが、国民年金の保険料は自分で納めるものなので、払い忘れにはご注意ください。

4.貰える年金額

遺族基礎年金の受給額は基本年金額(満額の老齢厚生年金額)に子の数に応じて加算額がつきます。
平成29年4月以降であれば、妻に支給される遺族基礎年金は、779、300円+第1子、2子につき各224、300円+第3子以降各74、800円となります。

子に支給される遺族基礎年金は、

779300円+第2子224300円+第3子以降各74800円 となります。

基本年金額と子の加算額は毎年4月に改訂されています。
遺族厚生年金の額は、死亡した被保険者が受ける老齢厚生年金の4分の3の額になります。

簡単な計算式を表しますと

(平成15年3月までの標準報酬月額の平均×7.125/1000×平成15年3月までの加入期間+ 平成15年4月4以降の標準報酬月額と賞与の平均×5.481/1000×平成15年4月以降の加入期間)×3/4が遺族厚生年金の額となります。

この時老齢厚生年金の受給資格を満たしている方は長期要件と言い、上記の給付乗率の7.125と5.481の部分が生年月日に応じて7.125からそれぞれ9.5、5.481から7.308に読替えがあります。
それ以外の方は短期要件と言い、給付乗率の読替えはなく、厚生年金加入後の被保険者期間が短い場合には、被保険者期間を300月とする最低保証があります。

また、遺族基礎年金は子のない配偶者には支給されませんので、これを補う為に子のない妻に対しては65歳まで遺族厚生年金に中高齢寡婦加算という加算が行われています。
対象となるのは受給権取得時に子がない場合は40歳以上65歳未満である妻、子がある場合は40歳当時に子と生計を同じくしている妻です。

加算額は584、500円で、遺族基礎年金の4分の3の額となっています。
中高齢寡婦加算は、妻が65歳になると自身の老齢基礎年金を受給できる為に終了しますが、妻の国民年金の加入状況によっては老齢基礎年金が中高齢寡婦加算より低額になってしまうこともあります。

そこで、昭和31年4月1日以前生まれの妻に対しては一定の年金額を確保する為に中高齢寡婦加算に代えて経過的寡婦加算という給付が支給されます。

受給要件といつまで貰えるかに注意

以上のように遺族年金にはいくつもの受給に必要な要件や、失権事由があります。
結婚して新たに生計関係が出来ると遺族年金は失権しますし、子や孫に関しては一般的に高校卒業までしか支給されませんので留意しておく必要があります。

特に年齢に関する部分は失念しやすいかと思いますので、いつまで受け取る事ができるのか、加算額の有無等も確認してみるとよいでしょう。