白川郷(岐阜県)は日本三名山の1つとして知られる白山の麓!ユネスコの世界遺産

最終更新日:2017年11月28日

岐阜県の白川村から高山市にかけて広がる白川郷には、ユネスコの世界遺産にも登録された貴重な合掌造り集落が多く見られます。

独自の生活様式が保存された白川郷の合掌造り集落は、世界的に見ても貴重な文化遺産です。

1.世界遺産に登録された合掌造り集落

古い民家が保存されている地域は全国各地の地方に点在していますが、その中でも白川郷は最もユニークな景観が保存されている点で高い文化的価値が認められます。

白川郷の集落で特徴的な合掌造り家屋の茅葺屋根は45度から60度にも達するほど急な勾配をしており、木造民家としては非常に大規模な構造です。

岐阜県白川村の萩町地区にはこの合掌造り家屋が多く保存されており、それらの家屋の多くは現在も生活の場として使用されています。

白川郷は1976年に重要伝統的建造物群保存地区として指定された後、1995年には隣接する富山県南砺市五箇山地区とともに「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として世界文化遺産に登録されました。

白川郷には国の重要文化財にも指定された和田家住宅に加え、県の重要文化財9棟を含む26棟を屋外展示した合掌造り民家園もあります。

世界遺産登録後は国内外から大勢の観光客が訪れるようになり、白川郷は世界的にも有名になりました。

2.荻町城跡展望台と合掌造り民家園

日本の世界文化遺産には古寺社や城・産業遺産など、拝観料・入場料を徴収することで見学を許可している施設も少なくありません。

白川郷の中でも重要文化財の和田家や屋外博物館の合掌造り民家園ではそうした措置が取られていますが、合掌造り集落の中には現在も地域の住民が生活の場としている一般民家も含まれています。

白川郷を訪れたらそうした民家の点在する風景の中を散策することで、民話の世界に迷い込んだような情緒を味わうことができます。

白川郷からシャトルバスが運行されている荻町城跡展望台は、白川郷全体の美しい風景を一望できる観光スポットとして人気です。

合掌造り民家園では合掌造り民家を間近でじっくり見られるだけでなく、建物の中に入って内部構造を見学することもできます。

民家の内部にはさまざまな民俗資料や模型なども展示されており、白川郷の歴史や昔の生活ぶりについて学べる点でも合掌造り民家園は見逃せません。

3.和田家住宅と明善寺も必見

白川郷にある合掌造り家屋の中でも、特に人気が高いのは江戸時代末期に建造されたと推定されている和田家住宅です。

和田家は村の庄屋を代々務めてきた家柄で、火薬の原料となる塩硝や生糸も取り扱ってきました。

和田家住宅は合掌造りの主屋と土蔵・便所の3棟に加え、周辺の水路や石垣なども含んだ土地そのものが国の重要文化財に指定されています。

和田家住宅は現在も住居として利用されていますが、3階まである主屋のうち1階と2階が観光客にも公開されているため内部に入って見学することができます。

囲炉裏端でくつろいだり内部を撮影したりすることも可能ですので、白川郷を訪れたら是非一度和田家住宅を訪れてみるといいでしょう。

白川郷では明善寺の本堂と庫裏・鐘楼も合掌造りで建てられており、中でも5階建ての庫裏は白川村の合掌造り家屋でも最大の建物です。

内部が明善寺郷土館として公開されている庫裏では農機具や民具の他、囲炉裏や養蚕の仕事場も見学できます。

4.合掌造りの歴史と民俗

全国的に見ても特異な住宅様式と言える合掌造りが発展した背景は、白川郷の歴史や地理的特性と無関係ではありません。

集落の起源は定かではありませんが、平安時代末期の倶利伽羅峠の戦いで木曽義仲率いる源氏方が平家軍を打ち破った際に、平家の落武者が現在の白川郷に住み着いたという伝承もあります。

白川郷は白山信仰とも関わりがあると言われており、加賀一向一揆と結んだ白山修験がこの土地に定住したとする説も有力です。

日本有数の豪雪地帯で冬の気候が厳しい白川郷では、いつの頃から雪が自然に落ちるよう急勾配の屋根が工夫されるようになりました。

合掌造りの大規模な家屋は大家族の居住に適し、江戸時代から活発となった養蚕に利用するための広い屋根裏部屋が設けられています。

30年から40年に一度行われる茅葺屋根の葺き替え作業では、村の住民が総出で協力し合う「結」の仕組みに支えられてきました。

5.温泉やライトアップイベントも人気

白川郷は日本三名山の1つとして知られる白山の麓に位置し、大正時代頃までは交通の便が悪いため容易に行き来できない秘境でした。

現在では近くまで高速道路や林道が開通しており、白川郷も訪れやすくなっています。

車を使って訪れる場合は東海北陸自動車道を利用し、白川郷インターチェンジを出れば間もなく白川郷に到着します。

交通機関を利用する場合は名古屋市や高山市・金沢市などの周辺主要都市から白川郷行きのバスに乗るのが便利です。

合掌造り集落の近くには古くから山岳信仰の場として知られていた白山に加え、白川郷の湯や大白川露天風呂などの温泉もあります。

白川郷の湯は合掌造り家屋の点在する世界遺産地区内の宿泊施設として人気が高く、宿泊客以外でも日帰り入浴が可能です。

1月下旬から2月下旬の特定日には白川郷ライトアップイベントも行われ、見学予約をした上でのマイカー訪問や予約貸切バスを利用する形で幻想的な雪の白川郷が見られます。

幻想的な冬の白川郷を楽しもう

昔話の世界から抜け出したようだと表現される白川郷の風景は、国内外から訪れた観光客を魅了してきました。

深い雪に覆われた冬の白川郷は特に幻想的で美しく、昔の山里にタイムスリップしたような体験が得られます。

古き良き日本の原風景が奇跡的に保存された全国でも数少ない集落として、白川郷は必見の価値を持っています。