松山城(愛媛県松山市)は七本槍の1人・加藤嘉明が築城した重要文化財の宝庫!

最終更新日:2017年11月7日

城や歴史が好きなシニアは全国の城巡りを楽しんでいますが、特に人気を集めている城の1つが愛媛県松山市にある松山城です。

江戸時代の天守が現在まで保存されている松山城には、他にも多くの重要文化財が残されています。

1.重要文化財の宝庫として人気

松山城の天守は全国に12しかない現存天守の1つで、度重なる戦火や災害を乗り越えて江戸時代から現在まで保存されてきました。

三重三階の構造を持つこの大天守を始めとして、松山城では国の重要文化財が合計21棟も指定されています。

遠目から見ても美しさが際立つ天守とともに、櫓や門・塀など数々の貴重な文化財が城内の至るところで見られること点でも松山城は歴史ファンから人気を集めているのです。

これらの城郭建築を取り囲む城跡全体が国の史跡に指定されており、現在では城山公園として整備されています。

松山城は本丸の標高が132メートルにも達する平山城ですが、長者ヶ平まではロープウェイ・リフトで登れるためシニア世代の人でも気軽に訪れることが可能です。

城下町としても知られる松山市の市街を見下ろすようにそそり立つ松山城は、地元の人たちにとっても市の象徴として親しまれてきました。

2.完成度の高い天守の美

松山城を訪れたら、まずは江戸時代の城郭建築を伝える貴重な天守をじっくりと鑑賞したいものです。

三重三階地下一階というこの大天守は、天明年間の落雷で旧天守が焼失したのを受けて安政元年に再建された経緯があります。

江戸時代の城郭建築としては全国でも最後に築かれた天守だけに、完成度の高さが松山城の大きな特徴です。

全国で江戸時代までに建造された城の多くは、戊辰戦争等の戦火や徳川幕府による一国一城令・明治政府による廃城令で失われました。

残された20の天守も太平洋戦争の空襲で次々と焼失し、現在までに残されているのはわずか12の天守に過ぎません。

松山城の天守は全国でも数少ない現存天守の1つとして知られるだけでなく、城郭建築の完成形を示す美術的な価値の高さから見ても貴重な文化遺産と言えます。

当然のことながら日本の100名城にも選ばれていますが、最新の名城ランキングでは姫路城・松本城に次ぐ全国3位に入りました。

3.国の史跡にも指定された城山公園

大天守と小天守・櫓を四方に配置して渡櫓で連結するという松山城の連立式天守は、世界遺産に登録された姫路城とも共通する建築様式です。

松山城と言えば何と言ってもこの堂々たる天守閣が一番の象徴ですが、天守の周辺にも数々の重要文化財が配置されています。

大天守を取り囲む本壇には一ノ門南櫓・一ノ門東塀・二ノ門南櫓・仕切門・仕切門内塀などがあり、本壇を囲む形で築かれた本丸内にも隠門・野原櫓・乾櫓といった重要文化財が見られます。

松山城を訪れたら天守だけでなく、それらの歴史ある建築物の美も鑑賞してみるといいでしょう。

美しい石垣と木造建築物の対比も鮮やかで美術的価値も高いそれらの文化財は、同時に外敵の侵入を防ぐ防御施設の役割も果たしてきました。

歴史好きのシニアならそうした防御の仕掛けを観察しながら、松山城を守る武士たちの生きた時代に思いを馳せるのも1つの楽しみです。

4.七本槍の1人・加藤嘉明が築城

現在の松山城天守は幕末の時代に再建された建造物ですが、松山城を開城したのは賤ヶ岳合戦で七本槍の1人と呼ばれたほどの働きを見せたことでも知られる戦国武将の加藤嘉明です。

伊予国正木城の城主だった加藤嘉明は関ヶ原の戦いでの戦功を認められて20万石に加増され、松山の地に新たな城を築いたのが松山城の始まりとなりました。

加藤嘉明はその後会津に転封となり、出羽上山藩主だった蒲生忠知が新たな松山城主として入城します。

蒲生家断絶後は松平氏が明治維新まで歴代藩主となり、現在の松山城天守は12代藩主松平勝善が再建した建造物です。

このように伊予松山藩は長く松平氏が藩主として君臨してきましたが、加藤嘉明は松山城の初代城主として松山市民に親しまれています。

松山城のマスコットキャラクター「よしあきくん」も、加藤嘉明にちなんだキャラクターです。

5.ウォーキングコースも人気

以上のような歴史を持つ松山城は、松山平野の中でも小高い丘陵地を利用して築かれた平山城のため標高の高い地点にあります。

現在では麓からロープウェイとリフトが運行されており、松山空港やJR松山駅・道後温泉からロープウェイ乗り場まではリムジンバスや路線バス・路面電車を利用してアクセスできます。

車でアクセスする場合は麓の松山城駐車場からロープウェイ乗り場まで徒歩2分ほどです。

天気が良い日は1人乗りのリフトで上ることにより、豊かな自然の中で空中散歩を楽しむことができます。

足に自信があるシニアは、登城道を利用して城山公園の自然に親しみながら松山城を目指すのもいいでしょう。

松山城まで上る登城道には4つありますが、東雲口登城道が最も整備されていて上りやすいものです。

松山城を巡るいくつかのウォーキングコースもされており、松山城を見上げながら城山公園のまわりを一周する1時間余りのコースも人気があります。

松山城と城山公園で有意義のひとときを

途中までロープウェイやリフトも整備された松山城と城山公園は、多彩な楽しみ方が可能な観光スポットです。

歴史好きのシニアはもちろん、城を見に行くのが初めての人でも有意義なひとときとなるのは間違いありません。

松山城近くには坂の上の雲ミュージアムなどもありますので、時間に余裕があったら立ち寄ってみるといいでしょう。