しいたけは定年後シニアのメタボ体型を解消し骨を丈夫にする!

最終更新日:2017年11月23日

日本食・中華料理の材料や出汁を取るのに使われるしいたけは、シニア世代でも人気の高いきのこです。

しいたけはうま味や独特の香りも魅力ですが、食物繊維が豊富で低カロリーな上にビタミンなど栄養面でも優れています。

1.生しいたけと干ししいたけ

古くからしいたけを食用としてきた日本では自生種を採取していた時代を経て、江戸時代には原木を使った栽培が始まったと伝えられています。

現在では原木栽培と菌床栽培の両方が確立し、栽培法と品種改良を重ねて大量生産されるしいたけが市場に流通するようになりました。

もともとはクヌギやナラ・カシ・シイといった広葉樹の枯れ木に発生するきのこで、適度な湿気と風通しのある環境でよく育つ性質があります。

スーパーでは採取したものをそのまま利用する生しいたけが野菜売り場で売られ、乾燥させた干ししいたけは乾物売場で売られるのが一般的です。

しいたけにはグアニル酸やグルタミン酸などのうま味成分が含まれますが、昆布や鰹節にないグアニル酸は生しいたけにほとんど含まれず、乾燥させることで生成されるという特徴があります。

乾燥させる過程で干ししいたけ独特の香りを出す化学物質が増し、天日干しにすることで栄養成分のビタミンDも増えるのです。

2.しいたけ特有の成分エリタデニン

生しいたけのおよそ90%は水分で、100g中5.7gを占める炭水化物のうち大半は食物繊維のため、糖質はわずか0.6gを占めるに過ぎません。

しいたけはダイエット効果を持つ低カロリー食品という点でも人気を集めていますが、メタボ体型が気になるシニアにとって見逃せないのはしいたけ特有の成分エリタデニンです。

この物質はしいたけ以外だとマッシュルームにしか含まれておらず、それもしいたけに比べれば決して多くはありません。

エリタデニンは血液中の善玉コレステロールを増やして悪玉コレステロールを減らし、体内のコレステロール総量を低くする作用を持ちます。

悪玉コレステロールが増えると動脈硬化や高血圧になりやすく、心臓病や脳卒中などの原因となります。

しいたけを日常的に食べている人はそうでない人よりも血管年齢も全般に若い傾向が見られ、そうした生活習慣病も発症しにくくなっているものです。

3.骨を丈夫にするエルゴステロール

しいたけにはエリタデニンの他にもビタミンB群や葉酸も豊富に含まれていますが、中でも注目したい成分はエルゴステロールです。

この物質は菌類の細胞膜を構成してコレステロールに似た働きをしており、日光に当たるとビタミンDに変わるという性質を持ちます。

そのため天日干しにされた干ししいたけにはビタミンDが豊富に含まれていますが、生しいたけでも1時間程度日光に当てておくとビタミンDが増えます。

ビタミンDは他の種類のビタミンに劣らず重要な役割を果たしている栄養素の1つで、体内ではカルシウムに関わるさまざまな働きをしています。

ビタミンDは腸からカルシウムを吸収するのを助けるだけでなく、吸収したカルシウムを骨に定着させるように作用します。

小魚や干しえび・海藻・大豆製品など、カルシウムが多く含まれた食品と同時に干ししいたけを食べることで骨が丈夫になり、骨粗鬆症や骨折の予防につながります。

4.食物繊維にも多くの効能

以上は体内に吸収されることで栄養素として作用する成分ですが、しいたけに多く含まれる食物繊維も腸内で重要な役割を果たしています。

しいたけに含まれる食物繊維の大半は水に溶けない不溶性で、水分を吸収して便のかさを増す働きをするため便秘改善に役立つのです。

不溶性食物繊維は腸の蠕動運動を促進するだけでなく、腸内細菌のえさとなって腸内環境を整え、消化物に含まれていたさまざまな有害物質の排出も促してくれます。

しいたけにはレンチナンやβ-グルカンなど、食物繊維として作用する多糖類が多く含まれています。

レンチナンはマクロファージ・T細胞・NK細胞といった免疫細胞を活性化させ、抗腫瘍効果を高める効果を持つことから抗がん剤にも利用されてきました。

健康食品に使われているβ-グルカンも免疫力を高める効果が知られています。

しいたけは栄養価が高いだけでなく、中国医学で生薬としても利用されていたほどの薬用効果も持っているのです。

5.調理の工夫でおいしさ倍増

栄養素としては吸収されないレンチナンやβ-Dグルカンも含め、しいたけは数多くの有用成分が秘められている優れた食材です。

それでいながらスーパーでは大量に出回っているため価格も安く購入できるのですから、健康を意識するシニアとしては利用しない手はありません。

煮てよし焼いてよし、炊き込みご飯や丼もの・茶碗蒸しなどの和食ばかりでなく、肉詰めや八宝菜・酢豚といった中華料理にもしいたけはよく使われます。

しいたけの持つうま味を最大限に生かせる調理法が数多く考案されていますので、料理本やレシピサイトを参考にしてみるといいでしょう。

とは言えしいたけは味や香りが独特なため人によって好みが大きく分かれ、ピーマンや人参などと並んで子供の嫌いな食材の上位にもよく挙げられます。

シニア世代の中にもしいたけが苦手な人は少なくありませんが、干ししいたけと比べると生しいたけなら癖がないので、比較的抵抗なしに食べられるものです。

しいたけの健康効果を知ろう

しいたけが苦手だった人も、以上のような健康効果を知れば食べてみようという気になる可能性があります。

しいたけが好きな人なら、毎日のメニューにしいたけ料理を1品加えるだけで血管年齢が若返る効果が得られます。

少量では顕著な効果を発揮しない成分であっても、毎日食べ続けることで体質改善に役立っていくものです。