定年後の旅!兼六園(石川県)加賀百万石の歴史と文化の中をウォーキング

最終更新日:2017年9月26日

兼六園は加賀藩5代藩主・前田綱紀が作庭をはじめました。

その後、歴代の藩主によって180年の長い歳月をかけ手が加えられ、築山、林泉、廻遊式庭園へと完成していきます。

水戸の偕楽園、岡山の後楽園と並ぶ日本三名園の一つで、国の特別名勝に指定されているスポットです。

1. 六つ魅力が散りばめられた名園

兼六園の名称の由来は、広大と幽邃、人力と蒼古、水泉と眺望の相反する六勝を兼ね備えていることから。

約11.4万平方メートルの広大な敷地には入り口が5か所あり、石川門前の桂坂口から入るとおみやげ店や茶店がたくさん並び、観光客で賑わっています。

園内に進むと、一番大きな池の霞ヶ池が見えてきます。
まさに広大な景色で、池のほとりに佇む徽軫灯籠がアクセントとなって、風情をかもし出しています。

片足を池に沈めた灯籠の姿は、兼六園のシンボルとして、パンフレットや記念写真の撮影スポットでおなじみです。
霞ヶ池の周辺には、内橋亭、紅橋、唐崎松、蓬莱島など見どころが続きますので、つつじや杜若などの四季の花々も見逃さずに廻りましょう。

一方、幽邃の代表的な場所といえば、瓢池(ひさごいけ)です。

霞ヶ池の広大と瓢池の幽玄を見比べながら歩いてみてください。

2. 松好きのお殿様ならではの趣向が粋

兼六園には約8000本もの樹木が植えられています。
中でも唐崎松は園内一の枝ぶりで、13代藩主・斉泰が、琵琶湖畔の唐松からわざわざ種を取り寄せて育てた黒松です。

11月になると、この松から雪吊り作業がはじめられ、冬の兼六園の風物詩になっています。
白く雪を被ったその姿は、別世界のようなすばらしい光景に変わります。

園の中ほどには、斉泰が若松から育てた根上松があります。
松が成長するたびに根元の土を掘り起こし、鑑賞できるよう工夫したものです。

たくさんの根が絡まりながら、地上2メートルにもせり上がり、とても面白い形を創りだしています。
松好きのお殿様ならではの、時間と根気をかけた趣味を垣間見ることができます。

3. 自然の水圧を利用した、日本最古の噴水

特に名前がついてはいないものの、兼六園の噴水は、六勝の水泉の代表的な場所になります。

日本で最も古い噴水といわれ、藩政末期に辰巳用水から金沢城の二の丸に水を引くために、試作したものだそうです。

噴水よりも高い場所にある霞ヶ池を水源とし、自然の水圧で水が上がる逆サイフォン式になっています。
また、霞ヶ池の上の方へ登ると、小高い展望台が広がっています。

金沢市内や近くの卯辰山、遠くの白山、能登半島などが見渡せる、六勝の内の一つ。
まさに眺望を満喫できるところです。

一方、小立野口の近くにある山崎山は、
楓や栃の木が密集した小高い丘で、秋には芝生が真っ赤な絨毯に染まる紅葉の隠れスポットです。
「あかあかと 日はつれなくも 秋の風」という松尾芭蕉の句が句碑に刻まれています。

4. 数寄屋造りの時雨亭で一休み

時雨亭は、5代藩主・綱紀が兼六園を作庭したころにはあったのですが、廃藩とともに撤去されてしまいました。
平成12年にそれを復元し、亭内で抹茶と和菓子の呈茶(有料)や、見学もできる憩いの場所になっています。

庭を眺めながら座敷に座っていただく一服は、至福のひとときをもたらしてくれます。
また、兼六園の最古の建物である夕顔亭は、瓢池の東側にある茅葺きの茶亭です。

蓮池庭にあった四亭(夕顔亭、内橋亭、時雨亭、舟之御亭)の一つで、安永3年に建てられたものです。
外からしか見学できませんが、茶室内の壁の夕顔の透かし彫りなど、当時のままの姿を伝えています。

5. 石垣の博物館、石川門

重要文化財に指定されている現在の石川門は、天明8年に再建されました。
かつて金沢城と兼六園をつなぐ搦手門(からめてもん)と呼ばれる裏門でした。

二層の菱櫓と複数の門が組み合わされた枡形構造になっており、敵の進入を防ぐため頑丈な構えとなっています。
屋根瓦には鉛を使い、いざという時のために鉄砲弾に溶かして作り変えるためとも言われています。

兼六園とつながっているので、自由に行き来できますので、ぜひ訪れてみてください。
石川門と兼六園の桂坂口を渡る橋の上からは、両側の景色を眺めることができ、 桜の季節には、道の向こうまで満開の桜で霞む眺めが格別です。

春夏秋冬。どの季節に訪れても楽しい兼六園

春は梅林や桜、夏は松の緑樹、秋は紅葉、冬は雪吊りと豊かな自然が楽しめる兼六園。
芍薬、菖蒲、つつじ、あじさい、萩、菊など、四季の草花も彩りをそえ、訪れる人の心を癒してくれます。

兼六園に隣接する「成巽閣」や、石川門から通じる石垣の博物館といわれる「金沢城公園」、平成27年に復元された「玉泉院丸庭園」などもあわせて廻ると、ありし日の加賀百万石の歴史と文化に触れることができます。