高知城(高知市)は山内一豊・忠義が築城した本丸の建物が完全に残る名城!

最終更新日:2017年11月7日

四国には江戸時代の天守を残した城が多く見られますが、中でも高知城は歴史ファンから一般観光客まで人気の名城です。

堂々たる風格の天守を始めとして、本丸御殿など15棟の建造物が国の重要文化財に指定されています。

1.本丸の建物が完全に残る名城

遠くからでもその威容を見ることができる天守閣は、城の象徴として欠かせない存在です。

国内には「日本の100名城」が選ばれるほど多数の城がありますが、江戸時代以前に造られた天守が現在も残されている城は全国でわずか12しかありません。

この現存天守は西日本に著しく偏って分布しており、特に四国は高知城・松山城・丸亀城・宇和島城の合計4つを数えるほど歴史の古い天守を持つ城が多い地域となっています。

高知城に残る天守は1727年の大火で焼失した後、1749年に再建された建造物です。

高知城は高知市の高知平野にある標高44mほどの大高坂山に築かれた平山城で、近くの鏡川と江ノ口川を外堀に利用しています。

高知城の本丸には天守の他にも本丸御殿を始めとする建造物が完全に残されており、それらは国の重要文化財にも指定されました。

本丸の建物が江戸時代のままこれだけ完全に残っている例は、全国でも高知城しかありません。

2.廻縁高欄を持つ望楼型天守

歴史的に見ても貴重な重要文化財が多く残されている高知城の中でも、見る者を圧倒する迫力でそびえ立っているのは四重の外観を持つ天守です。

江戸時代初期に建てられた天守は1927年の大火で焼失しましたが、その22年後に再建された現在の天守は250年以上もの風雨に耐えて今も勇壮な姿を見せています。

内部が三層六階の構造をしているこの天守は、比較的古い時代の建築様式を示す望楼型です。

破風を持つ入母屋造りの屋根の上に廻縁を巡らせた高欄を載せているのが望楼型天守の大きな特徴で、新しい建築様式の層塔型天守と比べて細工も精巧そのものです。

高知城を訪れたらまずはこの見事な天守の美を鑑賞し、大名の権威の象徴として天守が築かれるようになった時代の建築様式をじっくり観察してみるといいでしょう。

3.天守や本丸御殿は内部観覧も可能

高知城では天守や懐徳館といった歴史的建造物に入って内部を観覧することができます。

外観だけでなく内部も江戸時代そのままに保存されており、天守の一階は精巧な高知城のジオラマも展示されています。

各階には高知城の歴史が学べるさまざまなパネルや写真が多数展示されており、クジラ漁に関わる模型など目を引く展示物も少なくありません。

シニア世代の人は最上階へと続く急な階段を上るのも大変ですが、高欄の周囲を巡る廻縁から高知市内を一望できる眺めは絶景です。

屋根瓦に取り付けられた鯱や詰門・廊下門・追手門といった重要文化財も天守から見下ろすことで違った角度から眺めることができます。

高知城は江戸時代の本丸御殿が現存する数少ない城の1つで、その貴重な御殿「懐徳館」にも天守との共通料金で入場可能です。

天守と同じく大火後に再建されたこの本丸御殿は、江戸時代の藩主が実際に暮らしていた当時のまま内部が保存されています。

4.山内一豊・忠義が築城

現在高知城がある大高坂山には、14世紀の南北朝時代まで大高坂山城という城が存在していたと推定されています。

戦国時代には長宗我部元親が大高地山に再び城を築き、関ヶ原の合戦後に土佐国領主となった山内一豊が大規模な治水工事とともに改めて築城したのが現在に残る高知城の基となりました。

当時の大高地山周辺は水はけの悪い湿地帯でしたが、山内一豊は優れた石垣の技術を持つ百々綱家を奉行として召し抱え、高知城と城下町の基礎を築いたのです。

この城は当初「河中山城」と名づけられていましたが、水害を嫌う意味から「高智山城」と改められた末、「高知城」へと呼び名が変わっていったと伝えられています。

現在の高知県や高知市として地名に採用された「高知」も、この高知城を由来とします。

明治維新後の明治6年には高知城も廃城令の対象とされましたが、度重なる天災や戦災も乗り越えて天守や本丸御殿を始めとする多くの建造物が現在まで保存されてきたのです。

5.国の史跡にも指定された高知公園

明治6年の廃城令以降は高知城内全体が高知公園として開放され、多くの観光客が訪れる名城スポットとして親しまれてきました。

天守や懐徳館などは有料施設ですが、高知公園そのものは無料で入ることができます。

高知公園内には石樋が設置された石垣や重要文化財の追手門・詰門・南矢狭間塀など、天守以外にも見どころが盛りだくさんです。

山内一豊像や板垣退助像など高知城ゆかりの人物の銅像も、歴史好きのシニアには見逃せません。

高知城近くで2017年3月に開館したばかりの高知城歴史博物館には土佐藩にちなんだ歴史資料が豊富に展示されていますので、高知城を訪れたら是非立ち寄ってみるといいでしょう。

高知城天守と懐徳館・高知城歴史博物館の共通入場券を利用すれば料金がお得になります。

JR高知駅から高知城までは徒歩25分ほどで、バスや電車も運行されています。

坂本龍馬ゆかりの高知城を散策する

高知城は土佐藩の藩庁として江戸時代を通じて歴史の舞台となった場所でもあります。

土佐藩は明治維新に重要な役割を果たして藩だけに、坂本龍馬ゆかりの城でもある高知城は歴史ファンの間でトップクラスの人気を誇る名城です。

そうした歴史の名場面を想像しながら公園内を散策するのも、高知城を訪れる楽しみの1つです。