春日大社(奈良県)は神話的・歴史的由緒を持つ厳粛で神聖な雰囲気があるパワースポット

最終更新日:2017年11月7日

奈良時代には平城京として日本の都だった現在の奈良市には、1000年以上の古い歴史を持つ寺社が数多くあります。

中でも藤原氏の氏神を祀る春日大社は、縁結びや開運にご利益があるパワースポットとしても人気の神社です。

1.藤原氏の氏神を祀る神社

春日大社は全国に1000ほどある春日神社の総本山でもありますが、その創建は今からおよそ1300年前の奈良時代にまでさかのぼります。

都が平城京から平安京へ移った後も、春日大社は日本の歴史に重要な役割を果たしてきました。

春日大社には武甕槌命など4柱からなる藤原氏の氏神が祀られていたため、藤原氏が権力をふるっていた奈良時代から平安時代にかけて絶大な影響力を持っていたのです。

春日大社は奈良市の東側に広がる奈良公園の一角に位置していますが、奈良公園で鹿が名物となっているのも春日大社で鹿が神の使いと見なされていることに由来します。

1998年には春日大社と春日山原始林に興福寺や東大寺・正倉院なども含め、奈良市にある寺院等が「古都奈良の文化財」として世界遺産に登録されました。

近年ではパワースポットのブームにも乗って全国の有名神社が人気を集めていますが、その中でも春日大社は最強スポットの1つに数えられます。

2.一之鳥居から幣殿・本殿へ

交通機関を利用して春日大社へ行くには、JR奈良駅・近鉄奈良駅からバスに乗って「春日大社本殿」で下車するのが最も近いコースです。

JR奈良駅から徒歩で35分ほど、近鉄奈良駅からは25分で春日大社に到着しますので、足に自信のあるシニアは一之鳥居から1.4kmほどの参道を歩いて歴史散歩を楽しんでみるといいでしょう。

萬葉植物園や国宝殿を過ぎると二之鳥居が見え、その先からはいかにも神域といった雰囲気が感じられるようになります。

霊感の強い人なら気が引き締まり、背筋も自然と伸びてくるものです。

1000年以上も前には藤原氏の貴族たちがこの参道を通り、さまざまな歴史の舞台となってきた場所でもあります。

二之鳥居をくぐった先にある祓戸神社脇には伏鹿手水所がありますので、ここで手と口を清めてから参拝に向かうのが作法です。

社務所・着到殿を過ぎた先に南門が現れ、通常参拝客は門をくぐった先の幣殿・舞殿で二拝二拍手一拝の参拝を行います。

3.春日造で建てられた4棟の本殿

パワースポット好きのシニアであれば、幣殿・舞殿の前で参拝しただけで帰るのはもったいないと感じるものです。

春日大社では南門近くにある特別参拝受付で初穂料500円を払うことにより、中門の前まで入って参拝することができます。

石段を上った先には本殿と間違える人も多いほど壮麗な中門がそびえ立っており、その向こうに4棟からなる本殿が並んでいます。

特別公開される期間中でなければ国宝に指定されたこの本殿に参拝することはできませんが、霊感の強い人なら本殿の近くまで行くだけでも神威を強く感じるものです。

4棟からなるこの本殿はいずれも春日造と呼ばれる建築様式で建てられており、大社造と共通する切妻造と妻入の屋根を特徴としながら寺院建築の影響が強く反映されている点で出雲大社などと異なります。

春日大社の境内は回廊で囲まれていますが、特別参拝では中門から延びる御廊や捻廊と呼ばれる渡り階段、社頭の大杉なども間近で見ることができます。

4.武甕槌命など四柱の神を祀る

限られた特別公開の機会でなければ見られない春日大社の本殿では第一殿に武甕槌命に祀られており、以下第二殿が経津主命で第三殿に天児屋根命が、第四殿には比売神がそれぞれ祀られています。

このうち武甕槌命は国譲り神話で出雲方の建御名方神と諏訪の地で力比べをした結果、武甕槌命が勝ったことで葦原中国の平定が決定的となりました。

そのため武甕槌命は武神として藤原氏に信仰され、春日大社だけでなく鹿島神宮でも祭神として祀られています。

春日大社を創建するに当たって香取神宮から勧請されたと伝わる経津主命もまた、武甕槌命とと並んで葦原中国平定に大きな役割を果たした武神です。

天児屋根命も日本神話に重要な役割を果たす神で、岩戸隠れ神話では岩戸に隠れた天照大御神を誘い出すために祝詞を唱えたことでも知られています。

妻の比売神とともに枚岡神社から勧請された経津主命は、古代に中臣氏として国家的祭祀を司っていた藤原氏の祖先神でもありました。

5.参道や国宝殿も見どころ盛りだくさん

以上のような神話的・歴史的由緒を持つ春日大社の境内には神域らしい厳粛で神聖な雰囲気が漂っており、大きなパワーが得られる場所です。

古い歴史を持つ春日大社だけに、寺社巡りが好きなシニアにとっては境内の周辺にも見どころが数多くあります。

大きな鉄の輪が付いた赤い一之鳥居をくぐれば、その先はすでに春日大社の神秘的なパワーが満ちた聖なる空間です。

二之鳥居まで歩く参道沿いには万葉集の歌にも詠まれた浅茅が原やムクロジの大木、かつては春日野とも呼ばれて貴族たちが行事を楽しむ場所だった飛火野などが見られます。

二之鳥居から南門までの間にも祓戸神社の大イチョウやイチイガシ巨樹群などの巨木が点在しており、国宝殿に向かう途中の道では奈良公園最大と言われるけやきの巨木も見逃せません。

春日大社が所有する宝物や武具類・曼荼羅・絵巻物・舞楽面など文化財の数々が展示された国宝殿も、紫草や藤の園などが見られる萬葉植物園とともに必見です。

春日大社をもう一度訪れてみよう

春日大社を含む奈良公園は修学旅行先によく選ばれ、中学生や高校生のときに訪れた人はシニア世代にも多いものです。

若い頃に見るのと年を経て人生経験を積んでから訪れるのでは、春日大社から受ける印象も大きく異なります。

大人になってから春日大社を訪れれば、神が宿る厳粛な雰囲気と歴史の重みをより強く体感できます。