定年後の旅!西芳寺(苔寺)で自然が生み出した極楽浄土にため息

最終更新日:2017年9月25日

総門を閉ざし、単なる観光拝観が出来ない西芳寺(さいほうじ)。

一面を苔に覆われた、庭園の美しさが見事なことで有名な古刹です。

拝観の事前申し込みをした方のみ味わえる、自然美の世界で、至福の時間をお過ごしください。

1.苔寺(こけでら)と称される、西芳寺の歴史

西芳寺は、天平年間(729~749年)聖武天皇の勅願により、法相宗の寺として聖徳太子の別荘に、行基が開山したと伝えられています。

健久年間(1190~99年)法然上人により、浄土宗に改宗。

建武年間の兵火で荒廃していましたが、暦応2年(1339年)松尾大社の宮司が、禅僧夢窓疎石(むそうそせき)を招き再興されました。

以後は、臨済宗系単立寺院となり、現在に至ります。

足利義満や義政が再々訪れた美しい庭園は、金閣寺や銀閣寺のモデルになったとも言われています。

その後、応仁の乱や度重なる洪水で放置され、苔が生えたままになったのが苔寺(こけでら)と呼ばれる由来となりました。

2.約3万平方メートル(約9000坪)に及ぶ、苔むす庭園

日本最古と言われる枯山水と池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)は、世界遺産・特別名勝・京都屈指の名庭に指定されています。

上下2段の立体的構造の造りになっており、上段の山腹を利用した庭園は、日本枯山水の手本になったと言われています。

下段は、黄金池を中心の池泉回遊式、夢窓国師が鎌倉期の庭園に手を加えたと伝わります。

一面が120種類の苔で覆われている様子から、苔寺と親しまれるようになりました。

現在見られる、苔が緑の絨毯のように群生したのは、江戸時代に何度かの水害に見舞われてからだと言われています。

心の文字をかたどった黄金池には、4つの島と8つの橋が掛かり、苔庭の美しさを際立たせています。

池の南側に建つ湘南亭は、慶長年間(1596~1615年)に千利休の次男、千少庵が夢窓国師の建てたものを再建した茶室です。

西芳寺に現存する最古の代表的な建物で、書斎をかねていました。

池に面した露台は、陽の光を柔らかくするための土天井になっています。

かの岩倉具視が、幕末に隠棲していた所でもあります。

苔が最も美しい梅雨の頃は、ため息が出る程の艶やかな緑一面の世界となり、庭園の美しさを一層魅了してくれます。

秋の西芳寺では、モミジの赤と苔の緑のコラボレーションが素晴らしく、絶景の紅葉狩りが楽しめますよ。

3.拝観には、事前申し込みが必要

西芳寺の拝観は、昭和52年以降静かな環境と苔を守るために、事前申し込み制になっています。

往復はがきに、希望日・人数・代表者の住所・氏名・電話番号を記入して申し込みましょう。

後日、拝観証が返信されるので、拝観当日忘れず持参してください。

60日前からの先着順、拝観時間は指定できないので、スケジュールのためにも、早めの申し込みをオススメします。

4.当日は、宗教行事に参加後、庭園見学です

拝観日には、参拝冥加料3000円が必要です。(祈禱料やお布施の意味もあるとか)

拝観時、宗教行事として住職の説法を聞き、般若心経の唱和をしたあと心静かに写経をします。(1時間弱)

その後に、30分から1時間かけて、ゆっくりと庭園を巡ります。

御朱印を希望される方は、拝観料を収める時に(別に500円が必要)御朱印帳を渡しておくと、帰りまでに書いてくれます。

見開きの御朱印は珍しいので記念になりますね。

御朱印帳がない方は予め書かれたものが売っています。

5.西芳寺へは、バスかタクシーで

・京都駅前バスターミナルから、京都バス73系統、83系統(苔寺 鈴虫寺行き)で約50分、終点「苔寺 鈴虫寺」バス停下車徒歩5分です。

・JR嵯峨嵐山駅から、タクシーで約10分程です。

※駐車場はありませんので、公共の交通機関を利用しましょう。

6.周辺のお寺もオススメです

近隣の鈴虫寺(華厳寺)や竹の寺(地蔵院)も、個性的で見どころ豊富な人気の寺院です。
1723年創建の華厳寺(けごんじ)は、1年中鈴虫の声が聞こえる禅寺です。

多い時で、1万匹の鈴虫が鳴き、山門脇の幸福地蔵が有名な、人気のお寺です。
お茶と干菓子をいただき、僧侶の説法を聞いた後、回遊式庭園を巡りましょう。

草鞋を履いたお地蔵さまに、説法の時教わった作法で願を掛ければ、自宅まで願いを叶えに来てくれるそうですよ。
お地蔵さまが、いつもそばで守ってくださる、幸福御守も人気です。

竹の寺として有名な地蔵院(1367年創建)は、一休禅師が幼少期をすごした寺としても知られています。

高さ10m以上の孟宗竹が立ち並ぶ境内は、静寂に包まれ、京都観光の喧騒を一時忘れさせてくれますよ。
竹林も素敵ですが、本堂前の紅葉も風情があって、オススメです。

西芳寺は一度は訪れてみたい、まさに苔の寺です

夢窓疎石作庭の二つの庭園は、極楽浄土にも喩えられる、自然が生み出した名園です。
苔寺の拝観には、事前申し込みが必要ですが、手間をかけてでも、一見の価値がある絶景の名古刹ですね。

近隣の鈴虫寺(華厳寺)や竹の寺(地蔵院)も、個性的で見どころ豊富な人気の寺院です。
京都の神社仏閣巡りがご趣味の方には、ぜひ訪れていただきたい、オススメのスポットです。