那智の滝(和歌山県)は落差133mで一段の滝としては日本一の規模!死ぬ前に一度は見よう

最終更新日:2017年12月21日

滝の規模は落差で示されますが、日本の滝で落差ランキングの上位はいずれも何段かに分かれた滝です。

和歌山県にある那智の滝は落差133mで一段の滝としては日本一の規模を誇り、日本三名瀑の1つに数えられます。
定年後シニアは是非、死ぬ前には一度見ておきたいものですね。

1.日本三名瀑の1つに数えられる日本一の滝

日本には全国各地に数多くの滝がありますが、和歌山県那智勝浦町の那智原始林付近には古くから滝修行の場としてされてきた那智四十八滝と呼ばれる48の滝が存在します。

明治維新に伴う神仏分離政策の影響で滝修行は廃れ、昭和期までは那智四十八滝の在り処も不明となっていました。

平成に入ってから那智四十八滝の本格調査が実施され、再確定された48カ所の滝では修行も復活しています。

その中でも「那智の大滝」とも呼ばれる「一の滝」は落差133mという最大規模を誇り、栃木県にある華厳の滝や茨城県にある袋田の滝とともに日本三名瀑に挙げられてきました。

「那智の滝」と言えば通常はこの一の滝を意味しますが、上流にある二の滝や三の滝も有名です。

落ち口の幅が13mで滝壺の深さも10mある那智の滝は、飛瀧神社の御神体でもあります。

熊野三山の1つ熊野那智大社の別宮でもあるこの飛瀧神社を参拝すれば、日本一の滝を間近で見られるのです。

2.滝そのものが飛瀧神社の御神体

那智の滝そのものを御神体とする飛瀧神社には、JR紀伊勝浦駅から熊野交通バスに乗って30分ほどで到着できます。

飛瀧神社に祈願所はあるものの一般的な神社のように本殿や拝殿はなく、滝そのものに参拝する仕組みです。

大人300円の通行料を払えば、迫力満点の那智の滝が間近で見られるお瀧拝所まで行くことができます。

途中の石段脇にある「延命長寿のお瀧水」は、シニアに人気のスポットとして見逃せません。

この水は平安時代に花山法皇が九穴の貝と呼ばれる延命長寿の仙薬を滝壺に沈められた故事に由来します。

「延命長寿のお瀧水」は100円の神盃にすくって飲むことができますので、飛瀧神社を訪れたら忘れずに立ち寄るといいでしょう。

その先にあるお瀧拝所では、飛沫を浴びるほど間近で日本一の滝が見られます。

特に12月31日の夜には青岸渡寺から除夜の鐘が響く中で那智の滝がライトアップされ、一段と荘厳な雰囲気が味わえます。

3.落差133mの迫力は必見

落ち口に当たる岩に3本の切れ目がある関係で、那智の滝は「三筋の滝」とも呼ばれているように3本の滝が同時に流れ落ちています。

銚子口とも呼ばれる落ち口の上には長さ26mという大注連縄が張られていますが、この注連縄は毎年7月9日と12月27日に張り替えられるのが習わしです。

腰に命綱をつけた神職が命がけで行う大注連縄の張り替え作業は、那智の滝の風物詩となっています。

落差133mという高さから一直線に落ちてくる水は空中で無数の水しぶきとなって飛び散り、飛瀧神社を訪れる観光客を迫力の風景と音で圧倒します。

那智の滝はそうした幻想的な風景だけでなく、「日本の音風景100選」にも選ばれた音の迫力でも多くの人を魅了してきました。

この大音響と水しぶきは映像では体感しにくいもので、実際に現地を訪れた人だけが体験できるダイナミズムです。

4.神武東征の物語と深い関わりを持つ滝

那智の滝が放つ大自然の威力は今も昔も変わらないだけに、古人たちはそこに神威を感得してきました。

記録が残される時代よりも前から地域の人々の間で自然崇拝の対象とされてきた那智の滝は、「古事記」や「日本書紀」で特に重要な場面として描かれる神武東征の物語にも深い関わりを持ちます。

広く知られているように神武天皇は高天原から九州の日向に降臨し、畿内の大和地方に移って初代天皇として即位しましたが、大阪湾から上陸して進軍する過程では現地勢力の頑強な抵抗にも遭いました。

中でも長髄彦を名乗る土豪との戦いでは、神武天皇も苦戦を強いられました。

日の御子でありながら日に向かって東に進軍する不利を悟った神武天皇は、熊野に船を回して南から進軍する作戦に変更したことで勝利を収めたと伝えられています。

神武天皇は「光り輝く山」として那智の滝を熊野海上から発見し、上陸後に八咫烏を道案内役として熊野・吉野の山中を行軍し大和地方に至ったのです。

5.大門坂から那智の滝に至る散策コースも人気

直瀑として日本一の規模を持つ那智の滝は、実際に熊野沖を航行する船の上からでも見えると言われています。

以上のような由緒を持つ那智の滝を見に行く際には、「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコの世界遺産にも登録された参詣道をゆっくり歩きながら少しずつ近づいていく方が気分も盛り上がるものです。

熊野那智大社と隣接する青岸渡寺に至る石畳の道は、樹齢800年の夫婦杉など杉の巨木に囲まれていかにも熊野古道らしい雰囲気を醸し出しています。

苔むした石畳の道を登っていくと30分余りで熊野三山の1つ熊野那智大社に到着し、境内からでも那智の滝を仰ぎ見ることができます。

そこからさらに15分ほど歩けば那智の滝と飛瀧神社に到着しますので、足に自信のあるシニアは運動不足解消も兼ねて熊野古道の散策を楽しんでみるといいでしょう。

歩くのに疲れた場合でも近くに滝前バス停が控えており、帰りはバスに乗って紀伊勝浦駅まで戻ることができます。

日本一の落差を誇る那智の滝

古くから信仰の対象とされてきた那智の滝は、日本一の滝として一生に一度は見ておきたい名瀑です。

二段以上の滝ならこれを上回る落差も国内で見られますが、神々しさをたたえた滝という点では他の追従を許しません。

那智の滝の轟音に身を任せながらひとときを過ごすうちには、心から俗世間の塵が洗い流されているものです。