老々介護が急速に増えている原因とは?【介護】

最終更新日:2017年7月24日

65歳以上の人が65歳以上の人を介護していることを「老老介護」と呼びます。

夫婦であったり、親子であったり、兄弟であったりするケースがありますが、
この老老介護が急速に、増えて来ている背景にはどんな原因があるのか詳しく見ていきましょう。

1.子どもが側にいないため

老老介護になる原因として、夫婦に子どもがいない場合、兄弟同士で子どもがいない場合もあります。
親子の場合には、若い世代の孫には頼れないという場合もあります。

実際に、子どものいない夫婦では、こうした事態に直面した場合には、
何とか二人で介護をしなければならない現実があるわけです。

もしも、他の身内がいたとしてもそこまで世話をかけられないという気持ちがあるのは確かですし、
金銭面も絡んでくるため結果的に老老介護にならざるを得ないのです。

2.子どもがいても頼らない核家族の傾向があるため

また、夫婦に子どもがいたとしても頼ることが少ない傾向になって来ています。
別の場所で暮していること、若い世代は必死に働いているので迷惑や負担をかけられないという思いをどうしても持ってしまいます。

夫婦のどちらかがまだ元気な状態にある時は、
この考え方が強くそれが当然のことだと思って介護をしていることも多くなります。

親子でありながらもそれぞれの暮らしに責任を持つ傾向が増し、核家族のデメリットが介護に影響を及ぼしています。

3.寿命が延びても健康寿命は延びていないため

男女ともに平均寿命は格段に延びて来ているものの、健康寿命はそれに伴って延びているわけではありません。
そのため、健康寿命になってから平均寿命を迎えるまでの期間が年々長くなり、その期間が介護を必要とする状態ですので、どうしても老老介護になる可能性が高くなってしまっています。

この期間は、10年から15年ほどあるので、夫婦に限らず老老介護状態になるわけです。

例えば、50代で親の介護をしていても段々と本人が高齢者になる頃には、
自分も介護が必要となるケースもあるため、老老介護に移行してしまいます。

4.介護保険などの制度を利用したくないため

介護保険などの制度は確かに機能していても、制度を利用したくない、人に頼りたくないという考えを持っている方も意外にも多いのが現状です。
特に、現在、80代~90代の年齢の方は、自分のことを人様にお願いしてしてもらうことに抵抗感を感じる方も少なくありません。

また、それより若い高齢者でも人が家に出入りして生活支援や身体介護をすることそのものに違和感がある場合もあります。
介護という問題をすべて自分たちで何とかするべきものだと思うために、心身へのダメージが当事者も気づかないうちに膨らんでしまいます。

5.介護保険制度そのものに問題があるため

そして、介護保険制度そのものに利用しづらい問題があると感じる方も少なくありません。
要支援の方を介護保険から切り話し、サービスが思うように受けられないこともありますし、介護保険の認定が正しく判定されていないと感じることもあります。

介護保険そのものがひっ迫した状態であるために、欲しいサービスが届かないケースも増えて来ています。
利用者のニーズとサービスが一致しないために、不満があるままの利用に戸惑いを感じる方もいるのは確かです。

6.施設入所は経済的な理由があるため

老老介護の背景には、経済的な理由も大きくなっています。
不景気のあおりを受けて、貯蓄を切り崩しての暮らしだけでも維持をするのが大変な時代です。

自分たちの老後を自分たちで何とかしようと思っても、金銭の負担が大きく老人保健施設などの入所が無理だと感じる方も少なくありません。
また、入所しやすい施設へは申込や予約が殺到しているために、それなりの待機期間があります。

だからと言って有料の施設へは誰もが気軽には入れないために、やむなく自宅での介護をこなしている方も増加しています。

7.少子化の影響があるため

社会全体の少子化が急速に進んで来ているため、
高齢者が高齢者同士で老老介護をせざるを得ない環境も大きく影響しています。

少子化により社会保障がひっ迫せざるを得ない環境になっていることで、高齢者本人も介護保険の自己負担割合が高くなるケースも出てきています。
ゆとりある家庭環境ではない場合には、さらに、その負担も追い打ちをかけるようになってしまいます。

長期的な視点でも少子化の解決は重要課題とされているものの、
出生率の増加などは、なかなかすぐに解決しづらいのが今の日本だと言えます。

老老介護が増えているのは、さまざまな原因がある

このように老老介護の増加には、さまざまな原因があります。
単独ではなくいくつかの原因が重なって起こっているケースも多くなっているので、より問題は複雑化しています。

老老介護が抱える問題は、他人ごとではありません。
現在、若い世代、中年世代もいずれは自分が抱える問題であり、さらに拍車をかけていくであろうとされており、解決策が急がれるのは事実です。