親が認知症で徘徊する原因とリスク!具体的な対処法

最終更新日:2017年9月7日

認知症の症状の代表例に徘徊があります。

徘徊がはじまると外に出て帰れなくなったり、自宅内であっても延々うろうろと歩き回り、同居の家族は常に不安を抱えたり、とても落ち着かない気分になってしまいます。

ときには重大な事故へとつながってしまうことから、なんらかの対処を必要とする症状の一つであります。
以下対処をいくつか記載していきます。

1.徘徊する原因を考え、対処

まずは、徘徊の原因を考えてみましょう。
落ち着かない気持がたかぶり歩き回っているのか、探しものをしているうちに目的を忘れて歩き回っているのか、などなど。

その時には「どうしたの?」と聞いても「別に・・・」と答えることも少なくはありません。
本人がうまく説明できないこともありますし、動き回っていたこと自体を忘れている、ということも考えられます。

原因がわかれば対処もいくつか考えられます。
落ち着かないのであれば、本人の気をひくものを用意したり、医師に処方薬の相談をするなどです。

探し回っていたものを忘れているのであれば、本人が見付けやすいように机の上に置いておく、といった対応が考えられます。
また、徘徊の原因の一つに前頭側頭葉型認知症の症状である常同行動、というものがあります。

こちらに関しては「何がどうあれ、必ずこれをやらなければ」という思いが強く、雨が降ろうが高温注意が出ていようが必ず毎日同じ時間、決まったコースで散歩に行く、といった繰り返しの行動を取ってしまうこともあります。

一つずつ、原因を探ってみましょう。

2.GPSつきのものを携帯させる

徘徊は止めることがなかなか難しい症状でもあります。
同居の家族がいてもちょっと目を離した隙に外へ出てしまうことは珍しくありません。

自宅内の徘徊であればまだ対処もできますが、外へ出てしまった場合交通事故や線路内立ち入りといった重大事故へとつながってしまう可能性があります。

まずは居場所の確認が急務となりますので、本人が必ず持つ鞄のなかにGPS機能のついた携帯電話やセンサーを入れておく。
それも難しいようであれば最近は靴にGPS機能がついているもの、なかにはスマートフォンのBluetooth機能と連動できるタグなどもあります。

いずれも初期費用や月額が少なからずかかってしまいますが、自治体で補助を行っているケースもありますので、担当ケアマネや自治体窓口で相談をしてみてください。

3.近隣住民へと相談やそれ以上遠くへ行ってしまわない工夫

とくに外へと出てしまった場合、家族が入浴中など10分以上気付かないケースもあります。
あらかじめ近所の顔見知りの人や、商店で店先を見ることが多い人、などに相談しておく対処法があります。

「見かけたらちょっと声をかけておいて。できれば電話をもらってもいい?」と伝えておくと良いかもしれません。
また、交番があればそこに連絡しておくとも一つの対処法かと思います。

また、自宅に門があれば少し固めの閂にした場合あけるまでに時間がかかり、対処できる場合があります。
徘徊全般に言えることですが「やめて」「戻りましょう」と伝えても本人は納得せず、またすぐに徘徊がはじまってしまいます。

対応可能であれば一緒に近所をぐるっと一周すると落ち着いて休憩するケースがあります。

4.施設利用や入所を検討

色々と対処をしてみても、目が離せず、家族は心身ともに疲れ切ってしまうことも珍しくありません。
昼間は徘徊するけれど、夜は必ず寝るといった場合はデイサービスの利用もオススメです。

そうでなく昼夜ともにみられる場合や近くに家族がいない・同居でない場合などは最終的に施設入所も検討してみてください。
徘徊自体は数ある認知症症状の一つでありますが、たとえ骨折やその他病気で身体機能が弱まり徘徊をしなくなっても他の症状が出現する可能性はあります。

介護者だけで抱え込まず、サービスを積極的に利用してみてください。

放置すると単なる徘徊だけで済まないことも

2007年、認知症で徘徊をしていた男性が電車にはねられ死亡した事件がありました。
家族は鉄道会社より賠償を求められ、10年近くたった2016年3月、最高裁にて原告(鉄道会社)の敗訴が確定しました。

また、つい最近では2016年10月に徘徊運転で小学生が登校する列に自動車で突っ込み、小学生1人が亡くなる事故が起きました。
こちらは不起訴処分となっています。

近年高速道路の逆走なども話題となっています。
車の運転が好きであった方には家族も止めることは一苦労です。

また、交通網が発達していない場所に住んでいる方は、仕方無く車に乗っているケースや、同居の家族も高齢で本人の認知症がわかっていても対処できなかったケースがあります。

本人を被害者・加害者にしないためにも、家族が被害者家族・加害者にならないためにも、対策をしっかりと考えることが大切です。