介護系以外の福祉資格として、福祉用具専門相談員の取得をお考えの方も多いのではないでしょうか。
しかし、今一つ資格を取得するメリットがはっきりしない資格でもあります。
福祉用具専門相談員の概要と取得方法、業務内容、就職状況、生かし方をご紹介します。
1.福祉用具専門相談員と取得方法
福祉用具専門相談員とは、高齢者や障害者などが福祉用具を購入・レンタルする時に適切な福祉用具を選定したり相談を受ける資格です。
扱うことの多い福祉用具は、車いす、介護ベッド、介護用リフトなど。
主に福祉用具の販売業者やレンタル業者で営業や販売員として就業する福祉用具専門相談員が多いです。
福祉用具専門相談員の取得方法として最も簡単なのは、指定講習を受講することです。
受講資格は特になく、誰でも取得することができる資格です。
現在は50時間の講習を受け、最終試験を通過すれば取得できます。
ただし、福祉系資格の取得方法は、3年おきの介護保険制度の見直しの影響を受けることが多いです。
取得を考える時は、必ずお住いの都道府県のホームページなどで指定研修機関について情報収集しましょう。
2.福祉用具専門相談員の資格を取得していることになる資格
特定の福祉系の資格を持っていると、福祉用具専門相談員の資格を取得しているものとして業務をすることができます。
保健師・看護師・准看護師の看護系資格、理学療法士・作業療法士の医療系資格、社会福祉士・介護福祉士の福祉系国家資格、義肢装具士です。
これらの資格を持っていると、指定講習を受講しなくても福祉用具専門相談員として福祉用具の販売・レンタル業務をすることができます。
福祉用具専門相談員を取得したい時には、上位資格をすでに持っているかどうかをチェックすることが必要です。
ただし、社会福祉主事任用資格やホームヘルパー系資格は、取得していても福祉用具専門相談員としては業務できませんのでご注意を。
特に、ホームヘルパー2級(介護職員初任者研修)を持っている人は、制度改正により講習の受講が必要になりました。
すでに福祉用具専門相談員として業務しているホームヘルパー2級のみ取得している人も、指定講習を受けなければいけません。
3.福祉用具専門相談員の実際の業務
福祉用具専門相談員の実際の就職先は、福祉用具のレンタル・リース・販売を行う民間企業が多いです。
福祉用具を利用したい人が事業所に来て福祉用具の選定や相談を行う場合と、福祉施設のケアマネジャーに営業をかけて福祉用具が必要な人を紹介してもらう場合があります。
社会福祉協議会や市町村などで、福祉用具の貸与や助成金についての相談業務を担う福祉用具専門相談員もいます。
いずれにしても、ケアマネジャーや行政の相談員とのつながりが深い業務となります。
ただ福祉用具を売るのではなく、お客様の生活状況や福祉サービスの利用状況に合わせた提案が必要です。
4.福祉用具専門相談員の就職状況は?
福祉用具専門相談員は就職に有利なのでしょうか。
結論から言うと、福祉用具専門相談員を持っているからといって特別就職に有利になるわけではない、というのが現状です。
講習を受講するだけで資格が取得でき、受講資格に実務経験等も必要ないのが大きな理由です。
福祉用具のレンタル・販売を行う企業は、福祉用具専門相談員を持っている人を採用するよりも、採用した人に福祉用具専門相談員講習を受けさせる方に動きやすくなります。
ただし、新設の事業所などで早急に有資格者が必要な時には、福祉用具専門相談員が有利に働く可能性もあります。
福祉系の企業に勤めたいと思うなら、とっておいて損にはならない資格です。
5.福祉用具専門相談員を生かすには
福祉用具専門相談員を取得することが有利に働く人とはどのような人でしょうか。
第一には、ホームヘルパーとして就業している人が考えられます。
ホームヘルパーの現場経験を生かして、福祉用具の販売・レンタルの仕事に就きたい。
という場合に、福祉用具専門相談員の資格はキャリアアップに有利に働きます。
しかし、ホームヘルパーを長年務めている場合は、介護福祉士の受験資格が得られている場合もあります。
介護福祉士を取得するならば、福祉用具専門相談員は取得する必要がないといえます。
筆記・実技の試験を突破する必要がある介護福祉士と、受講すれば大抵は取得できる福祉用具専門相談員。
どちらを取得するかはキャリアデザインに合わせて選択しましょう。
もう一パターンの福祉用具専門相談員を生かすことができる人として、福祉業界に転職を考えている営業職の方が考えられます。
福祉用具専門相談員が実際に働くのは、車いすや介護ベッドなどのレンタル・リース・販売の営業職です。
他業種でも営業経験を生かして転職したい人が、福祉業界で働くための第一歩として福祉用具専門相談員を取得するのは有意義な選択といえます。
福祉用具専門相談員の取得を目指そう
福祉用具専門相談員は、福祉用具の販売・レンタルにあたって適切な福祉用具を選定したり、相談を受けたりするのが業務内容です。
取得自体はさほど難しくありません。
しかしその分、それだけで就職に有利になるのは難しいです。
資格取得を最も生かせるのは、ヘルパーや営業職からの転職と考えられます。