ソルビン酸・ソルビン酸カリウム入りの加工食品や弁当類は避けよう

最終更新日:2017年10月18日

スーパーなどで売られている加工食品の中には、日持ちを良くするために保存料と呼ばれる添加物が含まれている商品があります。

ソルビン酸やソルビン酸カリウムが代表的な保存料ですが、それらは健康への悪影響が懸念される物質です。

1.保存料の使用で成り立つ食品市場

ソルビン酸・ソルビン酸カリウムと並んで加工食品によく使われている安息香酸ナトリウムも含め、現在の食品市場はこれらの保存料を前提として成り立っている面もあります。

加工肉や魚介練り物製品・漬物・チーズ・マーガリンといった加工食品を長期保存するには、本来ならコストのかかる高度な保存技術が必要です。

それらの食品が比較的安価に長期保存できるようになったのも、ソルビン酸カリウムに代表される保存料のおかげです。

ソルビン酸は和菓子や菓子パンに使われるあん類や、乳酸菌飲料・発酵乳・甘酒・果実酒にも含まれている場合が少なくありません。

ジャムやケチャップ・シロップなどもソルビン酸が保存料としてよく使われる加工食品です。

ソルビン酸やソルビン酸カリウムはこうした加工食品だけでなく、コンビニやスーパーで常温販売されているような弁当やおにぎり・サンドイッチの腐敗防止目的にも使われています。

2.食品を長期保存できる原理

ソルビン酸とは不飽和脂肪酸の一種で、乳酸と似た分子構造しています。

乳酸は人間の体内でも筋肉の無酸素運動を行った際などに発生しますが、酵母菌が発酵する際にも生じることでも知られる物質です。

食品の腐敗を引き起こす微生物の多くはこの乳酸を栄養素としているため、乳酸とよく似たソルビン酸が食品中に含まれていると誤ってこれを摂取します。

ソルビン酸は乳酸と違って微生物が代謝できない物質のため、代謝が阻害されて増殖することができなくなります。

ソルビン酸自体は不溶性で水に溶けませんが、カリウムと結びついたソルビン酸カリウムは水溶性に変化することから保存料として食品の添加物によく利用されています。

ソルビン酸カリウムが添加された食品は微生物の繁殖が抑制されていますので、結果的に腐敗が防止されて長期間保存できるようになります。

しかしながらこのソルビン酸とソルビン酸カリウムは遺伝毒性を持つと言われており、体には決して良い物質ではありません。

3.ソルビン酸の持つ遺伝毒性

ソルビン酸カリウムは細胞の原子核にあるDNAの修復を妨げる作用があり、DNAを含む染色体を切断させることが知られています。

その結果として起きる染色体異常に加え、人体の細胞分裂の際に誤った遺伝情報が伝えられれば細胞のがん化にもつながりかねないのです。

厚生労働省はソルビン酸カリウムの使用基準を発表しており、食品によって1kg当たりに使用できる量を定めています。

最も多いチーズでは3g、最も少ない乳酸菌飲料では0.05gと決められていますので、この基準値以下なら安全性に問題はないはずです。

しかしながらソルビン酸カリウムの影響は単体だけでなく、他の成分との相互作用まで計算に入れなければなりません。

特にハムやソーセージなどの加工肉やタラコ・明太子といった魚卵製品には、発色剤として亜硝酸ナトリウムが使われている製品もあります。

この亜硝酸ナトリウムをソルビン酸カリウムと一緒に摂取すると、化学反応により発がん性が生じる可能性がある点には注意が必要です。

4.腸内細菌への影響

ソルビン酸カリウムが持つ健康への悪影響は、このような遺伝毒性や発がん性ばかりではありません。

影響としては未知数の面もありますが、ソルビン酸カリウムを含む加工食品を日常的に多く摂取している人は腸内環境が悪化している可能性も否定できません。

人間の腸には乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌と大腸菌に代表される悪玉菌を含め、およそ3万種類もの腸内細菌が生息していると言われています。

個人差はありますが、それらの総量は100兆個から1000兆個にも及び、体重に換算すれば成人の場合で2kgほどを占めています。

中でも善玉菌は腸内環境を整えて食物の消化を助け、病原体の侵入を防ぐ免疫の役割やセロトニン・ドーパミンなど神経伝達物質の合成を果たす上でも重要な存在です。

それらの腸内細菌の中にも食品の腐敗を引き起こす菌と同様に乳酸を栄養素としているものが多く、ソルビン酸カリウムによる代謝阻害効果で活動が妨げられる可能性があります。

5.健康を守るための工夫

以上のような理由でソルビン酸やソルビン酸カリウムは健康に良くない影響を与えると考えられるため、可能な限り摂取を避けなければなりません。

自分自身の健康を守ることはもちろん、子供や孫の健康な成長のためにもそれらの保存料を食生活から遠ざける工夫が求められます。

ソルビン酸やソルビン酸カリウムは非常に多くの加工食品や弁当・おにぎりに至るまで使われていますので、含まれていない製品を見分けるのも大変です。

健康を強く意識する人は、面倒でもそれらの包装パッケージに書かれてある原材料名表示を1つ1つチェックしています。

原材料名の中に「保存料(ソルビン酸カリウム)」などと表示されてあったら、その商品の購入は控えた方がいいでしょう。

特に着色剤の亜硝酸ナトリウムと保存料のソルビン酸カリウムの両方が含まれた加工肉は発がん性が高いと見られますので、商品を選ぶ際には原材料のチェックが欠かせません。

便利さと健康リスクを考えて食品を選ぼう

日持ちの長い加工食品や、手軽に買えてすぐに食べられるため調理の手間が省ける弁当類は、シニア世代にも人気を集めています。

それらの食品が生活を便利にしているのは確かですが、保存性の高い食品のリスクも無視できません。

ソルビン酸カリウムの持つ健康リスクを意識することで、病気になる確率を少しでも低くできます。