コンビニやスーパーでは多種多様な清涼飲料水が売られており、自動販売機で手軽に購入できる飲料も少なくありません。
子供や若者だけでなくシニア世代にも親しまれている清涼飲料水ですが、実は体に悪いと言われています。
1.清涼飲料水の種類
食品衛生法上の清涼飲料水とは、アルコール分が1%未満でなおかつ乳酸菌飲料や牛乳・乳製品を除く飲料を意味します。
缶入りやペットボトルの形で販売されるそれらの清涼飲料水は、時代とともに消費者の志向も多様化しています。
コーラに代表される炭酸飲料はや果汁入りのジュース・コーヒー飲料は、古くから清涼飲料水として親しまれてきました。
スポーツドリンクやミネラルウォーターに加え、緑茶やウーロン茶などのお茶も清涼飲料水に含まれます。
それらの飲料は喉が渇いたときの水分補給手段としてもよく利用されていますが、ミネラルウォーターなどを別にすれば、水代わりとして大量に飲むのは考えものです。
なぜなら大半の清涼飲料水には糖分が大量に含まれており、その糖分が健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
2.意外に多い糖分の量
清涼飲料水に含まれる糖分の量は製品によって違いも見られますが、中には驚くほどの糖分量が含まれた飲料があるので注意が必要です。
缶やペットボトル1本分に含まれる糖分の量は、「栄養成分表示」に書かれた炭水化物の数字を見れば知ることができます。
この場合の炭水化物の量は糖分と食物繊維の合計ですが、たいていの清涼飲料水では食物繊維の量は無視できるため、炭水化物イコール糖分と考えて差し支えありません。
そのような栄養成分表示には、100ml当たりで書かれている場合と1本当たりの数字が書かれている場合があります。
例えば500mlペットボトルに含まれる炭水化物量が100ml当たり10.0gなら、1本に50gの糖分が含まれる計算です。
100ml当たりの糖分が10.0g前後というのは清涼飲料水でもごく平均的な数値で、これを上回る製品も決して珍しくはありません。
3.糖分過剰摂取による悪影響
角砂糖1個が5g前後に過ぎないことを考えると、多くの清涼飲料水には糖分が過剰に含まれている事実がわかります。
糖分の取りすぎは虫歯や肥満の原因になるだけでなく、健康面にさまざまな悪影響を与えかねません。
砂糖などの糖質を多く摂取すると糖代謝の過程で乳酸が生じて血液が酸性に傾き、これを中和するためアルカリ性のカルシウムが多く消費されます。
カルシウム摂取量が十分でない人が糖分を過剰摂取した場合、骨の成分に含まれていたカルシウムが血液中に溶け出すと言われているのです。
そのため糖分を大量に含んだ清涼飲料水を日常的に飲んでいる人は、それだけ骨がもろくなるリスクを抱えています。
糖がエネルギーとして燃焼される過程ではビタミンB1も消費されますので、日頃からビタミン不足の人は糖分の多い清涼飲料水を控えた方がいいでしょう。
ビタミンB1が不足すると疲れやすくなるだけでなく、集中力の低下や気分の落ち込みの原因にもなります。
4.生活習慣病の原因にも
清涼飲料水に限らず日頃からカロリー摂取量の多い人は、肥満や生活習慣病のリスクも多く抱えているものです。
1本当たり50gの糖分が含まれる500mlペットボトルはおよそ200kcalに相当しますので、それ1本で一般的な成人の1日当たりに必要なカロリー量の10分の1に匹敵します。
糖分が多く含まれた清涼飲料水をよく飲む人はカロリー摂取量もオーバーしがちなため、余ったカロリーが脂肪に変えられて体内に蓄えられてしまいます。
特に内臓脂肪や脂肪肝は生活習慣病のリスクを高めることが知られており、動脈硬化が進んで脳卒中や心疾患の原因となります。
糖分の過剰摂取で血糖値の高い状態が続くとインスリンが効きにくくなるため、2型糖尿病の発症リスクも高まります。
特に清涼飲料水の飲み過ぎが原因で喉の渇きや倦怠感といった症状が見られる場合は、「ペットボトル症候群」とも呼ばれる急性糖尿病を発症している可能性も否定できません。
5.水分補給のコツ
糖分が特に多く含まれている清涼飲料水としてはコーラ類やジュース類・コーヒー飲料などが代表的ですが、その他の飲料でも注意が必要です。
「カロリーゼロ」を売りにした清涼飲料水に人工甘味料が使われている製品では、カロリーがゼロでも血糖値の上昇が見られます。
水に近い感覚で水分補給の手段によく使われるスポーツドリンクにもある程度の糖分が含まれていますので、飲み過ぎは禁物です。
糖分や人工甘味料がほとんど含まれていない緑茶やウーロン茶などはこのような弊害がなさそうに思われがちですが、カフェインが含まれているため利尿作用があります。
摂取した水分の多くは尿として排出されますので、水分補給の手段として飲むのであればミネラルウォーターが最も無難と言えます。
それでも清涼飲料水はおいしい飲み物ですので、喉が渇くとついつい飲みたくなるものです。
清涼飲料水を飲む場合は飲み過ぎに注意し、糖分が過剰に含まれていない製品を選ぶようにするといいでしょう。
清涼飲料水を控えて健康長寿を目指そう
日頃から肥満傾向で血糖値も高めだという人は、清涼飲料水を飲み過ぎている可能性があります。
肥満体型でない人でも清涼飲料水をよく飲むという場合は、飲む量を控えることが健康長寿につながります。
甘い清涼飲料水を飲む場合は、一度に飲む量や1日に飲む回数を減らすだけでも健康に与える悪影響を低く抑えられるものです。