みそに秘められている長寿にもつながる健康効果の数々

最終更新日:2017年10月17日

漬物や納豆などと並んで、みそは日本が世界に誇る代表的な発酵食品の1つです。

みそ汁を始めとしたさまざまな和食の材料として長く日本人に親しまれてきたみそには、長寿にもつながる健康効果の数々が秘められています。

1.原料の大豆に含まれる豊富な栄養素

大豆と麹・塩を原料として作られるみそは、奈良時代にも遡ると言われるほど古い歴史があります。

製造の過程で麹菌による発酵が行われることで、大豆に含まれていた豊富な栄養素が吸収しやすい形に分解されるのが大きな特徴です。

大豆は食用植物の中でも特にたんぱく質の豊富な作物ですが、そのままでは植物性たんぱく質も消化しにくいものです。

みそを作る際には茹でた原料の大豆をよく潰し、麹とよく混ぜて空気を抜いた環境で熟成させます。

麹菌の働きで大豆のたんぱく質がアミノ酸の単位まで分解される上に、発酵の過程で大豆に含まれていなかった種類のアミノ酸まで加わるため、9種類の必須アミノ酸がすべて含まれるようになります。

みそにはアミノ酸以外にもカリウムやカルシウム・マグネシウム・鉄・亜鉛といったミネラルや、ビタミンEとビタミンB1・葉酸などのビタミンも豊富です。

原料の大豆に含まれるイソフラボンやサポニンも優れた健康効果を持つ成分として見逃せません。

2.アンチエイジング効果にも注目

人間の体を構成する物質は筋肉や皮膚・内臓から血液・毛髪に至るまで、たんぱく質が主要な成分です。

このたんぱく質は食物から摂取された後に消化の過程でいったんアミノ酸に分解され、必要な種類のアミノ酸を組み合わせて再合成されています。

たんぱく質は20種類のアミノ酸が結合して作られますが、このうちトリプトファンやリシン・ロイシンなど9種類は人体が合成できないため食物から摂取しなければならない必須アミノ酸です。

みそにはこの必須アミノ酸がすべて含まれているため、みそ汁などで毎日みそを摂取している人は細胞の新陳代謝もスムーズに運びます。

シニア世代の人にとっては、みその持つアンチエイジング効果も見逃せません。

みそには老化の原因となる活性酸素を効率的に除去してくれる抗酸化物質のビタミンEが豊富に含まれてます。

新陳代謝に必要なアミノ酸と活性酸素の影響を抑えるビタミンEの働きで、みそは老化抑制にも役立つ食品です。

3.病気を予防するみそのパワー

優れたアンチエイジング効果を持つみそは、がんを始めとするさまざまな病気を予防する効能も発揮します。

みそ汁を飲む回数の多い人ほど胃がんの死亡率が低いという調査結果に加え、肺がんや乳がん・肝臓がん・大腸がんの抑制効果が見られたという動物実験も注目すべき成果です。

これは大豆に含まれるイソフラボンにがん細胞の増殖を抑える作用があるからではないかと考えられています。

イソフラボンとともに大豆サポニンには悪玉コレステロールを減らす作用があるとも言われており、みそを摂取することで血圧上昇を抑える効果も得られます。

長期間熟成させた赤みそにはアミノ酸と糖質が結合したメラノイジンと呼ばれる物質も豊富に含まれており、動脈硬化や血糖値上昇を抑制してくれます。

そのためみそを常食としている人は脳卒中や心筋梗塞・糖尿病になりにくく、がんも含めた大半の生活習慣病が予防されているのです。

4.みその種類と味の違い

一口にみそと言っても、製法や材料の違いによって全国に数多くの種類が見られます。

いずれも大豆を主材料とする点では共通していますが、大豆を発酵させるのに使われる麹には米麹や豆麹・麦麹などが挙げられます。

麹の種類の違いによって米みそと豆みそ・麦みそに分けられ、特に米みそは北海道から四国までの各地で作られている最もポピュラーなみそです。

麦みそは主に九州地方で作られているのに比べ、八丁みそなどの豆みそは愛知県の特産品としても知られています。

長期間熟成させたみそは大豆のたんぱく質と麹の糖分が反応して前述のメラノイジンという物質が生じるため着色し、コクのある赤みそとなります。

赤みそは東北地方や中京地方で多く作られていますが、近畿地方などでは熟成期間が短く塩分濃度も低い白みそが中心です。

辛口を特徴とする赤みその代表格は仙台みそで、まろやかな味わいを持つ甘口の白みそでは西京みそや信州みそが知られています。

5.合成調味料を使わなくても豊かな風味

一般のスーパーで売られているみそには、グルタミン酸ナトリウムなどの合成調味料が使われているケースも少なくありません。

特に「だし入り」と表記されたみそにはこうした成分が多く含まれており、みそ汁を作るのにだしを取る必要がないため人気を集めています。

しかしながらグルタミン酸ナトリウムは、大量に摂取すると頭痛や手足のしびれを引き起こす可能性があるため必ずしも安全な物質とは言えません。

グルタミン酸ナトリウムはだし入りみそ以外にも多くの食品で使われており、そのうま味成分に舌が慣れてしまうと本来の味がわからなくなる可能性もあります。

スーパーなどの店頭からみそを購入する際には、原材料名に「調味料(アミノ酸等)」と記載されていない製品を選ぶようにするといいでしょう。

大豆と麹・食塩だけを材料とした昔ながらのみそはもともと風味も豊かで、調味料など不要なほどのうま味が備わっているのです。

みそを使った和食は健康食の定番

日本が世界でもトップクラスの長寿国となったのも、毎日みそ汁を飲んでいる人が多いことと無関係ではありません。

みそ汁以外にも日本食にはみそを使った料理や和菓子も多く、みそ自体をおかずに食べる食文化もありました。

江戸時代に「医者殺し」とまで言われたほど健康効果の高いみそは、日本が生んだ健康食の最高傑作です。