日本人観光客の人気第1位、世界遺産であり、修学旅行生が必ず訪れる場所。
それが清水寺です。
その清水寺の魅力とは何か?どうして清水寺に行きたくなるのか?観光ガイドブックには書かれていない清水寺の知られざる魅力も交えて総まとめしました。
1.平安京より古い。清水寺についてのおさらい
清水寺は霊験あらたかな清水が湧き出る音羽山にあり、たまたま鹿狩りに訪れた坂上田村麻呂の寄進により本格的な伽藍が建立されました。
それはまだ京都に平安京が遷都される前のことでした。
平安時代となり寺院として公認されると、人々の信仰を集めました。
枕草子、源氏物語にも登場するのですから、清水寺は千年以上も昔から人気スポットだったわけです。
清水寺の特徴は何といっても崖の上にせり出している本堂の舞台です。
創建当初は、今のような舞台は無かったようです。
本尊の観音様に祈願や奉納を行うために設けられた舞台が徐々に拡張されて現在の姿に至ったと考えられています。
崖の斜面で舞台を支える懸造(かけづくり)という木組みは、木を組み合せているだけで釘は使われていません。
139本の柱には、樹齢400年のケヤキが使われています。
でも実際は上部のほうに和釘という大きな釘が使用されています。
2.清水の舞台から飛び降りる?
「清水の舞台から飛び降りたつもりで」とはリスクがある中で勇気をもって行動を起こすことを意味します。
高さ約13m。
4階建てのビルと同じ高さということですから、確かに相当な勇気が必要です。
ところで清水の舞台から飛び降りるというのは、ただの例話ではないのです。
実際に舞台から飛び降りた人は大勢いたのです。
清水寺の記録(1694年から1864年)によりますと235件の飛び降りがあったそうです。
しかし驚くことに生存率は85%。
それもそのはず、清水の舞台から飛び降りるのは投身自殺ではなく、観音様への願掛けの行動だったからです。
本堂の観音様に願をかけて飛ぶと願いもかない命も助かるという迷信が広まったことによるそうです。
実際の高い生存率から、観音様のご利益は確かにあります。
ただし現在では舞台からの飛び降りは法律で禁止されていますので、くれぐれも真似されませんように。
3.清水寺の本尊の千手観音はただの千手観音ではない
清水寺では国宝の本堂の内陣に入ることができます。
内陣のでは、ご本尊のお前立を拝観できます。
お前立はご本尊と同じ千手観音立像ですが、「清水寺形千手観音」という他に類を見ない千手観音像です。
千手観音立のお前立は三十三間堂にある千体の千手観音と一見似ています。
42本の手を持ち金色に彩色されています。
ところが清水寺の千手観音をよく見ますと、1組の手を頭上高く伸ばし小さな仏様を捧げています。
非常に珍しい、清水寺でしか拝観できない千手観音ですので、参詣の際は是非本堂で参拝されることをオススメします。
4.音羽の滝の3本の滝の意味とは
清水寺の本堂の東側の広く長い階段を降りると音羽の滝があります。
不動明王を祀る祠から湧き出る水を3本の流れに分けて落としているものです。
この湧水は清水寺創建当初から1度も枯れたことのない霊験あらたかな霊水だそうです。
滝行が行われることもありますが、通常は参拝者が長い柄杓を使っていただくことができます。
この音羽の滝は人気が高く、観光シーズンでは長蛇の列となることもあります。
そんな背景からか、3本の滝にそれぞれ意味があるという誤った情報が流布されています。
例えば右側が健康長寿で、真ん中が仕事や学問、左側が恋愛だとかです。
無論、そういうことはなく、どれも同じ水です。
音羽の滝の周囲には何枚も「滝の水は皆同じです」と清水寺による貼り紙がされています。
5.清水寺境内になぜか縁結びの神社
清水寺の本堂裏手に地主神社があります。
お寺に神社?と一瞬奇異にもうつりますが、明治維新の神仏分離まではお寺の鎮守として神社は普通に併設されていました。
地主神社は大国主命が主祭神として祀られていますが、縁結びの神様として絶大な知名度を誇っています。
境内に「恋占いの石」という2つの石が10mくらい離れて置かれていて、目を閉じたまま石から石に辿り着くことができれば恋が叶うとされています。
他にも地主神社の境内には「水かけ地蔵」、「撫で大国」、「祓戸社」などの末社がいくつもあります。
特筆すべきは境内奥にある「おかげ明神」です。
社の後ろにある杉の木は、呪いの藁人形が実際に打ち込まれていた木であり、釘の後が今でも生々しく残っています。
6.弁慶が使っていた?「鉄杖」
ここからは、あまり知られていない清水寺の魅力スポットについて紹介します。
最初が弁慶の鉄杖です。
本堂入り口に鉄製の大小2本の杖と下駄が台の上に載せられています。
これを持ち上げることができるかというお遊びです。
清水寺による公式な掲示は無いのですが、誰言うとなく弁慶が履いていた下駄と、使っていた杖だということになっています。
実際のところは、明治期の修験僧が清水寺に寄進したものだそうです。
鉄製の杖を持ち上げるのはなかなか大変で、それもそのはず。
大きな方の杖は重さ約90Kgとのことです。
なお、ここで弁慶が登場するのも理由があります。
誰もが知っている弁慶と義経の出会いは五条大橋ということになっていますが、清水寺では清水の舞台が出会いの場という言い伝えになっているからです。
7.大黒様のお顔を守れ。「黒大黒天」
弁慶の鉄杖を過ぎると内陣のところにお顔が黒い大黒天が祀ってあります。
「出世大黒天像」といって平成20年に修復されたまだ新しい像です。
この大黒様は、当初鴨川のほとりに祀られていたそうです。
それが、川から松原通りの町中に祀られ、その次には清水寺の参道、そして境内、とうとう今では本堂の中に祀られるまでになっています。
この経歴から、どんどん立身出世するさまに見立てられているのです。
修復された理由は、なんと罰当たりなことにお賽銭を大黒様の顔に投げつけられることが多発し、大黒様のお顔が悲惨な状況となったためです。
過去の悪しき風習の復活を恐れてか、修復後は大黒様のお顔を守る大きな透明アクリル板が前面に設置されています。
これで万一お顔にお賽銭が投げられることがあっても、お顔が傷付くことを防ぐことができます。
8.お地蔵さんの首が。「首振地蔵」
清水寺の入り口に当たる仁王門の階段の北側に善光寺堂というお堂があります。
如意輪観音を祀ったお堂ですが、ここの右手前に小さな石のお地蔵様があります。
見ると「首振地蔵」という石碑があります。
何と、このお地蔵様の首は360度ぐるぐると回すことができます。
これは願をかける、祈りを捧げる対象のある方角に首を向けてお祈りすると願いがかなうと言われているものです。
実はこのお地蔵様、頭巾を取るとちょんまげのようなものがあります。
人の好さが災いして借金で首が回らなくなって自殺した「鳥羽八」という人物の像だとも言われています。
そのために首が廻るように作られたとか。
舞台から飛び降りることなく、清水寺の魅力を楽しもう
清水寺は魅力にあふれています。
ここで書ききれなかった魅力や不思議なスポットがたくさんあります。
三重塔、轟門、阿弥陀堂、奥の院が解体修理を終え、本堂の檜皮葺の屋根が葺き替えされ、清水寺がさらに輝きを増しています。
さっそく新しくなった清水寺に出かけてみませんか。