今回は、歴史の勉強を始める方のために、歴史の勉強の醍醐味と何から始めたらいいのかを紹介及び解説します。
歴史の勉強はやればやるほど疑問が湧いてくる奥深さを持っています。
一度歴史の魅力に取り憑かれたなら、自分の知識欲を満たす喜びに抜け出せなくなることは必至でしょう。
以下で、本当の歴史の魅力に触れるために考えたい、大事なことをお話します。
1.歴史の勉強は、学校の教科書に頼らない
いざ歴史を勉強せんとした時、何から始めたら良いのでしょうか。
多くの人が最初に思い浮かべるのが学校教育用の教科書です。
しかし勉強=教科書という思い込みが落とし穴。
学校の教科書には決して手を出してはいけません。
教科書は古代史から現代史まで、あらゆる時代を網羅している書物です。
人間の文明が生まれてから軽く5000年以上、一冊の本にまとめてくれているなんて、学習者にとっては有難い話ですね。
でもちょっと待ってください。
本当に何千年もの歴史を一冊の本にまとめるなんて可能なのでしょうか?
答えはもちろん、不可能に決まっています。
教科書は確かに古代から現代まで出来事を扱っていますが、膨大な量の人名や出来事を一つの視点から切り取っているのです。
切り取ったとしても膨大なので、ほとんどの文章が固有名詞の羅列となっており、背景知識や複数の異なる視点などは提示されません。
故に教科書には読み物としての魅力はほとんどありません。
テストや受験勉強などの知識の詰め込みには効力を発揮しますが、教科書は教師による解説ありきの本です。
授業という指針なしに、教科書に手を出せば、羅列される言葉の洪水に飲まれ、挫折するのは必至でしょう。
2.本当の歴史の勉強とは?
そもそも歴史の勉強とは何なのでしょうか。
勉強という言葉を聞くと、ついつい知識を増やすことと捉えがちですが、それは高校生までのお勉強です。
本当の勉強とは、予め用意された知識の詰め込みではなく、自分で問いを設定し、その答えを探求することです。
故に教科書に載っているような固有名詞の羅列を追うだけでは、問題意識もその回答も出ることはありません。
”ユリウス・カエサルはブルータスに殺された”という事実だけでは、なぜ殺されたのか?という問題は提起されることなく、その背景にある帝政と共和政の関係に考えが及ぶことはないのです。
よくクイズ番組などでインテリと言う言葉が踊りますが、他人が作った問題に答えて満足しているような人は、本当の意味でのインテリとは言えません。
様々な出来事を自分なりの視点で切り取って、自分自身で問いを作れる人が本当のインテリです。
本当の勉強とは、自分で問題を提起してそれを探求する力です。
そしてその答えを自分で発見した時、得も言われぬ愉しみに浸ることができます。
3.ビジュアルから入る歴史の勉強
自分の問いを作ることは、実はそれほど難しいことではありません。
試しに旅行のガイドブックを開いてみましょう。
簡単な説明文と共に、様々な史跡や名産品の写真が掲載されています。
すぐに読み飛ばさずに写真を1分間眺めてみましょう。
写真を見つめていると、何らかの疑問が湧いてくるはずです。
なぜピラミッドは三角形なのだろう?ダヴィデ像はなぜ裸なのだろう?イギリスはなぜ紅茶が有名なのだろう?などと写真からたくさんの疑問を考え出すことができるはずです。
これこそが問題提起であり、その答えを自分なりに探求するのが本当の勉強です。
書き言葉は、書いてあること以上の意味を探るのに訓練が必要ですし、何回も読まねばなりませんが、写真や絵は、人によって感想が違います。
一つの写真を見ても、キレイと感じる人もいれば、立派と感じる人も、好きではないと感じる人もいます。
一瞬で自由な感想を持てるということは、それだけ人それぞれの「なぜ?」を探しやすいということです。
以上の理由で、写真や絵から歴史の勉強を始めることをオススメします。
4.歴史の勉強には、資料集(便覧)を使用する
史跡や芸術品などの写真や絵が載っている本はたくさんありますが、ここでオススメするのは、学校で使用されている資料集(あるいは便覧)と呼ばれる本です。
資料集は、写真や絵や表など、ビジュアルで歴史を学ぶことに特化した副教材です。
教科書が授業ありきの単語の羅列に終わっているのに対し、資料集は詰め込み用の網羅的な情報ではなく、目で見て歴史を知るための資料を満載しています。
簡単な説明文も載っていますので、視覚的に歴史を楽しみながら、学ぶことができるでしょう。
資料集を見ている間に自分なりの「なぜ?」を見つけたら、その答えについて専門書などで調べれば良いでしょう。
5.歴史を学ぶには歴史映画、伝記映画を観る
ビジュアルで歴史を勉強するための手段として、映画を観るという選択肢もあります。
歴史や個人の伝記を扱った映画はたくさんあります。
映画には明確なストーリーがありますので、その作品の歴史背景や人間の心理などを、誰でも楽しみながら理解することができます。
一つ気をつけて欲しいのは、史実に沿った歴史映画・伝記映画と言えども、作り手の解釈が介在しているということです。
歴史的事実はあったとしても、その出来事が起きた原因や当事者の心境などは、作品の作り手の想像・解釈による一つの説であることが大半です。
正しい・間違っているではなく、本当にそうだろうか?なぜそのように解釈したのか?などと疑問を持つことが勉強の始まりになります。
後は自分なりの視点で映画を観て、疑問を探求すればいいのです。
映画に出てきた建物や衣装や食べ物など、何でも良いので問題意識を持ち、それについて調べるのが立派な勉強と言えます。
大人の勉強として、歴史を学んでみよう
以上が歴史の勉強を始める時に考えたいことです。
勉強と聞くとついつい知識を蓄えることと考えがちですが、誰かが用意してくれた知識を蓄えるのは子供のお勉強に過ぎません。
大人の勉強とは、自分なりの視点で物事を見て、自分で問いを作り、自分の答えを見つけることです。
歴史にはたくさんの「なぜ?」が埋まっています。
しばらくすると忘れてしまいそうな表面上の知識ではなく、自分で突き止めたオリジナルの知識を探してみませんか?