落語鑑賞で思いきり笑えば血行が良くなり、脳の活性化と免疫力アップ

最終更新日:2017年11月1日

充実したシニアライフを送るためには趣味を持つことも欠かせませんが、落語鑑賞は誰でも気軽に楽しめる趣味の1つです。

笑いが健康効果をもたらすことから、長寿にもつながる趣味として落語鑑賞は根強い人気があります。

1.名人たちが受け継いできた伝統芸

シニア世代の人の中には、大学時代などに「落研」の通称で知られる落語研究会のサークル活動に所属していた経験を持つ人も少なくありません。

落語は自分で実演するのも1つの楽しみ方ですが、プロの噺家の演目を鑑賞する楽しみはまた格別なものです。

特に名人と呼ばれる噺家の語りには独特の味わいがあるため、そうした名人の出演する寄席や独演会は満席となります。

落語に興味を持ちながら何となく難しそうに感じて寄席に足を運ぶのをためらっている人にも、後述するように音声や映像を利用した楽しみ方が用意されているものです。

江戸時代に確立したと言われるほど古い歴史を持つ落語文化は、明治・大正から昭和を経て平成の現在に至るまで、数多くの名人たちによって伝統芸が受け継がれてきました。

特に古典落語では江戸時代の庶民生活が噺家の芸を通じて再現され、タイムスリップしたかのようなひとときを過ごすことができます。

2.古典落語と新作落語

寄席や独演会で噺家が演じる落語の演目には、大きく分けて古典落語と新作落語の2種類があります。

古典落語は江戸時代から明治期までに原型が確立した演目で、「粗忽長屋」「目黒のさんま」「饅頭こわい」などが有名です。

何年か前に子供たちの間でブームとなった「寿限無」も古典落語の1つで、言葉遊びを使った落語の代表的な演目として知られています。

同じ演目を多数の噺家が演じてきた点も古典落語の特徴で、話の内容は同じでも噺家によって語り口や演出が微妙に異なるものです。

名人と呼ばれる噺家はたいてい得意とする古典落語の演目をいくつか持っており、滑稽噺だけでなく後述する人情噺や怪談噺を十八番とする噺家も少なくありません。

新作落語は大正期以降に創作された落語のことで、関西を本拠とする上方落語界では創作落語とも呼んでいます。

3代目三遊亭圓丈は現代における新作落語の第一人者として、数々の斬新なストーリーを創作してきました。

3.滑稽と人情噺・怪談噺

落語は噺家によって演じ方が異なり、本題の前に入れるマクラの役割も含めて1人1人の芸風に特色がある点も大きな特徴です。

一口に落語と言っても観客を笑わせることを目的として演じられる滑稽噺だけでなく、人情噺や怪談噺などいろいろな種類があります。

古典落語の演目でも滑稽噺には「サゲ」とも呼ばれる落ちが必ずつけられるのが特徴で、落ちがわかっていても芸を楽しめるのが落語の奥深さです。

夫婦や親子の情愛をテーマとした人情噺もシニアに人気のある演目で、上手な噺家の手にかかると、筋書きを知っていても思わずほろりとさせられるものです。

「笠碁」などに代表される人情噺に対して、「死神」「怪談牡丹灯籠」などが知られる怪談噺にはまた違った語りのテクニックが求められます。

落語の演目は滑稽噺が圧倒的多数を占めますが、笑いの合間にこうした人情噺や怪談噺を鑑賞することで伝統芸の素晴らしさをより深く味わえるものです。

4.寄席や独演会で楽しむ

落語を本格的に鑑賞するには、やはり噺家の芸を生で見て聴くのが一番です。

噺を聴くだけなら音声でも十分ですが、落語という芸は言葉だけで伝えきれない微妙なニュアンスを噺家が表情や仕草で演じるのを大きな特徴とします。

寄席や独演会など落語を生で鑑賞できる場が今でも大勢の観客で埋まるのは、音楽で言えばそれらがライブ演奏の役割を果たしているからだと言えます。

このうち寄席は落語ばかりでなく講談や漫才・手品・曲芸といった多彩な芸が楽しめる常設の演芸場です。

東京や大阪など大都市に多いこうした常設の寄席ばかりでなく、全国の主要都市では落語が楽しめる地域寄席も随時開催されています。

落語家の独演会も地方の文化ホールなどを借りてしばしば実施されていますので、常設の寄席まで足を運ぶ機会がなかなか持てないという人はそうした興行の場を利用するといいでしょう。

5.音声や映像でも鑑賞は可能

地方でも地域寄席や独演会は実施されているとは言え、東京や大阪などの大都市圏に住んでいる人と比べて地方の人はどうしても落語鑑賞に不利な立場です。

落語を生で鑑賞する機会を多く持てない人にも、CDやDVDなどを利用して自宅で鑑賞する方法が残されています。

落語の特徴は音声だけでも十分に楽しめる点にあるため、昔は落語のレコードを収集する愛好家も少なくありませんでした。

昭和の戦後に落語ブームが起きたのも、ラジオで放送された落語番組が大きな役割を果たしてきたからでもあります。

CDなどの音声を通じて落語を鑑賞するメリットは、5代目柳家小さんや3代目桂米朝・立川談志など、今は故人となった名人の芸が味わえる点です。

映像が残されている名人ならDVDでも往年の芸を鑑賞できるため、細かい表情や仕草も含めた落語の真髄が味わえます。

そうした点では落語もクラシックやジャズなどの音楽鑑賞にも通じる趣味と言えるのです。

寄席やDVDで落語鑑賞を楽しもう

普段の行動圏内に常設の寄席があるほど恵まれた環境に住んでいる人は、生で落語が鑑賞できる利点を最大限に活用できます。

生の落語をなかなか見に行けない人でも、CDやDVDを上手に使えば名人芸を自宅で手軽に鑑賞できるものです。

落語で思いきり笑えば血行が良くなり、脳の活性化と免疫力アップという健康効果も得られます。