大塚国際美術館(徳島県)は陶板名画専門の美術館でシニアのウォーキングにぴったり!長さ4キロの展示

最終更新日:2017年11月23日

美術館と言えば普通は画家や彫刻家といった芸術家の制作した作品を展示する施設ですが、徳島県にある大塚国際美術館は一味違います。

大塚国際美術館に展示されている1000点余りの作品は、すべて陶板複製画です。

1.陶板複製画専門の巨大美術館

徳島県鳴門市の鳴門公園内にある大塚国際美術館は、日本で2番目に規模が大きい美術館でもあります。

世界の200近い美術館が所蔵する名画を原寸大に再現した作品が大塚国際美術館の主要展示品で、世界でも類を見ない陶板名画専門の美術館です。

地上3階地下5階からなる広大な大塚国際美術館の延床面積は3万平方メートル近くにも及び、長さ4キロにもわたって1000点余りの陶板名画が展示されています。

これだけの事業を可能にした原動力は、美術館を設立した大塚グループの独自開発技術です。

世界各国の美術館の協力を得て原画の高精細な撮影と現地調査を行い、写真から分版した転写紙を使って特殊な技術による原画再現作業が実施されてきました。

原画の微妙な立体表現も忠実に再現された陶板複製画は、本物と区別がつきにくいほど精巧に作られている例も少なくありません。

原画と違って経年劣化に強く、作成当時の色と形を長期間にわたって保存できる点でも画期的な技術です。

2.美術史の勉強にも最適

このような経緯で開館された大塚国際美術館では、地下1階から3階と地上1階・2階にわたって時代やテーマごとに陶板名画を展示しています。

古代や中世の地下3階に始まり、ルネサンスからバロック・近代へと階が上がるにつれて時代が下っていく仕組みです。

地上1階と2階部分では20世紀以降の現代作品に加え、「空間表現」「家族」などのテーマ展示エリアが展開されています。

そこで見られるのはレオナルド・ダ・ヴィンチ《モナ・リザ》フェルメール《真珠の耳飾りの少女》ゴッホ《ひまわり》ムンク《叫び》ピカソ《ゲルニカ》など、原寸大に再現された有名な作品の数々です。

ダ・ヴィンチの《最後の晩餐》は1977年から1999年にかけて大規模な修復作業が行われましたが、大塚国際美術館では修復前と修復後の両方を陶板複製画で見ることができます。

たいていの西洋名画なら陶板複製画としてここに展示されているため、大塚国際美術館は西洋絵画の歴史を学ぶのに最適な場所です。

3.大壁画や礼拝堂も忠実に再現

大塚国際美術館では忠実に再現された西洋絵画を時代ごとに系統立てて展示する他に、その場所でしか見られないはずの古代遺跡や教会礼拝堂壁画といった大規模な美術作品まで再現することに成功しました。

システィーナ礼拝堂のフレスコ壁画として有名なミケランジェロの《最後の審判》も、館内のシスティーナ・ホールに展示空間が再現されています。

システィーナ・ホールでは過去に有名人の結婚式が開催されたことで知られますが、現在でもジョットの絵画に飾られたスクロヴェーニ礼拝堂の再現ホールが結婚式場として利用可能です。

庭園にはモネの連作《大睡蓮》の陶板複製画が円形に並べて屋外展示されていますが、これもオリジナルの作品では不可能な展示方法と言えます。

4.観覧のモデルコース

大塚国際美術館では各階ごとに設定された時代の展示作品が系統立てて並べられていますが、地下部分は山の中に建造されており、入口から続く地下3階から観覧を開始するのが一般的です。

入口正面には《最後の審判》が飾られたシスティーナ・ホールがあり、センターホールを隔てた向こうにはフェルメールの部屋とエル・グレコの部屋が来館客を待っています。

聖マルタン聖堂壁画と聖ニコラオス・オルファノス聖堂を見た後は、ポンペイ遺跡「秘儀の間」の壁画が再現された部屋へと回ります。

鳥占い師の墓・貝殻のヴィーナスが展示された部屋を経て古代の絵画展示室へと続き、途中でスクロヴェーニ礼拝堂を挟んで中世絵画の展示室へと進むのがモデルコースです。

地下2階にはルネサンスからバロック時代の作品が展示されており、庭園の《大睡蓮》を鑑賞した後で近代作品が中心の地下1階へとエスカレーターで上るといいでしょう。

現代作品が見られる地上1階のテーマ展示室では、だまし絵コーナーが人気のスポットです。

5.歩きやすい靴で鑑賞を

1000点以上もの陶板名画が長さ4キロにもわたって展示されている大塚国際美術館は非常に広大なため、全部を1日で見て回るのは大変です。

巨大ショッピングモールにも似た空間をいっぱいに使って展示されている作品のすべてを把握するには、何回かに分けて来館する必要もあります。

訪れる際にはできるだけ歩きやすい靴を履き、随所に設けられた休憩所で時々休みながら時間をかけて作品を見て回るといいでしょう。

大塚国際美術館の入館料は日本一高いと言われていますが、再現された作品のクォリティの高さと圧倒的な展示作品数を考えれば納得できるものです。

展示された陶板複製画の大半は手で触れることもできる上、フラッシュや三脚を使わなければ写真撮影も原則的に許可されています。

肩肘張らずに美術鑑賞ができる場として大塚国際美術館は年間40万人前後の来館客に親しまれているのです。

大塚国際美術館で美術史の勉強を

美術に興味を持っていても美術館特有の雰囲気が苦手だというシニアも少なくありませんが、本物の絵画を展示する場合は警備もそれだけ厳しくなるものです。

陶板名画専門の大塚国際美術館なら作品と直に接することができるほど距離が近く、西洋美術史の勉強に役立てたり記念撮影したりと、自分に合った多彩な楽しみ方ができます。