長崎くんち本場所の踊場の桟敷席は早めに予約を!全部見るのに7年かかる

最終更新日:2017年11月27日

江戸時代の日本で外国との貿易を行う唯一の窓口だった長崎県の長崎市には、独自の文化が今も残されています。

毎年10月7日から9日の3日間に行われる長崎くんちは、そんな長崎らしい異国情緒が味わえる祭りです。

1.7年に一度回ってくる踊り町

長崎くんちは長崎市の氏神となっている諏訪神社に奉納する行事で、踊り町と呼ばれるその年の当番町が傘鉾を先頭にそれぞれ趣向を凝らした奉納踊りを演じます。

演し物と呼ばれるこの奉納踊りには踊り・曳物・担ぎ物・通り物の4種類があって、洋風の演し物から和風・中華風の演し物まで多種多様です。

長崎市内には演し物を披露する町が59ありますが、それらの町内は7組に分かれており、1組ずつ7年に1回長崎くんちで演し物を奉納する取り決めがされています。

演し物の中には特定の町でのみ演じられる例も少なくないため、すべての演し物を一通り見ようと思えば長崎くんちに7年間通わなければなりません。

祭りの際には10月7日に諏訪神社の三体の御神体が大波止の御旅所へと移され、9日に本宮へと戻される神事がそれぞれ行われます。

奉納の演し物は諏訪神社境内と御旅所に加えて八坂神社と中央公園でも披露され、それら4カ所の本場所には大勢の見物客が詰めかけます。

2.龍踊り・太鼓山など担ぎ物の迫力

長崎くんちで奉納される演し物のうち、龍踊りや太鼓山などの担ぎ物は見物客を熱狂させるダイナミックな動きが特徴です。

59町のうち4つの町が演じる龍踊りは必ずしも毎年見られるとは限りませんが、長崎くんちで最も有名な演し物だけに必見です。

数千年前の古代中国で雨乞い儀式として始まったとされる龍踊りは、長さ20mの龍が玉を追って乱舞する動きを指揮のもとに多人数の演じ手が息を合わせて演じます。

玉追いと玉探しの動作を繰り返すのが龍踊りの特徴で、長ラッパや大銅鑼などを鳴らす独特の囃子も異国情緒を盛り上げるのに欠かせません。

コッコデショとも呼ばれる太鼓山は長崎市民の間でも特に人気の高い演し物の1つで、巨大な座布団や太鼓と子供を乗せた重さ1トンの太鼓山を大勢の担ぎ手が宙に放り投げる場面が見ものです。

担ぎ物の中でも太鼓山と鯱太鼓は演じる町が少ないため、基本的には7年に1回しか見ることができません。

3.多彩な本踊りや曳物も見もの

龍踊りに代表される担ぎ物以外にも、長崎くんちでは年ごとに異なる多彩な演し物が本場所で見られます。

日本舞踊のあでやかな本踊も町内ごとに特色がありますが、中でも長崎らしい異国情緒を味わえるのが阿蘭陀万才です。

南蛮風の青い衣装とシルクハットでオランダ人に扮した万歳に加え、才蔵と呼ばれる2人のピエロが阿蘭陀万才の中心となります。

胡弓や木琴の演奏に合わせて踊る町娘や中国風の唐子たちも、阿蘭陀万才の盛り上げ役として欠かせません。

御座船や阿蘭陀船・龍船・御朱印船・川船といった巨大な山車を引き回す曳物は、担ぎ物と並ぶダイナミックな演し物です。

鯨の潮吹きは230年の歴史を持つ曳物で、「ヨッシリヨイサ」のかけ声とともに鯨漁の再現や大量祝いの様子が演じられます。

安南国の王女アニオーさんの輿入れを再現した行列や大名行列・媽祖行列などの通り物は、披露される機会が少なくなった演し物です。

4.本場所の踊場の桟敷席は早めに予約を

その年に奉納される演し物を1カ所で一通り見るには、本場所と呼ばれる踊場の桟敷席を確保するのが最も確実です。

諏訪神社と御旅所・八坂神社・中央公園といった本場所ごとに桟敷席が販売されますが、人気が高いので早めに予約しないと完売してしまいます。

最も人気が高い諏訪神社の桟敷席には4人掛けの桝席の他に当日販売の立見席があり、踊場正面の長坂の無料観覧席で見るには事前の抽選で選ばれた人に配布される整理券が必要です。

長崎港に面して交通の便も良い御旅所の桟敷席は、八坂神社の桟敷席とともに4人がけの桝席となります。

中央公園の桟敷席はベンチシートのため、演し物が間近で見られる砂かぶり席も含めて1人単位での観覧券購入が可能です。

いずれも6月頃に販売が開始されますので、コンビニやインターネットなどで早めに購入するといいでしょう。

5.庭先回りを追いかける方法

本場所の桟敷席は長崎くんちの演し物をじっくりと集中して見るのに最適ですが、桝席では高い席だと3万円ほどの料金がかかります。

中央公園の席は3千円から5千円ほどで購入できるとは言え、席には限りもあるものです。

桟敷席を確保できなかった人や予算を節約したいという人には、庭先回りで披露される演し物を見に行くという手もあります。

各町内では4つの本場所での演し物を披露する合間の時間を利用して長崎市内の官公庁や企業などを回り、庭先回りと呼ばれる演し物を披露しています。

本場所の付近では大勢の見物客が集まって混雑しますが、庭先回りなら無料でゆっくりと演し物を見ることができます。

長崎駅や長崎くんち案内所などで配布される庭先回りマップにスケジュールが書かれている他、インターネットでも演し物の位置を検索できるサービスがあります。

そうした情報を利用して庭先回りの演し物を追いかけながら、長崎市街を歩くのも楽しみ方の1つです。

全部見るのに7年かかる長崎くんち

長崎市には平和祈念像で有名な平和公園や大浦天主堂・浦上天主堂などの観光名所が多く、歴史を感じさせる街並みも魅力です。

7年がかりですべての演し物を見ようと、長崎くんちに毎年訪れる熱心なファンも少なくありません。

土地に根づいた南蛮・紅毛文化の魅力が、祭りのエネルギーとして長崎くんちに凝縮されているのです。