錦帯橋(山口県岩国市)は奇跡のカテナリー曲線と呼ばれる美しいアーチ型を描く

最終更新日:2017年12月25日

「錦帯橋」は山口県岩国市にある優美で堅固な木造の5連アーチ橋です。

カテナリー曲線と呼ばれる美しいアーチ型を描くこの橋は、「日本三名橋」の一つに数えられ、世界でも類がない奇跡の橋とも言われています。

山紫水明の地に建造された錦帯橋は、周辺の景観との調和も秀逸。

ここならではの風情ある景色が、四季を通じて楽しめる人気の観光地です。
定年後シニアなら、死ぬまでに一度は見ておきたい景色ですね。

1.幾度となくよみがえった名橋「錦帯橋」の歴史

山口県を流れる清流「錦川」にかかる優美な木造アーチ橋「錦帯橋」。

1673年(延宝元年)、三代目岩国藩主吉川広嘉によって創建されました。

二代目藩主吉川広正により、この川に橋が架けられたものの何度も流出を繰り返したのでした。

「決して流されない橋を作ること」を決意した三代目広嘉は、熱心な調査研究と改良を重ねついに現在の姿の錦帯橋を建造します。

その後一度は流されましたが、広嘉は諦めることなく原因を調査し一層の改良を重ね、より強く美しい橋へと再建されました。

広嘉の架けた橋は、1950年(昭和25年)のキジア台風で橋台が破壊されるまでの276年間、流されることはありませんでした。

このときも地元の大工によりすぐに修復が行われ、2001年~2004年には伝承工法を引き継ぐ大規模な「平成の架け替え」が行われました。

広嘉の「流されることのない強く美しい橋」への願いは、今も岩国に息づいています。

2.奇跡の名橋「錦帯橋」の構造美を堪能する

錦帯橋は、全長193.3メートル、幅員5メートル。

天に向って大きく反り返るアーチ部分の最高点の高さは、川床から約13メートルもあり迫力は満点です。

そして圧巻なのはその下部構造です。

橋の裏の、組木の技術を駆使して作られた華麗な幾何学模様と、水の勢いを分散させるための紡錘形をした四基の橋台を見るとき、当時の架橋工事における技術力の高さに圧倒されます。

また、「流されない強い橋を作る」との広嘉の執念を感じ取ることができます。

錦帯橋を河原や川岸からじっくりと眺めたら、さあ、いよいよ橋を渡りましょう。

ゆったりと流れる錦川や、緑の山々の景色に癒されながら、五つの木造のアーチ橋を上っては下り、上っては下り。

しばしの間、非日常な時間と空間に私たちを運んでくれます。

高い技術に裏打ちされ数百年を生き抜いた錦帯橋の歴史と、それに関わった人たちに思いを馳せながら、ひとり夕暮れの橋を渡るのもなかなか良いものですよ。

決して華美とは言えない落ち着いた佇まいでありながら奇跡の名橋と称される「錦帯橋」。

その景観美と構造美をじっくりと堪能して下さいね。

3.錦帯橋一帯は風光明媚な観光スポット

錦帯橋一帯の景観は四季を通じて秀逸です。

橋の下には山口県最大の河川、清流「 錦川」が流れ、背後の山頂には白亜の城「岩国城」がそびえます。

川岸には桜並木が続き、すぐ近くの吉香公園とともに、春は桜、秋は紅葉の名所として有名です。

錦帯橋を桜越しに見たり、紅葉越しに見たり。

また雪景色の錦帯橋も格別の風情があり、どの季節もオススメです。

錦帯橋を訪れたら、いきなり橋を渡るのではなく、まずは川岸や河原などの少し離れたところに立ち、色々な角度から橋を眺めて下さい。

錦川、錦帯橋、城山に小さく見える岩国城。

この三つの構図は、記念写真の定番であり、これに薄いピンクの桜や真紅の紅葉の色彩が加わる季節はまた格別の美しさです。

4.橋を渡り終えたその先は旧城下エリア

錦帯橋を渡り終えると、すぐ先には自然豊かな吉香公園が広がっています。

このあたりは旧城下エリアで、公園内と公園に隣接した区域には、城山・藩主吉川家の墓所・菩提寺・吉香神社・錦雲閣・城山菖蒲園・武家屋敷など城下町の名残りを残す建物や施設が集まっています。

四季を通じて見どころ充実のエリアであり、春は美しい桜並木で知られる桜トンネル(いざない街道)、秋は紅葉の美しさから名づけられたという紅葉谷公園はオススメです。

吉香公園前の山麓駅からロープウェイで岩国城に上ると、この景勝地のハイライトである錦帯橋と岩国の街が一望できます。

橋を渡るとまたそこは別世界。

古地図を片手にゆっくりと散策を楽しみたくなる、風情豊かな旧城下エリアが広がります。

5.「錦帯橋」の夜景が楽しめる行事

錦帯橋は夜景スポットとしても人気です。

かがり火に照らし出された錦帯橋は、木造橋としての魅力をさらに際立たせ、いにしえの幽玄の世界へと私たちを誘うかのような、目に焼き付けておきたい美しさです。

夜間の錦帯橋はいつも素敵ですが、錦帯橋の夜景を十二分に堪能するには、次の行事のときが特にオススメです。

(1)「鵜飼」
毎年夏に行われる錦川の夏の風物詩。

鵜船のかがり火が川面に映り、錦帯橋が夜空に浮かび上がる幽玄な景色が繰り広げられます。

(2)「錦川水の祭典花火大会」
錦川の夏の風物詩であり岩国市の一大イベント。

錦帯橋をバックに6000発の花火が打ち上げられ夜空を鮮やかに彩ります。

(3)「錦帯橋芸術祭」
11月に錦帯橋周辺で開催されます。

かがり火の炎が錦帯橋と錦川を照らし出し、見る者を幻想的な神秘の世界へと誘います。

このほかにも、毎年十五夜(9月)にロープウェイの夜間運転が行われます。

岩国城の建つ岩国山からは錦帯橋と岩国市が一望でき、見事な夜景を眺めることができます。

日本三名橋の一つ「錦帯橋」を訪れよう

橋としての圧倒的な魅力に加え、橋を取り巻く風光明媚な景観に恵まれた名勝「錦帯橋」。

旧城下エリアを含む多彩で奥深い独自の雰囲気を持つ景勝地として、不動の人気を誇る観光スポットとなっています。

川の両側には土産物店や食事処が並び、名物の岩国寿司や蓮根料理を味わったり休憩できる場所がいくつもあります。

定年後シニアなら、奇跡の名橋を楽しみながら歴史と絶景に浸る旅を、存分に満喫されてはいかがでしょうか。