再就職手当の支給日や金額、手続きはどのようになっている?

最終更新日:2017年7月30日

雇用保険の被保険者であった方が退職され、その後再就職した場合には雇用保険から再就職手当が支給されることがあります。
この再就職手当の支給日や額、手続きはどのようになっているのか確認してみましょう。

1.再就職手当とはどのようなものか

会社に勤務すると雇用保険に加入し被保険者となり、毎月の給料からも保険料が徴収されています。
労働者が失業してしまった時には、求職活動中の生活の安定や就職を促進する為に必要な給付が行われています。

再就職手当は雇用保険の給付の一つで、就職を促進する為に支給されているものです。
失業中は基本手当という給付として、離職前の賃金額1日当たりの45%から80%の額(基本手当日額)が90日から330日分(所定給付日数)支給されます。

この時、所定給付日数を3分の1以上残して再就職した場合は、所定給付日数の残日数に応じた額の再就職手当を受け取ることができます。
これにより、離職後すぐに再就職先が見つかっても雇用保険からの給付をもらい損ねるということはありません。

なお、雇用保険から給付を受けるには、離職日以前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間があることが必要です。
また、倒産・解雇、延長の希望があるのに労働契約満了での退職、やむを得ない理由による退職では、離職日以前1年間に6ヶ月以上の被保険者期間があることが受給要件となっています。

雇用保険は労働者が対象となるので、個人事業主や法人の取締役、役員等の労働者でない者は被保険者となることができず、
給付も受けられないのでご注意ください。

2.再就職手当の支給は申請から2ヶ月程かかる

再就職手当の支給を受けるには再就職日の翌日から1ヶ月以内に、再就職先の事業主の証明を受けた再就職手当支給申請書、受給資格者証、採用証明等の再就職を証明できる書類を住所地を管轄するハローワークに提出します。
この手続きは郵送でも行うことができます。

再就職手当支給申請の手続きをしてから実際に支給されるまでは、およそ1ヶ月から2ヶ月程の時間がかかります。
再就職手当は、離職者が安定した職業に就いた場合に支給される給付になります。

再就職の後その後もちゃんと在籍して働いているかハローワークも確認を行いますので、支給まで時間がかかってしまいます。
申請が受理されれば、離職後最初にハローワークに行き受給の手続きをした際に登録した振り込み先の口座に振り込まれます。

3.再就職手当の受給要件と注意点

再就職手当を受け取るには、一定の要件を満たした再就職であることが必要です。
その要件と注意点を見てみましょう。

1、所定給付日数が3分の1以上残っていること

2、1年を超えて雇用されることが確実な仕事に就くこと
「1年を超えて」ですので、1年契約の仕事だと支給されませんので注意が必要です。

3、過去3年以内に再就職手当、常用就職支度手当を受けていないこと
常用就職支度手当とは、就職困難者が雇用された時に支給される給付です。

4、待期期間経過後に職業に就いたこと
受給を受ける為初めてハローワークに行った後7日間は待期といい、給付を受けることはできませんので、待期後に就業する必要があります。

なお、待期中に内定をもらい、待期後に働き始める場合は再就職手当は支給されます。

5、離職理由による給付制限中最初の1月はハローワーク、職業紹介事業者の紹介によること
自己都合や定年で退職された方は、待期後に3ヶ月間の給付制限が付きその間は求職者給付は支給されません(再就職手当は就職促進給付なので支給されます)。

このうち最初の1月はハローワークや職業紹介事業者からの紹介により仕事に就くことが必要です。

1月以後は自分で見つけてきて仕事に就いても大丈夫です。

6、離職前の会社や受給手続き前に雇用を約束した会社への就業でないこと
給付を受けるには離職後ハローワークに行き手続きを行いますが、それ以前に内定をもらってる会社や離職前の会社にふたたび雇用される時は、不正受給防止の為支給されません。

7、同一の就職で高年齢再就職給付金を受けないこと
60歳以上の方が再就職した時、高年齢再就職給付金という給付が支給される場合があります。

再就職手当と高年齢再就職給付金はどちらか一方しか支給されません。

以上のように再就職手当を受けるには要件がありますので、再就職の際には再就職手当の支給要件を満たしているか確認してみましょう。

4.再就職手当はどれくらいもらえるのか

平成29年1月1日以降は再就職手当は、基本手当の支給残日数を3分の1以上残して再就職した場合は支給残日数の60%に、3分の2以上残して再就職した場合は70%に、基本手当日額を掛けた金額となっています。
基本手当日額とは離職前最後の6ヶ月の賃金額を180で割った金額を賃金日額(上限あり)とし、金額に応じて60歳未満は50%から80%、60歳以上65歳未満は45%から80%を掛けた額になります。

賃金日額が高くなるほど支給の割合が減っていきます。
なお、再就職手当を計算する時の基本手当日額には上限があり、60歳未満は5805円、65歳以上は4707円が上限額となっています。

所定給付日数は被保険者期間と年齢、離職理由により、90日から330日分になります。
例えば基本手当日額が4000円、所定給付日数180日の方が残日数100日の時点で就職した場合4000円×100日×60%(残日数3分の1以上)=240000円と、24万円の再就職手当を受け取ることができます。

また、60歳以上の方の場合高年齢再就職給付金という給付が受けられる場合もあります。
こちらは離職前の賃金額に比べて再就職後の賃金額が低くなった場合に、賃金の低下割合に応じて毎月の賃金月額の最大15%が、65歳までのうち最大2年間支給される給付です。

再就職手当と高年齢再就職給付金は、両方の受給要件を満たしていてもどちらか一方しか受けられないので、受給時点でご自分に有利となる方を確認してみましょう。

申請から支給までに時間がかかることに注意

このように、雇用保険からは失業中の生活の為の給付だけでなく、早く就職が決まった場合にも残りの給付を受けることができる制度もあります。
何十日分もの基本手当を一括で受け取れると思えばお得とも考えられるかもしれません。

給付には受給要件があることと、支給までは時間がかかることに注意しつつ転職活動を行うようにするとよいでしょう。