比叡山延暦寺(滋賀県)で一日回峰の修行に参加する!

最終更新日:2017年11月13日

滋賀県大津市の比叡山延暦寺は、寺社巡りを趣味としているシニアの間で「絶対に外せない」とされている寺院です。

延暦寺は滋賀県と京都府の境に位置する比叡山全体を境内としており、100以上の堂塔から構成されています。

1.世界遺産に登録された仏教の聖地

比叡山延暦寺は伝教大師として有名な最澄が平安時代初期に開いた草庵を起源とし、最澄の没後も数多くの名僧を生み出してきた歴史があります。

天台宗の総本山としても知られる延暦寺は平安時代を通じて絶大な影響力を発揮し、日本の歴史に大きな役割を果たしてきました。

戦国時代に織田信長の焼き討ちに遭ってすべての堂宇が焼失してしまいましたが、安土桃山時代から江戸時代にかけて復興が進み、現在は100ほどの堂塔が比叡山の境内に点在しています。

1200年以上にもわたって仏教文化を守り抜いてきた比叡山延暦寺の歴史と伝統は国際的評価も高く、1994年には古都京都の文化財の一部としてユネスコの世界文化遺産にも登録されました。

かつては厳しい修行の場として知られた比叡山も、現在はバスやケーブルカーを乗り継いで手軽に訪れることができます。

車でアクセスする場合は、比叡山ドライブウェイか奥比叡ドライブウェイを通るのが延暦寺までの一般的なコースです。

2.三塔一六谷に点在する堂塔群

延暦寺の境内は広大な比叡山の各所に点在していますが、それらは「東塔」「西塔」「横川」という3つの大きな地域に分けられます。

三塔十六谷とも呼ばれる各エリアごとに堂塔があり、山頂近くの東塔とその西側にある西塔、北側の横川に主要な建造物が集中しています。

平安時代の最盛期には全山に3千もの堂宇があったと言われるほど日本の仏教の中心地だった比叡山の伝統は、現在も脈々と受け継がれています。

現在の比叡山は一大観光地としても整備されており、標高848mに達する山頂までケーブルカーやロープウェイまたはバスで登ることが可能です。

延暦寺は境内が広い上に標高が高いので、以前はそれらの堂塔を観覧して回るのも大変でした。

現在では3つのエリアを効率よく回れるよう、東塔エリアから西塔エリアを経て横川エリアに至るシャトルバスも冬期を除いて運行されています。

最も多くの寺院が集中している東塔エリアまでは、坂本ケーブルを利用して登ることもできます。

3.境内散策のポイント

数多くの堂塔が山中に散在している比叡山延暦寺を訪れる際には、本堂に相当する根本中堂がある東塔エリアを中心にスケジュールを組むのが一般的です。

現在の根本中堂は織田信長の焼き討ち後に再建された江戸時代初期の建物で、昭和28年には国宝にも指定されました。

東塔エリアは伝教大師最澄が延暦寺の基礎を最初に築いた場所だけに、全山にみなぎる宗教的なパワーが特に集中していると言われています。

このエリアには根本中堂の他にも、法然・親鸞・日蓮・道元・一遍ら祖師の像が安置された大講堂や文殊楼といった重要文化財が見られます。

伝教大師・嵯峨天皇による自筆書の国宝や千手観音菩薩立像・多聞天立像・広目天立像など、延暦寺の所有する貴重な文化財が展示された国宝殿も東塔エリアで見逃せないスポットの1つです。

西塔エリアでは現在の延暦寺で最古の建造物と言われる重要文化財の釈迦堂が、横川エリアでは横川中堂が中心となっています。

4.日本仏教史の中心地

日本に数ある寺院の中でも、比叡山延暦寺ほど日本史の重要な舞台となってきた場所はありません。

延暦寺は天台宗の総本山として天皇家や貴族の間で絶大な支持を集め、平安時代には国家権力と結びついて政治に大きな影響力を及ぼしてきました。

慈覚大師円仁や「愚管抄」の著者としても知られる慈円などは、いずれも延暦寺の住職を意味する天台座主の地位にあった高僧です。

地獄の描写で有名な「往生要集」を現した源信や、延暦寺中興の祖として尊敬された慈恵大師良源も平安中期を代表する僧として知られます。

鎌倉仏教の主役として活躍した法然や親鸞・道元・日蓮・一遍といった各宗派の開祖たちも、若い頃は比叡山で修行を積んだものです。

日本の仏教界で中心的な役割を演じてきた比叡山延暦寺ですが、織田信長と対立したことで全山の焼き討ちに遭ってしまいました。

壮麗を誇った堂宇の数々もこのときにすべて焼け落ちましたが、豊臣秀吉と徳川家の支援を受けて再興されたのです。

5.一日回峰など修行参加も可能

比叡山延暦寺を訪れたら、以上のような1000年を超える歴史の跡をたどるのも1つの楽しみ方です。

比叡山は最大の宗教的パワーを感じることができる聖地として、パワースポット好きの人たちの間でも人気を集めてきました。

限られた日程の中で効率よく延暦寺を見て回るにはシャトルバスやケーブルカーが便利ですが、日程に余裕があって足に自信のあるシニアには、歩いて東塔エリアまで登れる東海自然歩道というコースもあります。

比叡山延暦寺の宗教パワーをさらに強く体感したい人は、延暦寺会館や居士林研修道場での修行に参加するのも貴重な体験となります。

延暦寺の修行と言えば、7年にわたって比叡山の峰々を巡り、途中9日間の断食と不眠の堂入りを行う千日回峰行が有名です。

延暦寺では期間限定で比叡山一日回峰行も実施しており、1泊2食付き8000円から10000円の料金で参加できます。

シニア世代でも体力に自信のある人は参加を検討してみるといいでしょう。

比叡山延暦寺で非日常なパワーを体験する

日本の仏教史をリードし続けてきた比叡山延暦寺では、今もなお修行僧たちの唱える声明の声が絶えることがありません。

延暦寺が開創される以前から神の宿る山として神聖視されてきた比叡山には、宗教的な気が満ちています。

日常生活を離れてそんな宗教的なパワーに触れれば、生きる活力も新たに湧き上がってくるものです。