銀山温泉(山形県)はNHK朝の連続テレビ小説「おしん」の舞台!定年後シニアは死ぬ前に一度は訪れたい

最終更新日:2018年1月10日

山形県尾花沢市にある銀山温泉は、ノスタルジックな雰囲気が味わえることで人気の温泉街です。

およそ400年の歴史を持つ銀山温泉は、NHK朝の連続テレビ小説「おしん」の舞台となったことで一躍有名になりました。

1.大正ロマンが味わえる温泉街

銀山温泉は尾花沢市内でも宮城県との県境近くに位置し、山形新幹線大石田駅からバスに乗り換えて40分ほどの距離にあります。

現在では尾花沢市内から車で容易に行き来できるようになりましたが、明治・大正期頃までは尾花沢から山道を1日がかりで歩いて到着するような山奥の湯治場でした。

そんな銀山温泉には大正期から昭和初期に建てられた旅館が並び、大正ロマンの薫りを残す温泉街としてシニア世代に人気を集めています。

それらの近代建築の多くは三階建てや四階建ての多層階木造バルコニー建築で、昭和初期という時代としては最先端のモダンな洋風建築でした。

銀山川の両岸に旅館が並ぶ温泉街には夜になるとガス灯がともされ、美しい夜景を見ることができます。

最近では山形空港から銀山温泉への直通バスが開通して遠方からのアクセスがよくなったこともあって、国内だけでなく海外からも観光客が多く訪れるようになりました。

2.老舗旅館と共同浴場・足湯

銀山温泉の温泉街には10軒あまりの老舗旅館が軒を連ねており、いずれ劣らぬ近代建築として美術的価値も高い温泉宿揃いです。

中でも明治25年創業の能登屋旅館は老舗中の老舗で、大正10年に建てられた望楼付き木造四階建ての旅館は国の重要文化財にも指定されているほど貴重な近代建築物です。

1983年に放送されて国民的人気を呼び驚異的な高視聴率を記録したNHK朝の連続テレビ小説「おしん」のロケ地にも、この能登屋旅館が使われました。

少女時代のおしんが銀山温泉で出稼ぎをしている母を訪ねる回想場面で能登屋旅館は「銀山閣」として使用され、老年期を迎えたおしんが「銀山閣」を再訪する場面がドラマ序盤から登場します。

銀山温泉の各旅館では、看板や戸袋に描かれた鏝絵と呼ばれるレトロな味わいの絵も名物の1つとして見逃せません。

温泉街にあるしろがね湯・かじか湯・おもかげ湯といった共同浴場は日帰り客に人気で、温泉街の風景を味わいながら浸れる和楽足湯は無料で利用できます。

3.白銀の滝など自然が満喫できる散策コース

共同浴場や足湯を利用すれば日帰りでもノスタルジックな町並みの魅力に触れることはできますが、銀山温泉を心ゆくまで味わうには宿に滞在して温泉街や遊歩道を散策するのが一番です。

銀山温泉の温泉街は一般車両の通行が禁止されているため、自動車がまだ珍しかった大正期や昭和初期にタイムスリップしたような体験ができます。

銀山川の両岸に温泉宿が立ち並ぶ風景は特に夜景が美しく、ガス灯と宿の灯りが銀山川に映る風景を下流側から眺めるスポットは写真撮影を趣味とするシニアにとって絶好のロケーションです。

温泉街から銀鉱跡付近までは自然が満喫できる散策コースの道も通じていますので、温泉宿に滞在する際には銀鉱洞や夏しらず坑まで足を延ばしてみるといいでしょう。

国の史跡に指定されている銀鉱洞では、ライトアップされた幻想的な坑洞の内部を見ることができます。

落差22mに達する白銀の滝は特に人気のスポットで、坑道方面への入山ができなくなる冬場でも訪問が可能です。

4.大正2年の大洪水と昭和初期の復興

銀山温泉の近くには江戸時代初期まで延沢銀山が存在し、石見銀山や生野銀山にも匹敵するほどの産銀を誇っていました。

その当時に銀山川で温泉が湧いているのが発見され、元禄年間に延沢銀山が閉山した後は源泉かけ流しの温泉が川沿いに数多く設けられて湯治場が形成されたのです。

明治から大正期にかけての銀山温泉も旅館が建ち並ぶ賑わいを見せていましたが、大正2年発生した銀山川の大洪水で温泉宿は壊滅的な打撃を受けました。

洪水で大半の宿が流された上に川の水が流入したことで湯温が下がってしまったのです。

昭和元年に実施されたボーリングで高温の湯が大量に湧き出たことで、銀山温泉は復興の大きな力を得ました。

温泉街の旅館はこの頃に茅葺き平屋建てから木造3~4階建てのモダンな洋風建築物へと生まれ変わり、橋や道路も整備されて現在に見られるような景観が形作られたのです。

尾花沢市では1986年に銀山温泉家並保存条例を制定し、昭和初期の風情を残す特徴的な景観を保護してきました。

5.雪景色や紅葉・花笠おどりなど四季ごとに魅力

大正期や昭和初期に建てられた洋風建築の多くは美術的にも価値が高く、そうした建造物が現在まで保存されている例は全国各地に見られます。

銀山温泉は近代建築技術が頂点に達したと言われる当時の洋風旅館が、温泉街の形でまとまった景観を構成しながら21世紀の現在に残された貴重な場所です。

銀山温泉の温泉街は季節ごとに表情を変えるため1年を通じて観光客の目を楽しませてくれますが、特に冬は情緒豊かな雪景色が見られることから人気を集めています。

雪に覆われた銀山温泉はメルヘンの世界から抜け出したようで、雪の少ない地方に住む人や雪の降らない国から来た観光客にとってはまるで異世界です。

5月から10月には毎週土曜日の夜に温泉街の橋の上で花笠おどりが披露され、夏場の銀山温泉にも紅葉や雪の季節にない楽しみが待っています。

紅葉のシーズンには温泉街全体が鮮やかに色づき、また違った味わいがあるものです。

朝ドラの舞台にもなった銀山温泉を訪れよう

古くは湯治場として病気や怪我の治療に訪れる人が多かった銀山温泉も、大正期から昭和初期頃を境として一大観光地に生まれ変わりました。

シニア世代の中には銀山温泉独特の町並みに郷愁を覚えるという人も少なくありません。

ノスタルジーに浸れる銀山温泉は人生で一度は訪れたい温泉街ですが、何度も訪れるファンも多いものです。