俳句は万感の思いをこめられる!シニアからの始め方と注意点

最終更新日:2017年9月17日

シニアや高齢者に人気の趣味として、少ない文字数の中に万感の思いをこめられる俳句や短歌が挙げられます。

中でも俳句は五七五というわずか17音だけで構成されることから、初心者でも始めやすい文芸ジャンルです。

1.俳句は紙と鉛筆だけで始められる趣味

中高年が何か新しい趣味を始めようという場合には、スポーツや登山など体力が要るジャンルだと不安を覚える人も少なくありません。
中には道具を購入しなければならないような趣味のジャンルもありますが、その点で俳句は体力やお金を必要としないので気軽に始められます。

俳句を作るのに最低限必要なものは紙と鉛筆だけと言えるほど、極めてシンプルな文芸ジャンルです。
より本格的に俳句と取り組むには、紙と鉛筆やペンの他に歳時記や国語辞典が必須と言われています。

それでも決して高額の費用がかかるわけではないことから、年金だけで暮らしている高齢者の中にも俳句を趣味としている人は多いものです。
俳句とともに風流を味わいたい人には後述する句会や吟行に参加したり、短冊に筆で句を書いて部屋に飾ったりするような楽しみ方もあります。

新聞・雑誌への投稿や自治体・企業などの主催するコンテストへの応募も含め、俳句の楽しみ方も人それぞれです。

2.制約を敢えて楽しむ俳句

俳句と同じ五七五の17音で構成される文芸ジャンルとしては川柳も挙げられますが、川柳に比べて俳句には季語という縛りがあります。
俳句に興味を持ちながらも季語が難しそうだという理由で、なかなか始められないという人は少なくありません。

しかしながら俳句の醍醐味はこの季語にあるとも言われており、季語を知ることで俳句にも親しみやすくなるものです。
俳句の長い歴史の中で季語は春夏秋冬の四季に新年を加えた5つの季節に分類されてきました。

それぞれ時候・天文・地理・人事・動物・植物の分野に応じた多数の季語が数えられており、書店で売られている歳時記にはそれらの季語が解説文や例句とともに掲載されています。

俳句を通じて季語に親しむうちには日常生活の中でも季節に敏感となって、周囲の風景もそれまでと違って見えるようになります。
俳句特有のこうした制約に楽しみを覚えるようになれば、五七五のリズムが自然と身体に刻み込まれていることに気がつくものです。

3.結社に入会して腕を磨く

わずか17音という短い言葉の組み合わせの中に宇宙の広がりさえ表現することも可能な俳句は、その気になれば誰の助けも借りずに1人でも作ることができます。
とは言え同好の士とともに腕を競い合ったり、その道の達人から句作の基礎や技法を指南してもらったりする方が上達も早いのは事実です。

実際に俳句の世界では同じ趣味を持つ人同士の交流が活発に行われており、古くから数多くの俳句結社が結成されてきました。
同人誌を発行したり句会や吟行を開催したりと、全国各地の結社ごとに独自の活動が続けられています。

俳句作りを始めたら地域の結社に入会し、発行する同人誌への投句や同人との交流に参加するのが句作の腕を磨く一番の近道です。
俳句には前述の季語に加え、「けり」「かな」「や」など文語表現の切れ字を使って強調や省略を表現するという技法もあります。

そうしたテクニックの効果的な使い方なども、結社に所属していれば主宰から指導してもらえるものです。

4.句会や吟行の楽しみ

結社に入会するメリットは単に句作の上達が早くなるという点だけでなく、結社が開催する句会や吟行に参加する権利が得られる点も見逃せません。
句会では会員が集まって題詠または当季雑詠などの句を書いた短冊を提出した後、参加者全員で選句を実施して成績発表と指導者による講評が行われるのが一般的です。

結社によっては当日に発表される席題で即興の句を作って競い合う形での句会も実施されています。
句会の会場は落ち着いた雰囲気の室内で開催されるのが普通ですが、一方の吟行は名所旧跡や風光明媚の地などの野外が舞台として選ばれます。

同じ趣味を持つ仲間たちと観光名所を巡りながら句を考える吟行の旅も、貴重な体験となるのは間違いありません。
日常生活の中でも季語や五七五のリズムを常に意識することで感性は研ぎ澄まされていきますが、句会や吟行に参加することでさらに多くの刺激が得られるのです。

5.新聞や雑誌の俳句欄への投稿

多くの新聞や雑誌にも俳句投稿欄が用意されており、掲載に選ばれた作品によってそれぞれの俳壇が形成されています。
俳句結社に所属する人の中にもそうした新聞や雑誌の熱心な投稿者は珍しくありませんが、特定の結社に所属せずそうした俳壇への投稿だけで腕を磨いている人も多いものです。

結社に所属するより上達に時間がかかる場合もありますが、句会等への参加が苦手な人はまず俳壇への投稿から始めるのも1つの方法です。
新聞社や企業・自治体などが俳句コンテストを開催している例も多く見られ、中には幅広い年代から毎年100万句以上の応募を集めているコンテストもあります。

投句料を必要とする俳句コンテストは全般にレベルが高く、ある程度上達した人が腕試しをするのに絶好の場を提供しているものです。
最近ではインターネットから手軽に投稿できるネット句会や投句サイトも増えており、俳句の楽しみが幅広い年代に広がっている事実が窺えます。

すぐに始められる俳句に挑戦してみよう

以上のように俳句にもいろいろな楽しみ方が考えられますので、自分に合ったやり方で始めてみるといいでしょう。
まずは季語を意識しながら日常の風景を観察してみれば、俳句の題材は次々と見つかるものです。

生活の中に五七五のリズムが馴染んでくる頃には、俳句が単なる趣味を超えて人生の一部にまで感じられるようになります。