四十肩は肩に強い痛みが生じる肩関節周囲炎!その原因と対処法【心身の健康】

最終更新日:2017年8月11日

中高年になると身体にいろいろな不調が生じるようになりますが、中でも四十肩には多くの人が悩まされています。
肩に強い痛みが生じる肩関節周囲炎は40代以降の人が発症しやすく、四十肩や五十肩の呼び名で知られているのです。

1.四十肩は強い痛みと肩関節の運動制限が特徴

四十肩を特徴づけている最も典型的な症状は、肩の関節とその周辺に生じる激しい痛みにあります。
肩を動かした時だけでなく、安静にしていても肩が強く痛むのが四十肩の典型的な症状です。

その痛みは夜の就寝時にかえって悪化することもあり、痛みのあまり安眠を妨げられるケースも少なくありません。
肩の関節は日常生活のさまざまな場面で使われているため、服を着たり髪を整えたりするような動作も痛みのために苦痛をともなうものです。

安静時の痛みをともなう急性期が短い事例で数日間、長い人では数週間も続くことがあります。
四十肩は肩関節の痛みが最大の特徴ですが、痛みによって肩の関節が動かしにくくなる運動制限も日常生活に支障を及ぼす症状の1つです。

急性期が過ぎると安静時の痛みはなくなる一方で、肩を動かす際の痛みは以後しばらく残るのが一般的です。
当初の強い痛みは鈍痛へと変わっていきますが、運動制限の残る慢性期は半年から1年以上続くことがあります。

2.肩関節周辺の炎症が四十肩の痛みの原因

四十肩は肩関節周囲炎という病名が与えられているように、肩の関節を構成する肩峰下滑液包や関節包・腱板といった組織の炎症によって発症します。
四十肩の発症メカニズムは完全には解明されていませんが、加齢にともなう組織の老化や姿勢の悪さなどが主な原因と考えられます。

肉体労働を行う職種に就いている人よりも、事務やパソコン作業などデスクワークが中心の人ほど四十肩になりやすい点は注目すべき事実です。
肩の関節を健康に保つためには適度な運動も欠かせないため、日頃から肩をあまり動かさないような生活を送っている人は四十肩の発症リスクが高いと言えます。

同じように肩の痛みを生じる症状としては肩凝りも挙げられますが、この場合は肩から首にかけての筋肉に血行不良と疲労が生じるのが原因です。
通常の肩凝りであればマッサージ等による血行促進で改善するのに比べ、肩関節周辺組織に炎症が起きている四十肩に対しては別の対処法が必要となってきます。

3.四十肩の急性期は安静が原則

肩峰下滑液包や腱板といった部分に炎症が生じている中で肩関節を無理に動かすと、炎症がさらに周辺組織へと拡大する可能性があります。
急性期の強い痛みが上腕にまで広がる事例や、手先のしびれをともなう事例は症状がかなり悪化している証拠です。

四十肩の急性期には肩の関節をできるだけ動かさないよう安静を心がけるのが原則で、痛みがひどい場合は三角巾で腕を固定することで症状悪化を防ぐことができます。
夜寝ている間に肩が冷えられることでも痛みが悪化しますので、タオルや毛布などを上手に使って肩を温めるようにするのが効果的です。

日常生活でも肩に負担をかけるような重い荷物を持たないようにして、肩関節の炎症を悪化させないようにする工夫が欠かせません。
このような対処法を心がけて肩を安静に保っていれば、痛みの強い急性期も過ぎ去って安静時の痛みが消失する慢性期へと移っていくのです。

4.四十肩の整形外科での治療

四十肩の痛みは1年前後で自然に収まっていく人も少なくありませんが、痛みを放置していたために後遺症が残る場合も考えられます。
整形外科を受診して適切な治療を受ければ急性期の痛みも軽減される上に、症状の悪化を防ぐことにもつながります。

肩に生じる強い痛みの原因は肩関節周辺組織の単なる炎症ばかりでなく、肩の腱板が損傷しているケースや石灰が沈着して起きる腱炎の可能性も否定できません。
それらの病気と見分けるにはX線撮影やMRI・超音波検査を要しますので、症状が疑われる場合は検査設備の整った整形外科を受診するといいでしょう。

検査の結果肩関節周囲炎と診断された人には、注射や内服薬による消炎鎮痛剤で痛みの軽減が図られます。
急性期を乗り切った後の慢性期にはホットパック等による温熱療法で症状の改善を目指していきます。

整形外科では肩関節の運動制限を改善させるための運動療法についても指導してくれるものです。

5.四十肩の慢性期から回復期の運動療法

安静にしていても強い痛みに悩まされる急性期が過ぎ去った後には、四十肩も治ったと思って油断しがちになります。
しかしながらこの慢性期に入っても肩を動かそうとすると鈍い痛みが残るのが普通ですので、この時期に実施される理学療法も極めて重要です。

特に運動療法は肩の関節が動かしにくくなる症状の改善に大きな効果を発揮しており、痛みがなくなった後の肩関節機能回復に役立ちます。
慢性期から回復期にかけて運動療法を実施するのとしないのでは、肩関節を動かせる範囲に差が出てくるのです。

四十肩は急性期に安静を心がけて症状を悪化させなければ自然に治る場合も少なくありませんが、治った後も肩を元通りに動かせるようになるのが理想と言えます。
痛みの激しい急性期は肩をできるだけ動かさないようにして安静を保ち、慢性期に入ったら肩の適度な運動を心がけるのが、四十肩の症状を改善させるための基本的な治療の流れです。

四十肩の原因を知り、適切な対処を

四十肩は日常生活にも支障を及ぼすほどの痛みに見舞われる病気ですが、発症しても以上のように適切な対処法を施すことで症状の拡大や後遺症を食い止めることは十分に可能です。
40代以降でデスクワークが多く猫背気味の姿勢をしている人は、日頃から肩の関節を動かしながら適度なストレッチを行うことが四十肩の予防につながります。