自分の家族や友人、職場の人など周囲の人の中に「糖尿病」になってしまった人がいたりと、知らない人はいないといわれるくらいの存在になりつつあります。
しかし、糖尿病の本当の原因や正しい対処法を知らない人が多いのが現状。
ここでは、糖尿病の原因やそれに伴った対処法などを詳しくご紹介します。
1.糖尿病の原因とは
糖尿病には主に2種類にわけられます。
それは「1型」のものと「2型」のものです。
1型は、糖の代謝に不可欠なすい臓からインスリンをほぼあるいは全く作られないために、体の中のインスリンの量が足りなくなることで起こるものです。
この糖尿病は、先天性のものもしくは環境が原因と言われていますが、特定には至っていません。
対して2型の糖尿病は、すい臓からインスリンが分泌されないことだけでなく、筋肉や肝臓内の細胞がインスリンの効果を感じにくくなることが原因です。
ブドウ糖などのエネルギーが体内にうまく取り込めないことで起こる病気です。
このタイプの糖尿病は肥満やそれに伴う内臓脂肪の増加が原因と言われているほか、ストレスや加齢なども原因の1つと考えられています。
2.糖尿病は肝臓が原因でも起こる
糖尿病はインスリンがすい臓からうまく分泌されないことから起こると考えられていますが、すい臓以外の臓器が原因でも起こります。
それは、「脂肪肝」です。
肝臓が原因で起こる糖尿病は、別名「隠れ糖尿病」とも呼ばれており、このタイプの糖尿病は空腹時の血糖値は正常でも、食後の血糖値が基準よりも高くなってしまうのが特徴です。
肝臓は、ブドウ糖などの糖を蓄える役割もある臓器で、血液中の糖分が不足したときに肝臓から糖を分泌することで血糖値を一定に保つことができます。
しかし、脂肪肝になってしまうことで、糖を肝臓内に貯蔵することができなくなってしまいます。
したがって、食事をすると血糖値が以上に上昇してしまうというメカニズムです。
3.糖尿病の初期症状とは
糖尿病に限らず全ての病気に関しても言えることですが、初期症状など小さなサインを見逃さないことが大切です。
糖尿病で起こる初期症状として、1つは運動をしていつわけでもないのに異常にのどの渇きを感じるといったものです。
これは、血糖値が高くなると人間の脳は「脱水症状を引き起こしている」と感じ、水を飲んで血液中の糖を下げるように命令します。
さらに、多量の水分を摂ることから、頻尿・多尿につながります。
糖尿病の人の尿の中にはたんぱく質が含まれているので、おしっこをしたときに尿があわ立つ場合もあります。
2つ目は、食事をした後すぐにおなかが減ってしまうという症状です。
糖尿病の人であれば、食べたもの、特にブドウ糖は体内にすばやく吸収されるので、食後すぐには空腹感を感じることはありません。
しかし、糖尿病の人はインスリンがうまく分泌されないので、ブドウ糖をうまく吸収することができません。
せっかく摂取したブドウ糖も尿などと一緒に排出されてしまうので栄養が不足しがちになります。
そのため、食事を摂ったにも関わらず空腹感を感じてしまいます。
4.糖尿病の本当の恐ろしさとは
糖尿病は、単に糖分の吸収がうまくできなくなるだけではありません。
糖尿病において最も恐ろしいことは、「合併症」です。
合併症の中でも主に気をつけたいものは「糖尿病性神経症」「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」の3つです。
糖尿病性神経症は、糖尿病が原因で血液の中に糖が多量に溶け込みドロドロになることで血液の流れが悪くなることで起こります。
ドロドロになった血液は、毛細血管を通ることが難しくなるので細い末梢神経まで栄養が運ばれにくくなります。
結果、手足にしびれを感じたり最悪のケースは、四肢に栄養がいかなくなることで壊死し切断という危険性もあります。
糖尿病性網膜症も、血液の循環が悪くなることで起こります。
網膜を含め眼球に栄養がいかなくなることで、視力低下・めまい・眼底出血が起こる恐れがあります。
この病気は、進行が遅く発見も難しいことから、症状がかなり進行してから発見されるというケースが多いです。
糖尿病性腎症は、高血糖の状態が長期間続くことによって腎臓の機能が低下してしまう病気です。
症状が進行してしまうとやがて腎不全になることがあるので、命の危険に影響しかねない病気です。
5.糖尿病の治療・予防には生活習慣を見直す
糖尿病や合併症は、命の危険に関わることもある怖い病気ですが、日々の生活習慣を見直すだけで予防や治療にもつながります。
すでに糖尿病になってしまった人は、初期の段階であれば病院での治療と平行することで進行を遅らせることも可能です。
まずは糖分の摂りすぎに気をつけることです。
世界保健機関(WHO)は、1日に摂取してよい糖分の量を25g以内にすることを推奨しています。
この量は、大さじ2杯程度です。
なお、一般的な清涼飲料水はコップ1杯につき20g以上の砂糖が含まれているため、常飲は避けましょう。
そのほかに、朝・昼・夜と食事はバランスよく規則正しい時間に食べることも大切です。
血糖値の急な上昇もすい臓や肝臓には負担がかかるので、毎日決まった時間に適切な食事をすることは血糖値の急な上昇を抑えることができます。
しかし、間食はできる限り控えましょう。
特に肥満の人は間食はオススメできません。
そして普段口にする飲み物は水かお茶・コーヒーが望ましく、砂糖は使わないのがオススメです。
味が濃くなると自然と食べすぎにもつながるため、油や塩といったものは使いすぎないようにすることも肥満予防につながります。
味が物足りないという場合には、お酢やハーブ・香辛料などを使うことで味のアクセントに役立ちます。
そして、散歩やラジオ体操などの軽い運動を毎日続けるという習慣をつけることも大切です。
日々の努力が糖尿病を防ぎ健康につながる
糖尿病は、ある日突然なる病気ではありません。
その原因の多くが、毎日の生活習慣によって引き起こされることが多いからです。
糖尿病の原因や合併症の危険性などを知り、正しい対処法を実践し続けていくことで糖尿病の予防・対処をとることが可能となります。
それ加え、少しでも体に異常を感じた場合にはすぐに医療機関を受診することも重要です。